生き活きケア
生き活きケア213 活動意欲が途切れない農園レク

埼玉県初の認定NPO法人「ぬくもり福祉会たんぽぽ」(石川友仁会長)が運営するデイサービス田園倶楽部は、利用者自身にその日行いたい訓練やレクリエーションを選んでもらい、意欲向上や自立支援につなげている。曜日ごとに異なる20以上の活動の中でも特徴的なのが、事業所の目の前に広がる畑で行う農作業。土を踏みしめ、きびきびと体を動かしながら、若手職員にアドバイスを送る利用者の姿があった。

収穫したてのダイコン
「畑のプログラム」は、事業所の目の前に広がる農地で毎週月・水・金曜日に1時間半ほど実施。参加人数は毎回10人程度で、農作業の経験がある人や今でも自宅で作物を育てている人など、同じメンバーが揃うことが多い。
①土づくり②肥料散布③耕うん④作付け⑤水やり、支柱建てなどの管理⑥収穫――と一連の農作業を時季にあわせて実施。収穫した野菜の袋詰めまでも利用者が自ら行い、事業所内で安価で販売。その売上を次のシーズンの種や農具の購入費に充てる。
①土づくり②肥料散布③耕うん④作付け⑤水やり、支柱建てなどの管理⑥収穫――と一連の農作業を時季にあわせて実施。収穫した野菜の袋詰めまでも利用者が自ら行い、事業所内で安価で販売。その売上を次のシーズンの種や農具の購入費に充てる。
取材日の主な作業は耕うんと水やり。降り注ぐ日差しのもと、利用者は軽快なおしゃべりととともに、軽々と鍬を振り下ろしたり、ジョウロでまんべんなく水を撒く。
作付け計画や農作業を主導するのは、近隣に住むボランティアの人。実は、同デイの元利用者で、要介護から改善し、認定が外れた後も「畑の様子が気になるから」と、毎回プログラムに参加している。職員からも頼りにされている様子がうかがえた。
栽培している作物は、ナスやきゅうりなどの夏野菜、土から立派に飛び出たネギ、スイカなど多種多様。次に何を植えるかも、利用者と相談して決めているという。
作付け計画や農作業を主導するのは、近隣に住むボランティアの人。実は、同デイの元利用者で、要介護から改善し、認定が外れた後も「畑の様子が気になるから」と、毎回プログラムに参加している。職員からも頼りにされている様子がうかがえた。
栽培している作物は、ナスやきゅうりなどの夏野菜、土から立派に飛び出たネギ、スイカなど多種多様。次に何を植えるかも、利用者と相談して決めているという。

「ここは何を植えているの?」と 収穫を心待ちにしながら水やり
もともと同法人が運営していたソーシャルファーム(就労が困難な人のために雇用の機会を提供する企業)の敷地を切り分けられ、機能訓練の一環として2011年にはじめた同プログラム。農作業には、しゃがむ・立ち上がる・持ち上げる・手先を使うなど多様な動作が含まれており、自然と全身を使う運動になっている。それらを足元が安定しづらい土の上で行うため、バランス感覚や体幹の強化にも有効。
管理者の中山佳織さんは「中には身体的には自立で認知症状は重度の人もいるが、農作業は手続き記憶でスムーズに行えている。かつ、役割を与えられることで『この場所に来たら畑仕事をする』というルーティーンの意識が生まれ、意欲向上につながっている」と話す。
管理者の中山佳織さんは「中には身体的には自立で認知症状は重度の人もいるが、農作業は手続き記憶でスムーズに行えている。かつ、役割を与えられることで『この場所に来たら畑仕事をする』というルーティーンの意識が生まれ、意欲向上につながっている」と話す。
豊富な外出行事も機能訓練に
同デイの定員は70人で、うち7割が男性。2005年の開設時より予防に注力し、当時には珍しいマシントレーニングを導入、ジム感覚で通える場所として人気が集まった。
11年頃より、運動特化型から現在の活動・参加型へ移行。畑や園芸、書道に加え、職員の得意なことを活かした「サークル活動」など、20以上のプログラムを整備した。選べる楽しみを与え、利用者の「やってみたい」という気持ちを自立支援につなげている。
11年頃より、運動特化型から現在の活動・参加型へ移行。畑や園芸、書道に加え、職員の得意なことを活かした「サークル活動」など、20以上のプログラムを整備した。選べる楽しみを与え、利用者の「やってみたい」という気持ちを自立支援につなげている。

重量80㎏超の耕うん機の 操作もお手のもの
季節に合わせた毎月の外出行事も人気。中山さんは、目的として社会参画と機能訓練の2点を挙げる。「段差や階段など、バリアがある場所をあえて体験・訓練し、身体機能や危機察知能力を養ってもらう」。外出行事は心身機能を問わず、基本的に希望者は全員受け入れている。車いすの利用者がいる場合、どうすれば一緒に行けるか、行程に沿って計画を立てる。同事業所には経験5年未満の若手職員が多いため、アセスメントや支援プラン、判断力の育成にもつながっているそうだ。
地域との交流もさかんで、年4回の家族会や近隣小学校との交流会などを主催。夏に行われるホタルの鑑賞会も好評だ。地元住民は同デイを「たんぽぽさん」と呼んで慣れ親しみ、地域の高齢期における生活の場として浸透している。
(シルバー産業新聞2025年6月10日号)
地域との交流もさかんで、年4回の家族会や近隣小学校との交流会などを主催。夏に行われるホタルの鑑賞会も好評だ。地元住民は同デイを「たんぽぽさん」と呼んで慣れ親しみ、地域の高齢期における生活の場として浸透している。
(シルバー産業新聞2025年6月10日号)