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栄養と褥瘡ケアを一体的に考える

栄養と褥瘡ケアを一体的に考える

 日本褥瘡学会とのコラボ企画「褥瘡と在宅訪問栄養食事指導」では、褥瘡のメカニズムと評価方法について医療法人大誠会内田病院医師・岡田克之氏、褥瘡・栄養の一体的なケアの実際についてむらた日帰り外科手術クリニック管理栄養士・塩野﨑淳子氏がそれぞれ講演した。

褥瘡予防は生活全体の視点で 医療法人大誠会内田病院医師 岡田克之氏 

 褥瘡とは、身体に加わった持続的外力により皮膚、皮膚粘膜、軟部組織が障害を受けること。この「外力」には自分の体重だけでなく、例えば医療関連機器による圧迫なども含まれる。また、単なる垂直的な圧迫以外にズレや摩擦、湿潤、低栄養などの複数要因が絡み合って引き起こされる。

 皮膚は表面から表皮・真皮・皮下脂肪が層になっているが、外力の影響を受けやすいのはさらに深部、骨に近い筋肉組織などで、圧縮、引張、剪断が血流を悪化させ、重症化を招く。

 褥瘡(リスク)のアセスメント方法は、本人の知覚も盛り込んだ「ブレーデンスケール」や高齢者に特化した「OHスケール」などがある。また、日本褥瘡学会が開発した「DESIGN―R」(デザインR)は褥瘡を①深さ②滲出液③大きさ④炎症・感染⑤肉芽組織⑥壊死組織⑦ポケット――で測るもの。数値が大きいほど重症度が高い。

 22年には在宅介護を行う家族、介護事業所、ケアマネジャー向けに「床ずれ危険度チェック表」も開発。やせ、むくみ、食事量、寝返りなどの8項目からなる簡易的なツールで、4項目以上当てはまる場合に予防ケア、専門職への相談を促すものだ。褥瘡の因子はさまざまで、日常生活の気づきから予防に取り組める部分も多い。同チェック表をヒントに、生活を観察する目をぜひ養っていただきたい。

3職種の在宅チームケア むらた日帰り外科手術クリニック管理栄養士 塩野﨑淳子氏

 訪問栄養をはじめたきっかけは、2015年に「在宅褥瘡対策チーム」を立ち上げたこと。医師(外科医)・看護師(皮膚排泄ケア認定看護師)・管理栄養士の連携による在宅での褥瘡治療・重症化予防に取組んだ。

 医師は全身管理と治療方針の決定、壊死組織の除去を行う。看護師は褥瘡処置の指導、体圧分散のためのクッション、マットレスの選定など生活環境を整える。通所介護など、自宅以外でも適切に対策が講じられているかを確認、連携する重要な役割だ。そして管理栄養士は栄養アセスメントと栄養食事指導、食事姿勢の改善などを担当する。

 このしくみは診療報酬の「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」として評価されている。当クリニックでは約6年間でのべ37人が算定した。

中重度者半数が改善

 今回、算定患者(死亡など一部除く)を分析したところ、介入前のADLは車いす利用者と寝たきりの人があわせて9割以上で、認知症状が低下している人は全体の3分の1だった。

 経口摂取は全員が可能だったが、大半が潜在性を含む亜鉛欠乏症(血流亜鉛値80未満)と判定された。亜鉛は創傷治癒における重要な栄養素であり、栄養計画に落とし込むことが必須である。
 
 介入6カ月後、約半数の16人が上皮化し、傷が治る最終段階に。デザインRは介入前の平均24.09から6.69へと改善するなど、非常に良い結果が得られた。90代女性のケース。居住系施設に入居。褥瘡部分はポケットが形成され壊死組織も見えていた。栄養状態に関しては、体重が3カ月で10%以上減少し「低栄養リスク有」と判定。普段食べているミキサー食を概算したところ、1食300kcalしか提供されていなかった。

 1日1200kcalの栄養摂取を目標に設定し、栄養剤にとろみをつけて提供した。褥瘡の処置については、創部に滲出液が見られるので朝・夕の2回、患部のガーゼ交換を実施。夜間は自動体位変換機能付きマットレスを使用した。

 居住系施設は病院・施設と違い、管理栄養士が配置されていない。食事は介護職員が小さなキッチンで調理し、個別の栄養計算や食事支援が行き届いていない現場が非常に多い。決して「全量摂取できているから」と安心せず、体重などから低栄養の兆候に気づき、早期に専門職へつなぐ支援が大切だ。

 在宅褥瘡対策チームの対象は重度者が多いため、自宅での体重測定が困難だが、こうした場合は訪問入浴や通所介護、ショートステイと平時から連携しておくことで協力を求めやすい。
(シルバー産業新聞2026年9月10日号)

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