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在宅栄養DX 栄養評価の質、多職種連携に効果
初日のシンポジウム1「DXがもたらす訪問栄養食事指導の未来の姿」では、ICTツールを活用した業務効率化の実践が発表された。大塚製薬工場・藤井洋光氏、医療法人社団悠明会在宅医療センター悠・藤村真依氏、長崎県立大学看護栄養学部助教・花村衣咲氏が登壇した。
「ぽけにゅー」低栄養課題を多面的に
大塚製薬工場 藤井洋光氏
藤井氏は同社開発の業務支援システム「ぽけにゅー」を紹介。栄養ケアプロセスをベースに①アセスメント②食・栄養課題の抽出③支援方法の検討④報告書の作成・共有――の4ステップで運用し、クラウドで多職種との共有も簡便に行える。
「訪問栄養を行う管理栄養士の時間の不足、数の不足へ対応し、対人業務の時間を確保するのが目的」と同氏。加えて、低栄養の本質的な原因・課題を多面的に整理できるツールだと強調する。「在宅で一番大事なのは複合評価。医学・栄養学の側面だけでなく、元気や幸福感などQOLへのアプローチも行わなければならない」。
同社ではぽけにゅーを用いた事例検討ワークショップを開催。24年度まで計73回、4000人を超える人が参加している。「同じ症例でも、ケアマネジャーと看護師で課題抽出の結果が異なる。各専門職の食支援に対する認識・視点を活かしつつ、支援内容を共通言語化していくことが、多職種連携のポイントになるだろう」(同氏)。
最近では大学などの卒前教育で、学生が演習に同システムを使うケースも増えてきており、DX化が人材育成に貢献できる余地も大いにある、と同氏は期待を寄せた。
「訪問栄養を行う管理栄養士の時間の不足、数の不足へ対応し、対人業務の時間を確保するのが目的」と同氏。加えて、低栄養の本質的な原因・課題を多面的に整理できるツールだと強調する。「在宅で一番大事なのは複合評価。医学・栄養学の側面だけでなく、元気や幸福感などQOLへのアプローチも行わなければならない」。
同社ではぽけにゅーを用いた事例検討ワークショップを開催。24年度まで計73回、4000人を超える人が参加している。「同じ症例でも、ケアマネジャーと看護師で課題抽出の結果が異なる。各専門職の食支援に対する認識・視点を活かしつつ、支援内容を共通言語化していくことが、多職種連携のポイントになるだろう」(同氏)。
最近では大学などの卒前教育で、学生が演習に同システムを使うケースも増えてきており、DX化が人材育成に貢献できる余地も大いにある、と同氏は期待を寄せた。
報告作成時間が7割減
在宅医療センター悠 藤村真依氏
在宅医療センター悠(奈良県大和郡山市)は在宅診療、訪問看護、居宅介護支援などの在宅機能を有し、訪問栄養もその一つ。管理栄養士が常勤換算4.0人と手厚く、24年度の訪問件数は年2476件、うち95%以上を介護保険が占める。
自宅と居住系施設が半々。他院からの依頼も多く、24年度は56医療機関、46居宅介護支援事業所、21訪問看護ステーションと連携した。「訪問栄養が当たり前の社会」の理念のもと、2019年には機能強化型栄養ケア・ステーション「いーと奈良」を開設、地域活動にも積極的だ。
複数管理栄養士が勤務、かつ訪問件数が多い分、問題となっていたのが書類業務の煩雑さ。藤村氏は「手書きカルテを使用していたが、作成に時間がかかり内容も薄くなりがちだった。記録の蓄積・活用も不十分。個人情報持ち出しの問題もあった」と話す。
最初に導入したクラウド型のフリーノートは、同職種間の情報共有はしやすくなったが、記録方法が統一できず、また報告書と連動していないため文書作成の負担軽減効果はあまりなかった。
そこで、24年にぽけにゅーを導入。①同職種間の情報共有②記録の標準化と質の均一化③業務効率化と安全性向上④情報の整理――を推し進めた。導入前と比べ初回の報告書の作成時間、印刷時間は7割の削減に。管理栄養士のアセスメントの個人差の解消、外部の医療機関・事業所との円滑な情報共有にもつながった。
「在宅は関係者が一堂に集まる機会がほぼない。時間・場所を問わず、一元的に共有するしくみが必要だった」と同氏。食支援の「見える化」が、連携先へ分かりやすく伝える「見せる化」に進化したと述べた。
自宅と居住系施設が半々。他院からの依頼も多く、24年度は56医療機関、46居宅介護支援事業所、21訪問看護ステーションと連携した。「訪問栄養が当たり前の社会」の理念のもと、2019年には機能強化型栄養ケア・ステーション「いーと奈良」を開設、地域活動にも積極的だ。
複数管理栄養士が勤務、かつ訪問件数が多い分、問題となっていたのが書類業務の煩雑さ。藤村氏は「手書きカルテを使用していたが、作成に時間がかかり内容も薄くなりがちだった。記録の蓄積・活用も不十分。個人情報持ち出しの問題もあった」と話す。
最初に導入したクラウド型のフリーノートは、同職種間の情報共有はしやすくなったが、記録方法が統一できず、また報告書と連動していないため文書作成の負担軽減効果はあまりなかった。
そこで、24年にぽけにゅーを導入。①同職種間の情報共有②記録の標準化と質の均一化③業務効率化と安全性向上④情報の整理――を推し進めた。導入前と比べ初回の報告書の作成時間、印刷時間は7割の削減に。管理栄養士のアセスメントの個人差の解消、外部の医療機関・事業所との円滑な情報共有にもつながった。
「在宅は関係者が一堂に集まる機会がほぼない。時間・場所を問わず、一元的に共有するしくみが必要だった」と同氏。食支援の「見える化」が、連携先へ分かりやすく伝える「見せる化」に進化したと述べた。
離島の遠隔ケアにも
長崎県立大学助教 花村衣咲氏
花村氏は、地域医療連携ネットワーク「あじさいネット」へ、栄養連携パスを新規構築した取組を報告した。
長崎は人口の1割が離島に居住する。本土から直接行くことができない二次離島、三次離島も多く存在し、医療アクセスは大きな課題。特に、人口100万人あたりの透析患者数は3140人で全国平均(2725人)を上回るが、透析施設が無い離島が多い。
透析の原因である糖尿病性腎症の予防プログラムを県は推進するが、現場で動ける管理栄養士にも限りが。これを受け、県栄養士会は管理栄養士を離島へ派遣するプロジェクトを実施。「ただ、事前の患者情報が少ないと準備が難しく、『ぶっつけ本番』で自宅に入るケースも少なくなかった」と同氏は説明する。
あじさいネットは医療機関どうしで診療情報等の集約・共有が行えるシステム。23年時点で会員1855人、登録患者は16.6万人にのぼる。同氏はここに、糖尿病性腎症に特化した栄養連携パスの機能を新たに追加。医師は栄養ケアに関する指示箋の入力が可能になり、管理栄養士は指示箋と患者情報をもとに訪問できる体制が整えられた。
「あじさいネットは各地域の基幹病院が利用している。今まで管理栄養士が入る余地はあまりなかったが、これから在宅栄養の地域連携ツールとして活用が広がることを期待する」(同氏)。
また、今後は離島への在宅栄養に関する実証実験も予定。初回は対面訪問、2回目以降は遠隔での指導に切り替え、あじさいネットで腎機能や栄養関連指標、QOLの経過を観察・共有する。
(シルバー産業新聞2026年8月10日号)
長崎は人口の1割が離島に居住する。本土から直接行くことができない二次離島、三次離島も多く存在し、医療アクセスは大きな課題。特に、人口100万人あたりの透析患者数は3140人で全国平均(2725人)を上回るが、透析施設が無い離島が多い。
透析の原因である糖尿病性腎症の予防プログラムを県は推進するが、現場で動ける管理栄養士にも限りが。これを受け、県栄養士会は管理栄養士を離島へ派遣するプロジェクトを実施。「ただ、事前の患者情報が少ないと準備が難しく、『ぶっつけ本番』で自宅に入るケースも少なくなかった」と同氏は説明する。
あじさいネットは医療機関どうしで診療情報等の集約・共有が行えるシステム。23年時点で会員1855人、登録患者は16.6万人にのぼる。同氏はここに、糖尿病性腎症に特化した栄養連携パスの機能を新たに追加。医師は栄養ケアに関する指示箋の入力が可能になり、管理栄養士は指示箋と患者情報をもとに訪問できる体制が整えられた。
「あじさいネットは各地域の基幹病院が利用している。今まで管理栄養士が入る余地はあまりなかったが、これから在宅栄養の地域連携ツールとして活用が広がることを期待する」(同氏)。
また、今後は離島への在宅栄養に関する実証実験も予定。初回は対面訪問、2回目以降は遠隔での指導に切り替え、あじさいネットで腎機能や栄養関連指標、QOLの経過を観察・共有する。
(シルバー産業新聞2026年8月10日号)


