在宅栄養ケアのすすめ
在宅栄養ケアのすすめ152 居宅療養の基準・報酬 訪問の事態に見合っているか
前回に続き、介護報酬改定を議論する厚生労働省「介護給付費分科会」より、居宅療養管理指導の実態を見ていきます。
グラフは管理栄養士の訪問指導を、居宅療養管理指導の算定有・無の場合に分け、時間別に区切った分布です。算定には30分以上の指導・助言等が必要ですので、算定有のほうに30分未満はありません。
算定「有」では50〜60分未満が最も多く、全体の約3分の1を占めています。算定できるギリギリの「30〜40分未満」に偏るような傾向は見られません。これは、訪問が月2回まで(がん末期の場合など一部除く)という制度上の理由もあると考えられます。
訪問間隔が空く分、栄養状態や食生活に変化が起きやすく、状況確認や支援の組み直しに時間を要するためです。調理のADLの確認・指導を行う場合は一緒にキッチンに立ち、食事を始めるところまで滞在するケースもよくありました。
変えるべきマインドと制度
一方、算定「無」でも30分以上の訪問が6割あるのは注目すべき点です。算定しない理由で考えられるのは、月2回を超えての訪問や、医師の指示が出ないなどです。後者の場合、管理栄養士は栄養指導を行うことができませんので、おそらく医師や看護師の訪問に同行し、食事の聞き取りなどを行っているのが実態ではないかと思います。
「医師の指示がもらえない問題」は、在宅栄養が伸び悩む大きな要因の一つです。「栄養ニーズを感じないため」という理由が一定数あがりますが、中にはニーズは把握していても、法人が介護保険サービスを持たないため、新たに介護報酬の事務処理等を行う手間から、算定に消極的な医療機関も多くあります。
であるならば、管理栄養士にも訪問看護ステーションと同等の事業体を認めていくことが、地域で切れ目のない栄養支援への最善策ではないでしょうか。機能強化型栄養ケア・ステーションなどはそのモデルになり得ます。
居宅療養管理指導は訪問介護や訪問看護と違い、時間帯による報酬の区分はありません。今回、厚労省がこのデータを出した意図はまだ読み切れませんが、平均的な訪問時間、訪問回数が制度設計時の想定を超えているなら、相応の報酬・運営基準へ拡充すべきです。
なお、6月の診療報酬改定では、退院直後の在宅患者に限り月4回までの訪問栄養食事指導が認められました。介護報酬改定でも同様の見直しがなされると期待しています。
(シルバー産業新聞2026年9月10日号)


