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パナソニックE&C「テレさんぽ」 利用者の意欲引き出しスタッフの負担軽減

パナソニックE&C「テレさんぽ」 利用者の意欲引き出しスタッフの負担軽減

 大阪府岸和田市の神於山園(こうのやまえん)デイサービスセンター(社会福祉法人慈生会)は、定員30人の通所介護事業所。定員10人の総合事業A型も合わせてサービス提供する。

 同事業所の利用者の平均要介護度は2.0前後。機能訓練指導員には作業療法士を2人配置し、個別機能訓練加算の上位区分を算定できる体制で、利用者の機能維持・改善に力を入れている。

 利用者は、バイタルチェックを受けて入浴を済ませ、リズム体操や口腔体操、レクリエーションなどの集団プログラムを行う。その後各自、フロアの一角にある機能訓練スペースで、マシンなどを使って個別機能訓練メニューをこなす。

 「一人ひとりに合った訓練を追求するため、本人や家族に自宅での状況や生活での困りごとなどを聞き出し、担当ケアマネジャーとも協議しながら、生活目標達成へ向けた個別計画を立案・実践している」と、センター長で作業療法士の南川真人さんは話す。
センター長の南川さん

センター長の南川さん

 そこで課題となるのは、いかに本人の維持・改善へ向けた意欲を引き出し、トレーニングを継続できるよう支援するか。また、コロナ禍を乗り越え利用者も増える中で、効果的な機能訓練をより効率的に提供する必要性も高まってきた。

 機能訓練指導員は、個別訓練に取り組む利用者に対応しつつ、フロア全体の状況にも目を配らなければならない。そこで、指導員の業務負担軽減と機能訓練の質向上を実現するため、介護テクノロジーの導入が検討された。「利用者から寄せられる声で最も多いのは、転倒への不安。既存のマシンではストイックなものになりがちだった下肢トレーニングを、意欲をもって続けてもらえないかと考えた」と南川さんは振り返る。

 いくつかツールを試した結果、今春導入し定着したのは、一見ユニークな機能訓練システムだ。利用者は、大きなモニターに映る美しい景色を見つめながら、自転車エルゴメーターを漕いでいる。画面の風景は、ペダルを漕ぐのに合わせてどんどん先へ進んでいく。

 使われているのは、パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション(大阪府守口市、豊嶋明社長)の屋内エンタメ運動ソリューション「テレさんぽ」。モニターに映る日本各地の風景を眺めながら足を動かすことで、実際に散歩をしているような感覚で運動できるシステムだ。富士山や日本三景などの定番観光地や、城巡り・寺巡りなど、3分程度で歩ける150以上のコースから好きなものを選べる。

 通常はモニターの前で立って足踏みするが、同事業所では転倒リスクをなくし、訓練効果を高めるためエルゴメーターを用いる。映像を足の動きと連動させるために使う歩行センサ入りポシェットは、面ファスナー付きベルトで太ももに固定。これで、足漕ぎするたびに歩数もカウントされていく。下肢の可動域が狭い人は、椅子に座って足踏みできるステッパーを使って行う。

 「軽度者中心とはいえ、立位ではふらつきのある方も多く、職員が付きっきりになる必要がある。座った状態でできることで、職員は他の利用者の見守りやフロアへの目配りもでき、余裕をもって対応できる」と南川さんは話す。
歩くほど達成感につながる

歩くほど達成感につながる

 何より利用者の反応も上々。以前は運動に消極的でエルゴメーターに乗らなかった利用者も、他の人が取り組む姿を見て、自主的に参加を申し出るほどだという。最後まで歩き切りたいという気持ちを呼び起こし、運動時間が延びる利用者も少なくない。「1コース約3分を基本に、徐々に6分や10分に延ばしたり、長い方では1回20分間続けるなど、持久力が向上する方もみられる」と南川さんは話す。

 利用者は、漕いだ分だけ画面が進み、終了後には歩数や達成コース数などがモニターに表示されることで達成感を得やすく、運動を継続するモチベーションに繋がっている。「様々なコースが用意されているため、単調にならない。ご利用者同士で『今日はどこ歩いてきたん?』などと会話のきっかけにもなり、コミュニケーションの活性化にもつながっている」と南川さんは評価する。

 「利用者個々の運動記録データがタブレット内に保存されているので、今後はケアマネジャーへの活動報告書へ活用したり、本人・家族へ共有して意欲喚起を促したりしていきたい」と南川さん。サービスの質の「見える化」にもなり、事業所の付加価値をさらに高めることに一役買っている。
運動実績レポートも意欲向上につながる

運動実績レポートも意欲向上につながる

 「利用者個々の運動記録データがタブレット内に保存されているので、今後はケアマネジャーへの活動報告書へ活用したり、本人・家族へ共有して意欲喚起を促したりしていきたい」と南川さん。サービスの質の「見える化」にもなり、事業所の付加価値をさらに高めることに一役買っている。

 テレさんぽは、タブレットと歩行センサー、ポシェットなどをセットで施設へ提供。インターネット環境は不要で、タブレットを施設のテレビにつなぐだけですぐ利用できる。

 タブレットには、歩いたコースや歩行時間、歩数、歩行テンポなど個々の運動実績が記録され、それらを運動実績レポートとして出力でき、機能訓練の計画・実績管理への活用や家族への共有も可能。

 サービスは年間契約で利用できる。

 料金など詳細の問合せは、同社(公式サイト、Eメール:telesampo@ml.jp.panasonic.com)まで。

(シルバー産業新聞2025年10月10日号)

「テレさんぽ」商品特長とご利用者の声

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