ニュース
島津製作所「SUPOFULL」 的確な運動・生活改善アドバイスを支援

山口県防府市の「デイサービスセンターたまのや」(藤本敏恵施設長、社会福祉法人ひとつの会)は、定員52人の通所介護事業所。利用者は80代半ば以上が中心で、運動やマシントレーニングなどの個別機能訓練に力を入れ、在宅生活継続を支援している。それに加え、生活習慣や体調の変化などを「見える化」できるサービスを活用して日常生活でのアドバイスも行い、利用者から好評を得ている。
同事業所では機能訓練指導員が、自宅でもできる転倒予防運動や適切な食事・睡眠など生活全般のアドバイスなどを行う。しかし以前は、利用者や家族から「通っていても、健康を維持できているか実感しづらい」などの声も聞かれ、前向きに取り組む意欲を持ちにくい面もあったという。
「週2回・6〜7時間ほどの関わりの中で、どうすればご本人の健康維持や重度化防止に向けた意識を引き出せるのか、試行錯誤していた」と、生活相談員の谷口洋一さんは振り返る。
「週2回・6〜7時間ほどの関わりの中で、どうすればご本人の健康維持や重度化防止に向けた意識を引き出せるのか、試行錯誤していた」と、生活相談員の谷口洋一さんは振り返る。

在宅生活継続に必要な機能維持を目指す
そこで使い始めたのが、島津製作所の健康増進プラットフォーム「SUPOFULL(サポフル)」。SUPOFULLは、利用者の生活習慣や運動習慣などのデータをインプットすると、それを基に健康状態やその経過を数値などで示し、個々に合った生活改善へのアドバイスをサポートしてくれるサービスだ。
最大の特徴は、生活習慣が乱れると増える老化物質「AGEs(エージーイー:終末糖化産物)」の蓄積量を測って、その推移を見られること。AGEsは、食事などで摂り過ぎた糖と、身体を構成するたんぱく質が結びついてできる。加齢で自然に増えるが、食事のバランスが乱れたり、睡眠や運動量が十分でなかったりすると溜まりやすくなる。最新の研究では、認知機能やフレイル、生活習慣病などとの関係も指摘されるなど、「生活習慣のバイオマーカー」と言われている。
最大の特徴は、生活習慣が乱れると増える老化物質「AGEs(エージーイー:終末糖化産物)」の蓄積量を測って、その推移を見られること。AGEsは、食事などで摂り過ぎた糖と、身体を構成するたんぱく質が結びついてできる。加齢で自然に増えるが、食事のバランスが乱れたり、睡眠や運動量が十分でなかったりすると溜まりやすくなる。最新の研究では、認知機能やフレイル、生活習慣病などとの関係も指摘されるなど、「生活習慣のバイオマーカー」と言われている。
デイサービスたまのやでは、「AGEsセンサ」を設置し、週1回全利用者を測定。装置に1分ほど指を載せるだけで、AGEsの蓄積量を測定し、それを同年代と比較し5段階で評価してくれる。SUPOFULLからは週次レポート「健康アルバム」が出力され、AGEsの推移や機能訓練への取組状況のほか、島根大名誉教授・小林祥泰氏監修の生活習慣アドバイスも提示される。
機能訓練指導員はレポートを活用し、生活・健康面での変化にいち早く的確にアプローチしやすくなった。「『最近元気がないようだ』『表情が明るくなった気がする』などの主観的評価だけでなく、AGEs測定により「食生活の改善で数値が下がった」「運動不足で上昇傾向」など、より客観的な指標を通じてご利用者の状態を捉えやすくなった」と機能訓練指導員を務める山本享平主任は評価する。
機能訓練指導員はレポートを活用し、生活・健康面での変化にいち早く的確にアプローチしやすくなった。「『最近元気がないようだ』『表情が明るくなった気がする』などの主観的評価だけでなく、AGEs測定により「食生活の改善で数値が下がった」「運動不足で上昇傾向」など、より客観的な指標を通じてご利用者の状態を捉えやすくなった」と機能訓練指導員を務める山本享平主任は評価する。

指を置くだけでAGEsの測定ができる
ある男性利用者は、長年連れ添った妻が病気で急逝、それまで安定していたAGEsの値が急激に悪化した。「食生活や生活リズムの乱れだけでなく、精神的な落ち込みも大きく、それが顕著に数値に表れ、我々も驚いた」と谷口さん。すぐに担当ケアマネに共有し、食事面など生活支援の迅速なサービス強化につながった。「あくまで補助的な指標だが、数値変化の背景を探ることで、本人の生活や環境の変化に早く気づける」という。
「AGEsの値や評価が前より悪ければ、本人に声掛けし、運動や食事、睡眠などの状況を聞き取り、課題解決へ向けアドバイスする。食事であれば、栄養バランスへの配慮や食べる順番、間食を減らすことなどを指導、睡眠なら寝室の環境整備やリラックスしやすい呼吸法、ストレスへの対処法など、より具体的にアドバイスしやすくなった」と機能訓練指導員で看護師の渡邉由味子さん。スタッフの専門性に客観的な指標が加わることで、指導内容にも説得力が増し、より的確なアプローチが可能となっている。

一番左が、AGEs評価の週次推移や生活面のアドバイスなどが見られる「健康アルバム」。右の2枚は、筋肉量や身体状況なども付加した「健康レポート」
AGEsの値は、運動や食事などに気を配ることで、早くて2週間ほどで改善が見られることから、利用者にとっても生活改善への意欲を引き出すツールになっている。SUPOFULL導入後に、半数以上の利用者で5m歩行速度が向上するなど効果も表れている。
また、家族へも客観的評価で本人の状況を報告できるほか、担当ケアマネジャーからも「ケアプランに位置付けたサービスを評価するための、モニタリング指標として役立つ」と評価を受けている。
なお3カ月に1回、体成分分析装置「InBody(インボディ)」で筋肉量を測り、さらに握力や5m歩行速度も測定してSUPOFULLに入力すれば、現状の全体像を見られる「健康レポート」も提供される。ここには、軽度認知障害(MCI)のリスクを調べる血液検査「MCIスクリーニングプラス」の結果も付加できる。
また、家族へも客観的評価で本人の状況を報告できるほか、担当ケアマネジャーからも「ケアプランに位置付けたサービスを評価するための、モニタリング指標として役立つ」と評価を受けている。
なお3カ月に1回、体成分分析装置「InBody(インボディ)」で筋肉量を測り、さらに握力や5m歩行速度も測定してSUPOFULLに入力すれば、現状の全体像を見られる「健康レポート」も提供される。ここには、軽度認知障害(MCI)のリスクを調べる血液検査「MCIスクリーニングプラス」の結果も付加できる。

左から谷口さん、渡邉さん、山本さん
SUPOFULL導入後、若年性認知症の人からの利用希望も増えている。「症状の進行が比較的早い若年性認知症の方の場合、AGEsが症状変化のモニタリング指標としても参考になると、地域の認知症専門医から評価いただいたのが大きい。今後はこれを活かし、若年性認知症に特化した小規模デイも開設できれば」と、谷口さんは話した。
SUPOFULLの基本利用料は、利用者5人まで月額2200円、以降1人あたり550円(いずれも税込)。
問合せは島津製作所(☎075・823・1939)まで。
(シルバー産業新聞2025年9月10日号)
問合せは島津製作所(☎075・823・1939)まで。
(シルバー産業新聞2025年9月10日号)
健康増進プラットフォーム SUPOFULL(サポフル) | 島津製作所

日常の生活ログ(生活習慣・運動習慣)や健診結果などのデータをクラウドに収集・見える化する統合レポートにより、利用者の健康増進(認知症やフレイルなどのリスク低減)をサポートします。