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施設にも車いすをレンタル 画期的なパッケージサービスを利用
病院や介護施設等では、車いすは備品扱いとして施設が購入するのが一般的だが、鹿児島市の医療法人春風会(中村浩一郎理事長)は、昨年の4月から車いすのレンタルを始めた。レンタルサービスを提供しているのは、福祉用具のレンタル、販売事業を展開するライフステップサービス(石丸尚昭代表)。当法人のリハビリテーション部、部長で理学療法士の川上剛さんに、導入の経緯などについて話を聞いた。
――車いすのパッケージサービスとは。
ライフステップサービスが提供する車いすのレンタルパッケージサービスは、「モジュール型スマートプラス」「モジュール型BEAN」「リクライニング式ネッティBASE」の3種類の車いすを提供している。当院の回復期リハビリテーション病棟で利用しているが、30床の病床で、全員が車椅子を使うわけではなく、常時20人の患者が利用している。リクライニング型が2割、モジュール型が8割の割合だ。
この車いすは、利用者ごとに個々に調整できる機能が優れている。レンタル料金は月額10万円で、車いすの調整方法の定期的な研修、保守点検、故障時の修理や入れ替えなどのサポートも含まれている。保険の適応ではないが、これまでの購入金額よりかなり割安だ。
――導入前の課題について。
これまでは、病院の玄関口に置いてあるような、簡易な車椅子を一種類だけ備品として購入し、数も限られていた。患者ごとに個別に対応できる機能は備わっていなかった。
回復期病棟では、脳卒中後、半身不随になった方が多く入院している。片麻痺の場合、本来は、左右非対称の車いすが望ましく、細かい設定ができる必要がある。また小柄の女性に合わせた旧式の車いすも、最近の女性には合わない場合もある。
車いすは長時間使うので、合わない車椅子を使っていると、身体がずれたり、腰が痛くなることもある。隙間に、クッションやタオルを挟み込んだり、改造して患者に合せるのが主流だったが、それには限界があった。
車いすは、リハビリの道具の一つになる。移動のための道具だという認識が一般的だと思うが、身体機能を向上させるものだと捉えている。患者に合わない車いすを使っていると活動性は上がらない。まず起きて活動して頂く。合わない車いすは活動の障害になっている。
――導入に際しての課題は。
車いすの大切さは職員にも共有されてきたが、実際、レンタルするには難しい課題があった。回復期リハビリ病棟では、患者は平均約70日入院し、自宅に戻るが、退院してしまえば車いすは必要なくなる。
高機能の車椅子は価格も高く、また消耗品なので故障も多く、メンテナンスにもコストがかかる。病院では車いすの買い替えが進まず、古いものをそのまま使っているのが一般的だと思う。
しかし現場からは、故障するから危ない、車いすを買い替えて欲しいという相談を受けていた。会議でも検討し、福祉用具の業者にも相談した。在宅なら車いすがレンタルできるのだから、施設でも可能ではないか、といろいろ提案してきた。
その結果、ライフステップサービスが、車いすレンタルのパッケージサービスをやっているのを知った。教えてくれたのは、元同僚だった田口光さんで、施設に車いすのレンタル導入を求める活動を続けている理学療法士だ。
ライフステップサービスに連絡するとすぐにデモンストレーションをやってくれた。とにかくこんなすごい車いすは初めて見た。説明を聞いたスタッフからも、とにかく導入して欲しいという声が圧倒的だった。
例えば、タイヤがワンタッチで外せるのはこれまでは考えられなかった。車いすの調整は工具を使ってボルトやねじを締めないとならないが、この車いすはワンタッチでできることが多く、調整が非常に楽だった。シートの奥行の調整ができるのも初めて見た。
また、背もたれにたわみが出ないのも驚いた。従来のものはビニールや布製が多く、長時間座っていると、延びたり、たわんだりして座位が安定しなくなる。いわゆる“仙骨座り”という状態になる。この車いすは、背中についているベルトを締めることで調整が可能になり、高齢者に多い脊柱変形に合わせることができる。
実は、もともと理学療法士は、福祉用具についての知識を勉強するが、車いすの調整の仕方までは習わないので、独自で勉強する仕組みになっている。このパッケージサービスでは、調整の研修もセットになっているので有難い。
――導入後の効果について。
リクライニング機能付きの車いすは、脳卒中から嚥下障害になる患者の場合、座位が保てなくても、リクライニングで調整ができる。特に頭の位置や首の角度は非常に大事になる。この車いすではその細かな調整ができる。
また、座る姿勢が重要で、これまでの車いすは、背もたれやシート、高さや長さが合わないことが多かった。この車いすでは、長時間座っていても、姿勢が崩れないのがよく分かる。重症な人ほど、細かな設定が必要で、しっかり調整しないと、飲み込み機能は改善しない。これは臨床的にも分かっている。
車椅子の選定については、まずセラピストが患者の座位や姿勢をアセスメントし、合致した車椅子を選択する。さらに個別にカスタマイズし、能力の変化に合わせてその都度調整したり、変更をしていく。
回復期病棟は、実績を出さないといけないが、車いすを個別に利用することで、患者の自立支援に繋がっている。エビデンスはまだ取ってはいないが、患者の満足度は確実に上がっている。
また、これまでも車いすは故障が多く、パンクやブレーキが利かなくなるなど、事故に繋がる危機意識は強かった。このレンタルパッケージサービスの様々なメリットを理事長も理解してくれて、導入に至った。
ライフステップサービスが提供する車いすのレンタルパッケージサービスは、「モジュール型スマートプラス」「モジュール型BEAN」「リクライニング式ネッティBASE」の3種類の車いすを提供している。当院の回復期リハビリテーション病棟で利用しているが、30床の病床で、全員が車椅子を使うわけではなく、常時20人の患者が利用している。リクライニング型が2割、モジュール型が8割の割合だ。
この車いすは、利用者ごとに個々に調整できる機能が優れている。レンタル料金は月額10万円で、車いすの調整方法の定期的な研修、保守点検、故障時の修理や入れ替えなどのサポートも含まれている。保険の適応ではないが、これまでの購入金額よりかなり割安だ。
――導入前の課題について。
これまでは、病院の玄関口に置いてあるような、簡易な車椅子を一種類だけ備品として購入し、数も限られていた。患者ごとに個別に対応できる機能は備わっていなかった。
回復期病棟では、脳卒中後、半身不随になった方が多く入院している。片麻痺の場合、本来は、左右非対称の車いすが望ましく、細かい設定ができる必要がある。また小柄の女性に合わせた旧式の車いすも、最近の女性には合わない場合もある。
車いすは長時間使うので、合わない車椅子を使っていると、身体がずれたり、腰が痛くなることもある。隙間に、クッションやタオルを挟み込んだり、改造して患者に合せるのが主流だったが、それには限界があった。
車いすは、リハビリの道具の一つになる。移動のための道具だという認識が一般的だと思うが、身体機能を向上させるものだと捉えている。患者に合わない車いすを使っていると活動性は上がらない。まず起きて活動して頂く。合わない車いすは活動の障害になっている。
――導入に際しての課題は。
車いすの大切さは職員にも共有されてきたが、実際、レンタルするには難しい課題があった。回復期リハビリ病棟では、患者は平均約70日入院し、自宅に戻るが、退院してしまえば車いすは必要なくなる。
高機能の車椅子は価格も高く、また消耗品なので故障も多く、メンテナンスにもコストがかかる。病院では車いすの買い替えが進まず、古いものをそのまま使っているのが一般的だと思う。
しかし現場からは、故障するから危ない、車いすを買い替えて欲しいという相談を受けていた。会議でも検討し、福祉用具の業者にも相談した。在宅なら車いすがレンタルできるのだから、施設でも可能ではないか、といろいろ提案してきた。
その結果、ライフステップサービスが、車いすレンタルのパッケージサービスをやっているのを知った。教えてくれたのは、元同僚だった田口光さんで、施設に車いすのレンタル導入を求める活動を続けている理学療法士だ。
ライフステップサービスに連絡するとすぐにデモンストレーションをやってくれた。とにかくこんなすごい車いすは初めて見た。説明を聞いたスタッフからも、とにかく導入して欲しいという声が圧倒的だった。
例えば、タイヤがワンタッチで外せるのはこれまでは考えられなかった。車いすの調整は工具を使ってボルトやねじを締めないとならないが、この車いすはワンタッチでできることが多く、調整が非常に楽だった。シートの奥行の調整ができるのも初めて見た。
また、背もたれにたわみが出ないのも驚いた。従来のものはビニールや布製が多く、長時間座っていると、延びたり、たわんだりして座位が安定しなくなる。いわゆる“仙骨座り”という状態になる。この車いすは、背中についているベルトを締めることで調整が可能になり、高齢者に多い脊柱変形に合わせることができる。
実は、もともと理学療法士は、福祉用具についての知識を勉強するが、車いすの調整の仕方までは習わないので、独自で勉強する仕組みになっている。このパッケージサービスでは、調整の研修もセットになっているので有難い。
――導入後の効果について。
リクライニング機能付きの車いすは、脳卒中から嚥下障害になる患者の場合、座位が保てなくても、リクライニングで調整ができる。特に頭の位置や首の角度は非常に大事になる。この車いすではその細かな調整ができる。
また、座る姿勢が重要で、これまでの車いすは、背もたれやシート、高さや長さが合わないことが多かった。この車いすでは、長時間座っていても、姿勢が崩れないのがよく分かる。重症な人ほど、細かな設定が必要で、しっかり調整しないと、飲み込み機能は改善しない。これは臨床的にも分かっている。
車椅子の選定については、まずセラピストが患者の座位や姿勢をアセスメントし、合致した車椅子を選択する。さらに個別にカスタマイズし、能力の変化に合わせてその都度調整したり、変更をしていく。
回復期病棟は、実績を出さないといけないが、車いすを個別に利用することで、患者の自立支援に繋がっている。エビデンスはまだ取ってはいないが、患者の満足度は確実に上がっている。
また、これまでも車いすは故障が多く、パンクやブレーキが利かなくなるなど、事故に繋がる危機意識は強かった。このレンタルパッケージサービスの様々なメリットを理事長も理解してくれて、導入に至った。