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大阪市 指定事業者による生活援助サービス

大阪市 指定事業者による生活援助サービス

 17年4月に始まった大阪市の総合事業は、現行相当型の訪問系サービス事業者による「生活援助型訪問サービス」と、介護予防事業の「いきいき百歳体操」がポイント。生活援助訪問サービスによって介護人材のすそ野を広げる一方、いきいき百歳体操で元気高齢者を増やして、地域づくりを行っていく。

 25年時点で1万人程度の介護人材不足が予測される大阪市が、「10年後を見据えたサービス(基準緩和型)」と位置付ける生活援助型訪問サービス。現行相当型の指定事業者の下で、現行相当型の対象者以外の要支援者、事業対象者を対象に、市の研修を受講した介護人材による調理、掃除、買物、洗濯などの生活援助が提供される。

 「生活援助サービス従事者研修」(2日間、計12時間)は、介護職員初任者研修の科目を参考に大阪市が設定した。市の在住者が対象で、16年度は10回の研修で、350人が応募し、うち284人が修了した(無料)。この資格で訪問介護員や他市の総合事業のサービス提供者にはなれないが、統一カリキュラムを導入する堺市などの総合事業では可能。市は、修了者がハローワークへ登録することでサービス事業者との円滑なマッチングをめざしている。

 人員基準は、サービス提供責任者にあたる「訪問事業責任者」は必要数として、ヘルパー2、3級でも担える。サービス計画の一部緩和した「サービス提供予定表」でよい。

 生活援助型サービスの報酬単価は、「現行相当型」の75%に設定した(下表)。たとえば、週1回程度は、現行相当型(国の単価と同じ)1万2,988円の75.3%にあたる9,785円。加算・減算は、介護職員処遇改善加算と同一建物減算の2つ。利用者負担1、2割。

いきいき百歳体操DVD見て住民どうしで

作業所で加工されたウェ イトをもつ佐藤課長代理

作業所で加工されたウェ イトをもつ佐藤課長代理

 いきいき百歳体操は、いすに腰掛け、準備体操、筋力アップ、ストレッチを行う。筋力アップでは腕や脚に軽い重りをつける。重りは0~2㎏まで10段階に調節。1回30分、週2回程度。「持続は力。90歳を超えても筋力・運動能力が上がる」とアピールする。高知市の理学療法士が開発したのが、効果が評価されているとして全国に広がった。

 大阪市は、高齢者1万人に10カ所のいきいき百歳体操会場をめざして、5年後には700カ所70万人を目標に据えたところ、初年度の16年度で、388カ所まで一気に広がった。集会所、老人いこいの家、公営団地の集会所など、1人当たり3㎡のスペースといすがあればよい。立ち上げ時には、市のリハビリ職や健康運動指導士らがつく。日頃はDVDを見ながら、参加者が自主的に実施している。

 10年ほど前から城東区の保健師が転倒防止にと始めたのが、大阪市でのはしり。「元気になった」「友だちができた」と評判がよい。週1回3カ月がたつと、区の保健師が筋力測定などの効果判定を行い、成果を確認する。

 腕や脚につける重りのケースは、100円ショップにあるパソコンケースを障がいの人たちが縫って加工した。コストは1つ200円程度で収まったという。1会場に重りの袋40個と重り80本を貸し出す。これにDVDと説明パンフレット。16年度の市予算は、地域リハビリテーション活動支援事業400万円と、介護予防活動推進事業900万円の計1,300万円かかった。

 「医療から介護、介護から地域へ。地域の活動できる場として、いきいき百歳対応を推進している。今後は、すでに城東区などで導入しているカミカミ百歳体操も取り入れたい。認定率の低下につながっているかなど分析も進めている」と在宅サービス事業担当課長代理の佐藤正一さん。


(シルバー産業新聞2017年5月10日号)

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