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電動車いすの充電スポット、第1号店を確保

電動車いすの充電スポット、第1号店を確保

 NPO法人車椅子社会を考える会(東京都世田谷区、篠原博美理事長)は、車いす利用者と介助者の視線から、暮らしやすい社会の実現を目指して様々な活動を行っている。今回、その取組みの一つで、電動車いすユーザーのための充電スポットの拡充が一つ実り、第1号設置店を確保することができた。

 電動車いすユーザーは、車に搭載されている一つのバッテリーでは行動範囲が限られていることから、「中途で充電できる場所が欲しい」という声が挙がっていた。「電車などを乗り継いて行きたい場所に自由に行きたいが、例えば美術館に行きたいと思っても、帰りのバッテリー量がなくなってしまうんです」と篠原代表は話す。バッテリーにもよるが、シェアトップのYAMAHAニッケル水素バッテリーの場合、約15キロが限度。さらに、劣化や気象条件、負荷によって極端に少なくなる事もあるそうだ。

 設置場所の希望として多いのは、公設の公園、美術館、ショッピングセンターなど。東京では、上野公園、その周りの美術館、ディズニーランド、六本木ヒルズなどの観光スポットが挙がるという。

 篠原さんは一級建築士という設計者の視点から、交通機関や公共施設、民間施設等のバリアフリー化の実現を提案してきた。昨年度には、世田谷区の段差解消スロープへの助成を受けて、設置のお願いに回るなど、障がい者ら交通弱者を支援してきた。今回は、ハード面だけでなく、車いす社会そのものを見直した、と話す。

 電動車いすのバッテリー充電スポットの設置については、世田谷まちづくりファンド助成事業へ応募するなどして支援を求めている他、昨年の11月には、同区のユニバーサルデザインスタンプタリーや区民ふれあいフェスタなどで、充電スポットを設置するなど普及に努めてきた。今回、こうした活動が実り、民間事業者が設置を名乗り出てくれたそうだ。

 設置を引き受けたのは、「プライベートリハビリラウンジ KAYOU仙川」(メディカルアド、東京都調布市、伊藤博之代表)。公的保険を使わず、自費によるリハビリを提供しているが、「障がいをもった方と接する中で、支援に繋げられたらと思い即決した」と伊藤代表は設置の動機を話す。NPO法人車いす社会を考える会の賛助会員にもなったそうだ。

 同店は、ホテルのような落ち着いた雰囲気に3部屋のリハビリ室(個室)を設け、病院等での公的リハビリに期間や量の制限がある中、もっと継続して積極的にリハビリを受けたいという患者の思いに応じている。施設長の田原雄平さん(PT)は「当店は、脳卒中の後遺症や骨折後のリハビリを提供している。ご利用者は40代から60代の現役世代が多い。仕事ができるように、家事ができるように、趣味等ができるように、もう少し身体を回復させたいという方です」と語る。また、車いすユーザーと関わることで、充電スポットの必要性にも気づいたそうだ。

 同店では、ヤマハニッケル水素バッテリー用の充電器と、100Vのコンセントを設置している。入店時には、簡易スロープを敷いて介助もしてくれる。車椅子用トイレも完備されている。

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