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毎月開催の「医療と介護の連携を進める会」
和歌山県は沿岸部と川筋に人が集まり、中山間の人口減少が進む。医療・介護の確保が大きな地域課題。和歌山県介護支援専門員協会の初山昌平会長らの取組みを聞いた。
連携は学びと関係づくり
初山会長は、県央の中核となる田辺市で地域医療に取り組む歯科医師。介護保険開始時にケアマネジャーになった。実務は数年でやめたが、2010年から初代の崎山賢士会長を継いで、県介護支援専門員協会の2代目会長となり、地域の医療・介護連携をめざしている。「顔の見える関係づくり」と「デジタル化」の両面からの推進の必要性を指摘し、毎月、多職種連携の「医療と介護の連携を進める会」を開催してきた。
「通院や、買い物ができない、独居高齢者が増えている。こうした地域の生活実態から制度を組み立てる。地域の困りごとに、専門職と住民が一緒に支える小さくても持続する仕組みをめざす。顔の見える関係になれば支援力がアップする」と、多職種連携をすすめる趣旨を説明する。
会は、10年4月にスタート。月1回、第3火曜日に集う。まもなく200回となる。医師、ケアマネジャー、介護職、行政などが定期的に集まる場を築いてきた。職種を超えて互いの考え方や専門用語、相談のタイミングを学び合い、日常の連携を円滑にする土台づくりを重視。このほか、大ホールで講演会や映画会を開催する。近年はオンラインを併用し便宜を図っているが、会場参加が多い。
連携の成果物に、15年から始める同圏域の「退院調整ルールの手引き」がある。翌年には退院調整の住民向け案内を作った。地域の保健所が事務局となり、高齢者施設の看取りについて、配置医師、看護・介護の施設職員、消防職員、訪問看護職員を対象とした多職種研修も開催してきた。
サービス提供が困難な中山間地域における課題を解決するための集約型モデルとして、田辺市の旧本宮町エリアで取り組まれてきた「本宮方式」がある。
高齢者が点在して暮らしている中山間地域において、自宅から集合住宅へ呼び寄せ、一カ所に集めて居住してもらう仕組みで、効率的なケアの提供がねらいだ。介護保険制度が始まった00年頃には、制度の理念である在宅中心のケアから外れるグレーな手法として批判された。「現在ではサ高住などの形で、こうした集約して支える考え方が全国的に広がった」と初山会長は言う。
「通院や、買い物ができない、独居高齢者が増えている。こうした地域の生活実態から制度を組み立てる。地域の困りごとに、専門職と住民が一緒に支える小さくても持続する仕組みをめざす。顔の見える関係になれば支援力がアップする」と、多職種連携をすすめる趣旨を説明する。
会は、10年4月にスタート。月1回、第3火曜日に集う。まもなく200回となる。医師、ケアマネジャー、介護職、行政などが定期的に集まる場を築いてきた。職種を超えて互いの考え方や専門用語、相談のタイミングを学び合い、日常の連携を円滑にする土台づくりを重視。このほか、大ホールで講演会や映画会を開催する。近年はオンラインを併用し便宜を図っているが、会場参加が多い。
連携の成果物に、15年から始める同圏域の「退院調整ルールの手引き」がある。翌年には退院調整の住民向け案内を作った。地域の保健所が事務局となり、高齢者施設の看取りについて、配置医師、看護・介護の施設職員、消防職員、訪問看護職員を対象とした多職種研修も開催してきた。
サービス提供が困難な中山間地域における課題を解決するための集約型モデルとして、田辺市の旧本宮町エリアで取り組まれてきた「本宮方式」がある。
高齢者が点在して暮らしている中山間地域において、自宅から集合住宅へ呼び寄せ、一カ所に集めて居住してもらう仕組みで、効率的なケアの提供がねらいだ。介護保険制度が始まった00年頃には、制度の理念である在宅中心のケアから外れるグレーな手法として批判された。「現在ではサ高住などの形で、こうした集約して支える考え方が全国的に広がった」と初山会長は言う。
ICTのネットワークの課題
初山会長は、地域連携を支えるには人間関係だけでなくICTの活用が不可欠だと見ている。
和歌山県内では総務省の補助金を活用して「くろしおネット」など情報共有の仕組みも試みられてきたが、介護現場では請求ソフトとは別に入力が必要になる二度手間、病院側の高額な維持更新費、国の介護情報基盤整備を見据えた様子見姿勢などが普及の壁になっていると指摘する。和歌山県が進めている医療情報共有ネットワーク「青洲リンク」が存在する中で、顔の見える関係を土台にしつつ、無理のないデータ連携を進める必要があると訴えている。
「国が進めるマイナンバーカード連携や介護情報基盤の整備が控えているため、独自のシステムへの投資を控える様子見もある」と、田辺圏域在宅医療・介護連携支援センターの中瀬政男事務局長は背景を説明する。経営状況やケアの内容を公にすることに踏み切れない事業所も。ICT活用に苦手意識を持つ人も少なくない。23年10月、初山会長は日本介護支援専門員連盟の会長に選出された。基本報酬の引き上げも含めた処遇改善を国に求め、職能団体として政治連盟を通じたロビー活動の重要性にも言及している。現場の声を政策に反映させることが、地域の介護基盤を守るために必要だと強く訴えている。
和歌山県での取組は、多職種連携の継続による地域連携の基盤づくり、ICT活用による情報共有の効率化、ケアマネジャーの処遇改善を軸とした人材確保、そして人口減少社会を見据えた地域包括ケアの再設計にある。制度を論じるだけでなく、和歌山の現場実践を通じて地域介護を持続させる道筋を具体的に示している点に意義がある。
(シルバー産業新聞2026年4月10日号)
和歌山県内では総務省の補助金を活用して「くろしおネット」など情報共有の仕組みも試みられてきたが、介護現場では請求ソフトとは別に入力が必要になる二度手間、病院側の高額な維持更新費、国の介護情報基盤整備を見据えた様子見姿勢などが普及の壁になっていると指摘する。和歌山県が進めている医療情報共有ネットワーク「青洲リンク」が存在する中で、顔の見える関係を土台にしつつ、無理のないデータ連携を進める必要があると訴えている。
「国が進めるマイナンバーカード連携や介護情報基盤の整備が控えているため、独自のシステムへの投資を控える様子見もある」と、田辺圏域在宅医療・介護連携支援センターの中瀬政男事務局長は背景を説明する。経営状況やケアの内容を公にすることに踏み切れない事業所も。ICT活用に苦手意識を持つ人も少なくない。23年10月、初山会長は日本介護支援専門員連盟の会長に選出された。基本報酬の引き上げも含めた処遇改善を国に求め、職能団体として政治連盟を通じたロビー活動の重要性にも言及している。現場の声を政策に反映させることが、地域の介護基盤を守るために必要だと強く訴えている。
和歌山県での取組は、多職種連携の継続による地域連携の基盤づくり、ICT活用による情報共有の効率化、ケアマネジャーの処遇改善を軸とした人材確保、そして人口減少社会を見据えた地域包括ケアの再設計にある。制度を論じるだけでなく、和歌山の現場実践を通じて地域介護を持続させる道筋を具体的に示している点に意義がある。
(シルバー産業新聞2026年4月10日号)


