連載《プリズム》

市町村が担う予防サービス

市町村が担う予防サービス

 介護保険が始まり14年目を迎えた今、政府の社会保障制度改革国民会議は、要支援者の介護予防サービスを保険給付から市町村事業へ段階的に移行する方針を決めた。(プリズム2013年9月)

 4日の介護給付費分科会で厚労省は、地域支援事業1570億円、予防給付4100億円の費用は介護保険会計から市町村事業へ出すので、保険給付を外しても要支援者のサービスは確保されると力説した。そのお金を使って、どのように市町村事業を行うかは市町村が判断する。一律の基準はないということは、例えばサービス提供責任者の配置基準を緩めて、その分単価を下げた訪問介護もあるかも知れない。

 受け皿となる市町村事業を「新しい総合事業」と呼び、12年改正で創設された総合事業が改変される。現行の総合事業は要支援者と2次予防高齢者(特定高齢者)とを一体的に捉えているのに対して、改定後の「新しい総合事業」では、予防給付から移行した「介護予防・生活支援サービス事業」と、地域の高齢者を対象にした「一般介護予防事業」とを区分けする。「一般介護予防事業」は、2次予防高齢者だけでなく、1次予防高齢者(一般高齢者)も含めて、1次と2次の区別そのものもなくす。こうした新総合事業に、従前の地域包括支援センターの運営や任意事業を合わせたのが「新しい地域支援事業」の枠組みである。ポイントは、ボランティアや民間企業などを積極的に活用して、見守り、配食、外出支援、買い物などの生活支援サービスを介護予防サービスと一体的、効率的に実施していくことだ。

 「段階的移行」とは、第6期計画の3年間(15~17年度)を、予防給付をなくし「介護予防・生活支援サービス事業」へ移行させるための経過期間とすること。15年4月以降、原則として既存の要支援者は継続して予防給付を受けるが、新規の要支援者には「介護予防・生活支援サービス事業」で対応する。受け皿づくりが間に合わない市町村は、新規認定者も予防給付を受けるが、第6期計画終了時には、すべての要支援者のサービスを「介護予防・生活支援サービス事業」へ移行させる、というシナリオだ。

 25年までに4度の制度改定と介護報酬改定がある。今後、国は介護保険財政を活用して、3年ごとにステップを踏んで制度を変えていくのだろう。20年の東京オリンピックの時、震災復興を成し遂げ、フクシマのめどをつけ、日本には介護保険があると誇れるようでありたい。

(シルバー産業新聞2013年9月10日号)

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