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リハビリ型デイ「イオンスマイル」 商業施設の基盤活用し、出店加速

総合スーパー大手のイオンリテール(千葉市、古澤康之社長)が展開する半日型リハビリデイサービス「イオンスマイル」が出店を加速させている。今年7月に新潟市内2事業所、8~9月には石川県内で2事業所をオープンし、計22事業所に。2027年度には40事業所を目標に掲げる。成長の核にあるのは、「買い物リハビリ」など、イオンのプラットフォームを最大限に活用したサービスだ。
ジム感覚で男性も通いやすく
イオンスマイルでは、理学療法士や作業療法士が常駐し、一人ひとりの目標や心身の状態に合わせた機能訓練を実施。運動履歴が自動記録されるトレーニングマシンで、利用者ごとに適した運動プランや目標を提案する。利用者が自分で飲み物を選べるドリンクサーバーを設置し、お茶会や画一的なレクリエーションは行わない。
スポーツジム感覚で利用できるコンセプトが、デイサービスに抵抗を感じる男性利用者を取り込んでいる。イオンスマイルの利用者は、一般的なデイよりも男性の比率が高く、男女比が半々の事業所もある。事業部長の福部貴康氏は「デイサービスに行くのではなく、イオンへ運動しに行くという感覚で利用できることが、男性高齢者のニーズと合致しているのではないか」と分析する。「あそこのイオンなら行ったことがある」という安心感も、最初の一歩を踏み出すハードルを下げている。
スポーツジム感覚で利用できるコンセプトが、デイサービスに抵抗を感じる男性利用者を取り込んでいる。イオンスマイルの利用者は、一般的なデイよりも男性の比率が高く、男女比が半々の事業所もある。事業部長の福部貴康氏は「デイサービスに行くのではなく、イオンへ運動しに行くという感覚で利用できることが、男性高齢者のニーズと合致しているのではないか」と分析する。「あそこのイオンなら行ったことがある」という安心感も、最初の一歩を踏み出すハードルを下げている。

理学療法士などの指導のもと、一人ひとりの状態に合わせた機能訓練に取り組む
「買い物リハビリ」で成功体験 次への意欲に
イオンスマイルの出店形態はイオン店舗に併設する「GMS(総合スーパー)型」と路面店の2種類があるが、GMS型はイオンの認知度と利便性から特に人気が高い。最も象徴的なサービスが、リハビリと買い物を融合させた「買い物リハビリ」だ。
この取組みは、行政側から「買い物困難者を支援できないか」と打診されたことがきっかけで始まった。車を手放すと移動手段を失う地方の高齢者が、デイサービスに通いながら買い物ができるこのサービスは、利用者だけでなく地方行政にとっても待望のものだった。
「買い物リハビリ」は通常の機能訓練を終えた後に希望者がスタッフとともに行う。利用者3人に対し、スタッフ1人が付き添う体制が基本だ。商品を選び、カゴに入れ、会計をするという一連の動作は、すべて利用者自身が行う。店内を一周するだけでもかなりの歩行距離になり、何を買おうか考え、会話を楽しみながら選ぶことは認知機能の維持にもつながる。
福部部長は「マシンで数値が改善しても、それがゴールではない。リハビリで良くなった体を使って、実際に買い物ができたという成功体験こそが自信と次への意欲になる」と強調する。実際に利用者の半数から6割が、運動後に買い物をして帰路につくという。
イオングループの総合力も大きな強みだ。例えば、補聴器などの聴こえの相談会や歩行支援用具の体験会、口腔の健康教室などのイベントも定期的に行われる。特に好評だったのは、メーカーと連携した介護シューズのフィッティング体験会で、参加者の6割が購入するほどの人気を博した。
この取組みは、行政側から「買い物困難者を支援できないか」と打診されたことがきっかけで始まった。車を手放すと移動手段を失う地方の高齢者が、デイサービスに通いながら買い物ができるこのサービスは、利用者だけでなく地方行政にとっても待望のものだった。
「買い物リハビリ」は通常の機能訓練を終えた後に希望者がスタッフとともに行う。利用者3人に対し、スタッフ1人が付き添う体制が基本だ。商品を選び、カゴに入れ、会計をするという一連の動作は、すべて利用者自身が行う。店内を一周するだけでもかなりの歩行距離になり、何を買おうか考え、会話を楽しみながら選ぶことは認知機能の維持にもつながる。
福部部長は「マシンで数値が改善しても、それがゴールではない。リハビリで良くなった体を使って、実際に買い物ができたという成功体験こそが自信と次への意欲になる」と強調する。実際に利用者の半数から6割が、運動後に買い物をして帰路につくという。
イオングループの総合力も大きな強みだ。例えば、補聴器などの聴こえの相談会や歩行支援用具の体験会、口腔の健康教室などのイベントも定期的に行われる。特に好評だったのは、メーカーと連携した介護シューズのフィッティング体験会で、参加者の6割が購入するほどの人気を博した。
高齢者と地域社会の再接続へ
今後の展望について、福部部長は「中期的な目標は40事業所だが、最終的には全国のイオンにイオンスマイルを作りたい」と力強く語る。「加齢や身体機能の低下によって、これまで当たり前に来ていたイオンに来られなくなる。そうした、地域から分断されてしまった人を、もう一度社会とつなぐきっかけを作りたい。その役割をイオンスマイルが担えるはずだ」。
単なる事業拡大に留まらず、商業施設というプラットフォームを活かして高齢化社会の課題解決を目指す。
単なる事業拡大に留まらず、商業施設というプラットフォームを活かして高齢化社会の課題解決を目指す。

福部貴康事業部長
(シルバー産業新聞2025年9月10日号)