コラム

プロフェッショナルに聞く 短期集中予防サービスの最前線⑩

プロフェッショナルに聞く 短期集中予防サービスの最前線⑩

 通所Cの対象者は、抑うつやIADL低下などの問題を抱えているケースが多く、普段の「外出」が生活機能改善の鍵を握る。京都橘大学作業療法学科助教の由利拓真さんに聞いた。

今月のポイント

▽抑うつがIADL、社会参加・活動量低下に関連
▽外出が減ってきたら通所Cを検討
▽基本チェックリストの外出関連項目17番を利用者選定に活用
由利拓真さん

由利拓真さん

 心身機能や活動・参加などの項目から、生活機能を捉えるICF(国際生活機能分類)には、普段の生活での活動や役割を見る「パフォーマンス(実行状況)」や、どの程度の活動能力があるかを見る「キャパシティ(能力)」という評価項目がある。

 通所Cなどの介護予防では、キャパシティもさることながらパフォーマンスの果たす役割が大きい。対象者に多い生活不活発病では、十分な身体機能があるにも関わらず、活動量が少なく、フレイルやサルコペニアの原因となっているケースも見られる。

抑うつで生活機能が低下

 そこで、パフォーマンスを定量化するために活動量計を使用し、高齢者で多い抑うつが、IADL(手段的日常生活活動)や、趣味や戸外活動、屋外・屋内家事などの日常生活へ与える影響について調べた。

 抑うつ群と非抑うつ群で移動やバランスなどの運動能力に差はなかったが、IADLは抑うつ群で有意に低下していた。特に趣味や戸外活動が減少し、意欲や生きがい、地域での役割を失っている人が一定数いることがうかがえた。

 抑うつ群では座位時間が長く、家事などの軽強度活動が少なかった。社会参加は非抑うつ群が7割だったのに対し、抑うつ群は1割にとどまり、フレイルも抑うつ群では全員が該当するなど差が大きかった。

 介護予防に重要なパフォーマンスは心の影響が大きく、日常生活の活動の種類や量、社会参加に顕著に表れることが分かった。

外出頻度低下で要介護リスクを把握

 抑うつのある高齢者は趣味や戸外活動が低下し、要支援者では買い物など屋外でのIADLが落ちやすい。

 そこで通所Cで改善が見込まれる対象者を簡易に選定するツールとして、基本チェックリストの外出項目16番・17番に着目した。

 特に17番の「去年と比べて外出の回数が減っていますか」は、要介護状態の入り口にいる人を経時的に評価でき、閉じこもりや生活機能の低下が進む前の早期介入につながると期待される。

基本チェックリスト16番・17番が鍵に

 通所C利用者を▽16・17番のいずれも該当しない人を健常群▽17番だけに該当した人を外出減少群▽16番のみと、16・17番の両方に該当した人を閉じこもり群――に分けて解析した()。

 その結果、通所Cからの卒業割合は、健常群74%、外出減少群68%、閉じこもり群61%と、もともとの外出機会が多い人ほど高いことがわかった。閉じこもり群では、IADLが有意に低下しており、抑うつは外出減少群の時点で増加することがわかった。17番に該当する外出減少群は、IADL低下につながる抑うつが増えるタイミングであり、サービス利用による自立もある程度見込まれるため、通所Cの利用者像に合致すると考えられた。

 一般介護予防では、通いの場で身体活動量や社会参加の機会を増やして健康を保つ戦略が普及している。基本チェックリスト16番・17番による評価は、生活機能が低下し、通いの場から離脱しかけている人を早めに選定できる効果が期待される。ケアマネや地域包括のスタッフにも是非活用してもらいたい。

(シルバー産業新聞2026年2月10日号)

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