コラム

【介護予防・通所型サービスC】連載 プロフェッショナルに聞く 短期集中予防サービスの最前線⑨

【介護予防・通所型サービスC】連載 プロフェッショナルに聞く 短期集中予防サービスの最前線⑨

ICT活用と自治体に向けた伴走支援により、利用者選定や地域課題の抽出など、通所Cを軸とした介護予防サービスの効果の最大化に貢献するため、オムロン(京都市、辻永順太社長)は、健康寿命の延伸を経営課題に掲げ、2024年度から介護予防の地域づくり支援サービス「ハレクル」を展開する。

今月のポイント

・ハレクルが自治体の通所C運用や介護予防ケアマネジメントを強力サポート
・データ解析をもとに最適な介護予防事業運用に貢献
・期待される大幅な介護給付費抑制効果
 介護予防支援サービス「ハレクル」は2018年、大分県でのライフリー(佐藤孝臣代表)との出会いを契機に開発された。フレイルの可逆性を実感したオムロンは全国の自治体を回り、通所Cの実態を調査。自治体の人手不足による運用の難しさや、地域包括支援センターにおける介護予防ケアマネジメント作成の業務負担といった課題に直面した。

 そこで、ライフリーが地域で通所C運用を支援する際の課題分析方法や、ケアマネジメント作成の思考プロセス、本人に気付きを与えるアプローチを可視化し、システムとして実装。全国展開可能な仕組みを構築した。

ICTで課題抽出を自動化

 ハレクルの中核は、地域包括支援センターのケアマネジャーが使用する介護予防ケアマネジメント支援システム「ハレクルWith」。アセスメントからケアプラン作成、モニタリングまでを一気通貫で行える。

 対象者選定のためのアセスメント様式を備え、▽基本チェックリスト▽運動▽口腔・栄養▽本人の興味・関心▽日常生活上の困りごと――などを入力すると、生活課題や阻害要因が一覧化。例えば、入浴できない利用者に下肢筋力低下があれば、その背景にある生活不活発や咀嚼不良による低栄養といった介入ポイントを抽出し、ケアプラン策定用の文章を自動生成する。

 タブレット画面を通じて利用者と状態を共有することで、「元気になれるかもしれない」という実感が生まれ、サービス利用増加につながる。

ケアマネジメントを「お世話型」から「自立支援型」へ

 自治体への伴走支援も行い、介護予防事業の課題抽出や利用促進策を共に設計。地域包括支援センターに対しても、システムを使いこなせるまで支援し、業務変革を後押しする。

 リハ専門職の派遣により、改善可能性を見極める力を事例から養うほか、地域ケア会議や自立支援型ケアマネジメントを「お世話型」から「自立支援型」へ移行するための研修も実施している。

 利用者のデータはICF(生活機能分類)をベースに▽健康状態▽疾患▽身体機能▽社会参加――などを時系列で蓄積。介護保険サービスからの卒業や通いの場への移行状況も把握できる。分析により、改善が期待される利用者像や改善群・非改善群の差異を明らかにし、政策立案にも活用。「地域課題の実情と次年度以降の対策が明確になる」と同社自立支援事業部室長の西條和徳さんは話す。

財政効果の期待

 ハレクルを導入したA市では、利用者数が21年の22人から23年には219人に増加。通所C利用者は3年間で1人当たり約50万円の給付費抑制効果が見込まれるとの報告もあり、200人増加すれば年間約1億円の効果が試算される。奈良県生駒市の調査では、1人当たり10年間で517万円の抑制効果があったとの報告もあり、長期的影響は大きい。

 「介護予防事業は介護保険制度の持続性を支える先行投資。テクノロジーと人の力を組み合わせ、短期間で効果を出すことが重要だ。地域資源が限られる中、民間の力を活用してほしい」(同社自立支援事業部長加藤雄樹さん)

(シルバー産業新聞2026年1月10日号)

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