コラム
【介護予防・通所型サービスC】連載 プロフェッショナルに聞く短期予防集中サービスの最前線③

人口1・9万人、高齢化率49・7%と県トップレベルの高齢化が進む大分県竹田市では、通所Cと通いの場を円滑につなげることで地域高齢者の介護予防を推進。市の調整済要介護認定率は15・3%と全国平均19・4%を大きく下回り、3年間の累積で一人あたり50万円、総額7200万円の介護給付費抑制を実現した。
通所Cで給付費1人あたり50万円抑制 アウトリーチで介護予防推進
今月のポイント
・行政は通所Cと併せて卒業後の通いの場を整備する
・利用者へのケアプラン説明は自立した生活のイメージを共有して行う
・地域高齢者へのアウトリーチ強化が成果を生む
・利用者へのケアプラン説明は自立した生活のイメージを共有して行う
・地域高齢者へのアウトリーチ強化が成果を生む

(左から)竹田市地域包括支援センター麻生さん、甲斐さん、赤木さん、竹田市高齢者福祉課中里さん
市では介護予防・日常生活支援総合事業創設後、「単価が安く採算が取れない」と事業所が一部廃止されるなど、地域の高齢者をリハ職が専門的に支える予防の受け皿喪失が懸念されていた。
そのため、採算がとれる委託料を設定し、二次予防事業を引き継ぐ形で、通所C・訪問Cを医療機関2施設で展開してきた。
さらに、介護給付適正化事業、認知症総合事業、リハビリテーション活動支援事業等を活用し、地域包括支援センター(社会福祉協議会委託)にリハビリ専門職を配置し、21年から通所C・訪問Cサービス提供を開始した。
開始にあたっては、効果的な運用を目指し全国での伴走支援で実績のあるアイトラック(大分県大分市、佐藤孝臣代表)にセラピストを派遣しノウハウを学んだ。
センターで通所Cを始めたことで、ケアマネは利用者が元気になる姿を間近で目の当たりにする。誘いかけのモチベーションも変わり、自立支援に対する考え方も定着していった。
そのため、採算がとれる委託料を設定し、二次予防事業を引き継ぐ形で、通所C・訪問Cを医療機関2施設で展開してきた。
さらに、介護給付適正化事業、認知症総合事業、リハビリテーション活動支援事業等を活用し、地域包括支援センター(社会福祉協議会委託)にリハビリ専門職を配置し、21年から通所C・訪問Cサービス提供を開始した。
開始にあたっては、効果的な運用を目指し全国での伴走支援で実績のあるアイトラック(大分県大分市、佐藤孝臣代表)にセラピストを派遣しノウハウを学んだ。
センターで通所Cを始めたことで、ケアマネは利用者が元気になる姿を間近で目の当たりにする。誘いかけのモチベーションも変わり、自立支援に対する考え方も定着していった。

テクノロジーを活用しアセスメントを強化
20年からの県モデル事業の継続で、オムロンのソフトウェアをケアプラン作成に活用し、生活機能の阻害要因を見落とさないよう自立支援型ケアマネジメントを推進している。
利用者への説明では、通所Cを3カ月で卒業した後も運動を習慣化し、活動量を維持するよう伝えている。また、就労やボランティア等通いの場に限らない社会参加の場へとつなぎ、卒業後も活き活きと生活するイメージを利用者と共有することを大切にしている。
利用者への説明では、通所Cを3カ月で卒業した後も運動を習慣化し、活動量を維持するよう伝えている。また、就労やボランティア等通いの場に限らない社会参加の場へとつなぎ、卒業後も活き活きと生活するイメージを利用者と共有することを大切にしている。
通いの場の取り組み推進
市では地域支援事業創設当時から積極的に住民主体の通いの場の立ち上げを行った。同時に運動指導者の育成、研修を重ねた上で委託による運動教室も各種展開。一部教室においてはタクシー協会への送迎委託を行い、希望すれば誰でも運動教室に参加できる環境を整えている。
また独自の介護予防システムに誰がどの通いの場にいつ通っているかなど入力し事業評価や見直しにつなげている。これにより、65歳以上の高齢者の5人に1人が通いの場に月1回以上通っており、90歳以上の人では3人に1人が参加しているなど実人数での参加状況を把握できている。
また独自の介護予防システムに誰がどの通いの場にいつ通っているかなど入力し事業評価や見直しにつなげている。これにより、65歳以上の高齢者の5人に1人が通いの場に月1回以上通っており、90歳以上の人では3人に1人が参加しているなど実人数での参加状況を把握できている。
75歳以上は全件訪問
一般的には行政や包括の窓口でチェックリストを使用し、事業対象者の選別が行われるが、実際は通いの場に通っていても徐々に状態が悪くなる人もいる。
市では通いの場や健康づくり組織の参加者にも毎年基本チェックリストを活用している。またアウトリーチとして75歳以上で介護保険サービスを使っておらず、通いの場にも通っていない人を全戸訪問し基本チェックリストを実施。介護予防システムに結果を入力し、毎月地域包括と共有して通所C等につないでおり、現在は常時130人程度が事業対象者として支援を受けている。
市では通いの場や健康づくり組織の参加者にも毎年基本チェックリストを活用している。またアウトリーチとして75歳以上で介護保険サービスを使っておらず、通いの場にも通っていない人を全戸訪問し基本チェックリストを実施。介護予防システムに結果を入力し、毎月地域包括と共有して通所C等につないでおり、現在は常時130人程度が事業対象者として支援を受けている。
通所C卒業後の社会参加が鍵
生活機能の維持には利用者自身の意識を変え、3カ月間のサービス提供後も運動を習慣化することが重要。自立支援型ケアマネジメントに基づく支援で改善を経験すれば、意識や生活(活動)が変わる。通いの場等の社会資源が卒業後の受け皿となり、たとえ要支援になったとしても、自立した生活を心がけていることが、介護給付費の抑制につながっているのではないかと市の介護予防担当者は振り返る。
(シルバー産業新聞2025年5月10日号)