ニュース
全床に見守り機器 夜間巡回半減に ~キヤノンシステムアンドサポートの伴走支援~

特別養護老人ホーム炉暖の郷は2024年介護報酬改定で新設された生産性向上推進体制加算(Ⅰ)を算定している。要件となるテクノロジー機器のうち、見守り機器を今年3月に特養、ショートステイの全床へ120台設置し、あわせてインカムも導入。介護記録ソフトは4年前から運用している。
職員の負担軽減家族への説明にも
見守り機器はベッドのキャスター4カ所に敷くタイプ。荷重センサーがベッド上の状態を判定し、必要な通知を利用者ごとに設定できる。「『起き上がり』『離床』の2段階で通知する設定が多いですが、動きがゆっくりの人は『端座位』も設定しています」と特養介護科長の居山美奈子さん。通知がなくても、様子を常時把握できるのが便利だと話す。
また、同機器がベッドに寝たままの状態で体重を測定できる点も選定理由の一つ。測定結果は介護記録ソフトへ自動記録される。以前は毎月、1台しかない車いす体重計を各ユニットで使い回していたため半日がかりの作業だったが、これが不要になったことで負担軽減に大きく寄与している。
オプションで脈拍、呼吸センサーも搭載し、睡眠の深さも把握。通知の履歴も含め、これらの状態は全て介護記録ソフトに自動保存される。「バイタルデータも時系列で一覧表示され、家族への説明にも役立っています。今後の課題はデータ活用です。例えば、睡眠の深さのデータから、夜眠れない人への睡眠導入剤のタイミングが検討できるのではと考えています」(居山さん)。
また、同機器がベッドに寝たままの状態で体重を測定できる点も選定理由の一つ。測定結果は介護記録ソフトへ自動記録される。以前は毎月、1台しかない車いす体重計を各ユニットで使い回していたため半日がかりの作業だったが、これが不要になったことで負担軽減に大きく寄与している。
オプションで脈拍、呼吸センサーも搭載し、睡眠の深さも把握。通知の履歴も含め、これらの状態は全て介護記録ソフトに自動保存される。「バイタルデータも時系列で一覧表示され、家族への説明にも役立っています。今後の課題はデータ活用です。例えば、睡眠の深さのデータから、夜眠れない人への睡眠導入剤のタイミングが検討できるのではと考えています」(居山さん)。

夜間の巡回が半減
同施設は全11ユニット(個室7+多床室4)。夜勤職員は2ユニットに対し1人配置する。各職員はiPadで担当ユニット分の利用者の状態を見ることができる。現状、昼夜を問わずセンサーの通知設定をONにしている人は各ユニット3~4人。全床ではなく、対象者を選定し運用している。
特養に10台新規導入したカメラも有効。新規入所者の生活アセスメントに1週間程度利用する場合や、認知症で徘徊・転倒リスクがある人を主な利用対象としている。月末の多部署会議で対象者を協議する。「動きが激しく、トイレが頻回な人の場合、ただ体を動かしているだけなのか、または起き上がろうとしているのか、一目で分かるのが助かります。不必要に駆けつけると本人の機嫌を損ねることもあります」と居山さんはカメラの有効性を述べる。これら見守り機器の活用によって、導入前は1時間毎に行っていた夜間の巡回は2時間毎に半減した。
同じく新規導入したインカムの活用については「まだまだ発展途上」と居山さん。全職員が使いこなせるよう、生産性向上委員会で促進策を検討中とのことだ。「活用の余地は十分にあります。例えば、入浴担当職員がユニット職員へ事前にインカムで連絡し、あらかじめ居室で離床介助をしてもらえれば、一人ひとりの浴室移動~入浴介助がスムーズに行えると思います」と業務効率化などを見込む。
特養に10台新規導入したカメラも有効。新規入所者の生活アセスメントに1週間程度利用する場合や、認知症で徘徊・転倒リスクがある人を主な利用対象としている。月末の多部署会議で対象者を協議する。「動きが激しく、トイレが頻回な人の場合、ただ体を動かしているだけなのか、または起き上がろうとしているのか、一目で分かるのが助かります。不必要に駆けつけると本人の機嫌を損ねることもあります」と居山さんはカメラの有効性を述べる。これら見守り機器の活用によって、導入前は1時間毎に行っていた夜間の巡回は2時間毎に半減した。
同じく新規導入したインカムの活用については「まだまだ発展途上」と居山さん。全職員が使いこなせるよう、生産性向上委員会で促進策を検討中とのことだ。「活用の余地は十分にあります。例えば、入浴担当職員がユニット職員へ事前にインカムで連絡し、あらかじめ居室で離床介助をしてもらえれば、一人ひとりの浴室移動~入浴介助がスムーズに行えると思います」と業務効率化などを見込む。
記録は紙と併用
介護記録は基本、各ユニットで1~2台保有するiPadで入力しつつ、食事・排泄の一部では紙での記録も行う。例えば食後の服薬確認は、誤薬を防ぐための安全管理上、利用者1人終えるごとに確認のサインを手書きで残す。排泄については「1ユニットの利用者全員分の食事・排便記録を一覧で見たい」との要望が根強く、1日分をA4用紙1枚にまとめた様式を優先している。
後藤政美理事長・施設長「魅力ある職場へ介護ICTは必須」

当法人は昨年、20周年を迎えました。この節目に、法人理念「和・創造」として取り組んだのが、介護テクノロジーによる業務効率化です。20年前、特養の開設当初は職員の採用も潤沢な時代でした。10年経過時にはユニットを増設し、定員は70人から100人になりました。しかし今は深刻な介護人材不足です。ここを乗り切るには職員の資質向上と、業務負担の軽減が必須だと考えます。
資質向上には、職員自らが問題提起し、解決に向けて行動することが重要です。今回のテクノロジー機器導入は、まさに現場主導であったため、手ごたえを感じています。また、こうした最新機器を若い人達に見てもらうことが、入職の動機づけになると期待します。
一方で、当法人は開設当時から20年以上勤務する職員が全体の7%。看護職員は10年間同じメンバーと定着率が高いのですが、そのぶん職員の高齢化も進んでいますので、テクノロジー機器による既存職員の負担軽減も必要不可欠です。
(シルバー産業新聞2024年12月10日号)
資質向上には、職員自らが問題提起し、解決に向けて行動することが重要です。今回のテクノロジー機器導入は、まさに現場主導であったため、手ごたえを感じています。また、こうした最新機器を若い人達に見てもらうことが、入職の動機づけになると期待します。
一方で、当法人は開設当時から20年以上勤務する職員が全体の7%。看護職員は10年間同じメンバーと定着率が高いのですが、そのぶん職員の高齢化も進んでいますので、テクノロジー機器による既存職員の負担軽減も必要不可欠です。
(シルバー産業新聞2024年12月10日号)