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介護保険改正法案を上程 人口減少地域の基準弾力化、訪問介護「定額報酬」など

介護保険改正法案を上程 人口減少地域の基準弾力化、訪問介護「定額報酬」など

 政府は4月3日、2027年度の施行を目指す「社会福祉法等の一部を改正する法律案」を国会に提出した。介護保険法などを一括して改正する「束ね法案」で、生産年齢人口の急減と85歳以上人口の激増が重なる「2040年問題」を見据えた包括的な支援体制の構築を目的とする。地域差が拡大する中で、一律の基準維持が困難な地域への弾力的な対応や、住宅型有料老人ホーム等への「登録施設介護支援」の新設など、改正内容は多岐にわたる。

特定地域サービス 地域差考慮し「一律基準」を転換

 人口減少と高齢化が加速する中山間・人口減少地域において、全国一律の基準を堅持することは、人材確保や経営安定化の面から困難な局面にある。この構造的課題を打破すべく、法案では「特例介護サービス」の枠組みに、地域の実情に応じた柔軟な運用を認める新類型「特定地域サービス」の創設を明記した。

 この特定地域サービスでは、都道府県が定める「特定地域」において、管理者や専門職の常勤・専従要件、夜勤要件といった人員配置基準の弾力化が可能となる。さらに、移動コストがかさみ、利用者のキャンセルが経営圧迫に直結しやすい訪問介護などに対し、現行の「出来高制」ではなく、地域の実情に応じた「包括的な評価(定額報酬)」の仕組みを導入できる点が大きな特徴だ。

 また、民間事業者の参入が困難なケースに備え、市町村が地域支援事業として自らサービスを提供、あるいは適切に実施できる者に委託可能な「特定地域居宅サービス等事業」の枠組みも規定された。これにより、地域住民が住み慣れた地域で中重度になっても生活を継続できるためのセーフティネットを、市町村が補完する枠組みを整え、強化する姿勢が鮮明になっている。

登録施設介護支援 住宅型ホームに「ケアマネ新類型」

 都市部を中心に多様な介護ニーズの受け皿となっている有料老人ホームなどについては、サービスの透明性と中立性を確保するための抜本的な見直しが行われる。特に、住宅型有料老人ホームにおいて、併設・隣接するサービス事業所の利用を入居の条件にするような「囲い込み」が、入居者の主体的なサービス選択を妨げている実態が課題とされている。

 改正老人福祉法案では、中重度の要介護者を受け入れる有料老人ホームに対し、現行の届出制から、より厳格な「登録制度」を導入する。登録の要否は入居対象者の要件で決まるが、中重度化を理由に住み替えを求める施設を除き、現存するホームの大半が対象となる見通しだ。具体的な要件は今後政令で定められる。また、登録を受けたホームは、5年ごとの更新が必要となり、行政による指導監督が強化される。

 さらに、登録ホームの入居者に対し、ケアプラン作成と地域生活相談を包括的に提供する新たな相談支援類型「登録施設介護(予防)支援」が新設される。施設の運営法人から独立した中立な立場でのマネジメントを担保する狙いがあるが、従来の居宅介護支援とは異なり、原則1割の利用者負担が発生する点が実務上の大きな変更点となる。

 これにより、住宅型と介護付きの制度上の均衡を図りつつ、自立支援・重度化防止に資する適切なケアマネジメントの確立を目指す。しかし、地域のケアマネジャーとの連携が途絶えることで、かえってホーム内での「囲い込み」を加速させるのではないかという根強い懸念も示されている。

介護福祉士 5年従事後の資格継続廃止

 深刻化する人材不足に対応するため、介護福祉士の資格制度については、専門性と人材確保の狭間でバランスを重視した調整が図られる。

 介護福祉士養成施設の卒業者が国家試験に合格しなかった場合、卒業から5年が経過すれば介護福祉士の資格を失うことになる。具体的には、5年間従事すれば国試に合格をしないままでも資格が継続される現行の経過措置を、既定のスケジュール通り26年度卒業生をもって終了する。一方で、卒業後5年間に限り暫定的に資格を付与する経過措置の期限については、31年度卒業生まで延長する。
(シルバー産業新聞2026年5月10日号)

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