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「ベトナムに車いすの寄付を」 アジアで働く介護士らが呼びかけ

「ベトナムに車いすの寄付を」 アジアで働く介護士らが呼びかけ

 日本を飛び出して、海外で介護士として働く人たちがいる――。ハノイで働く土橋壮之さんは、そんな元気な日本人の一人。SNSで「世界をつなぐKaigoカフェ@ハノイ」を主宰し、ハノイから介護の魅力を発信。”介護”をキーワードに、海外の介護事情や介護人材をはじめ、医療や介護について国境を越えた対話を続けている。

 これまでも、日本、ベトナム、韓国、カナダ、オランダの、新型コロナウイルスCovidについての情報や、介護施設の状況なども共有してきた。「さまざまな国、都市、地域の方と対話することで、視点の違いに気づき、新たな発見がある。世界中の介護職が想いを共有する場所を作るのが僕の一つの目標」」と土橋さんは話す。

 第7回目の「世界をつなぐKaigoカフェ」(オンライン)は、「アジアの介護の可能性」をテーマに、韓国、フィリピン、ベトナムで働く介護福祉士が登場した。各国から約200名が集まり、日本からは沖縄や福岡など都市部に限らず多方面から参加。介護に興味がありスウェーデンまで行ってきたと話す大学生や、「アジア健康長寿イノベーション賞」でアジア準大賞を受賞した日本の介護施設で働く女性、技能実習生の教育をしている男性、認知症カフェを開く市会議員、ケアマネ、サ責など実にユニーク。GHで介護をしながら大学院で介護の研究をする中国人の姿もあった。

 ゲストは、韓国で介護福祉士として働く水嶋里佳さん(ほっとリハビリシステムズコリア デイケアセンターリハウォン教育チーム長、介護福祉士)、マニラで主に特定技能の日本の介護の教育や、日本の介護の普及に携わる福井淳一さん(Magonote Global Corp. Director 、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士)、そして、土橋さん(ニャンアイ老人ホーム介護技術部長、ニャンアイ介護日本語センター教育部長、介護福祉士)の3人。

 土橋さんは、はじめてハノイに着いた時、「日本の介護士がやって来る!」とまるで、大リーガーが来るような歓迎ぶりだったと苦笑いする。張り切って業務に就いたものの、ベトナムでは看護師が介護の仕事を兼ねていて、血圧計や体温計も古くて、測り方も分からなかった。医療行為のできない介護士とはいったい何をするのかという状況で、そもそも、介護という概念すらない状態だったという。出番を無くした土橋さんは、介護とは何か、日本の介護とは何かを自問自答する日々。そのような中でたどり着いたのが、自立支援の考え方に基づく介護だった。

 一日中、ボーッとテレビを観て過ごすお年寄りをみて、役割を持ち、お年寄りのできることに着目した介護を目指し、料理の手伝いやバイクの洗車、お庭の手入れなどをしてもらった。すると、生き甲斐ができたのか、お年寄りたちがとても生き生きしてきたという。

 しかし、気になることが一つあった。それは、車いすに拘束されている入居者のこと。ベトナムの車いすは種類が少なく、車いすに体があっていない。座ってもズレ落ちてしまうなど、設計上、座位を保てず、拘束しないと座位が保てないことに気づいた。土橋さんは、何とか日本の優れた車いすをベトナムに届けられないか、と思案した。

 そこで、埼玉県で活動する「NPO法人ヒューマンシップコミュニティ」の酒井大輔さんに相談したところ、協力してくれることになった。酒井さんは、「身体拘束をしていると聞いて日本の車いすを送りたいと思った。車いすを通じて、日本の自立支援の介護を届けたい。料理など参加型の介護をフィリピンやインドネシアにも届け、日本の介護を広く伝えたい」と熱く語った。クラウドファンディングで「日本の車いすをベトナムに!」と呼びかけ10月中に達成している。賛同者の思いを力に、これから取り組んでいくそうだ。

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