未来のケアマネジャー
未来のケアマネジャー87 更新制廃止に伴う研修と資格管理体制整備の課題
【編集部よりお詫び】本紙2026年3月10日号4面の本連載の回数表記が「88」となっていましたが、正しくは「87」でした。以下に正しい回数を示した紙面を掲載し、お詫びいたします。
介護支援専門員(ケアマネジャー)にとって法定研修の受講は、現場でも賛否が分かれるテーマである。国は資格更新制度と法定研修の紐づけを廃止し、それに伴い研修受講の方法も大きく見直す方針を示した。この方針が広まると、「もう更新研修を受けなくてよいのか」「施行はいつからか」といった声が各地で上がった。しかし現時点で国から正式な発表はなく、明確な説明が示されないまま時間だけが過ぎていると感じる人も少なくないだろう。
実のところ、法定研修と資格管理には想像以上に大きく、かつ複雑な問題が横たわっている。国や都道府県が整理すべき事項は非常に多く、もし十分な準備期間を確保しないまま施行時期だけが先行すれば、必要な運用テストも行えず、混乱が生じることは容易に想像できる。
本来、資格は個人の財産であり、その管理は個人が責任を持つのが原則である。だが、介護事業所には運営基準に基づく人員配置基準が課されており、必要な資格を持つ専門職を適切に配置できなければ報酬に影響が出るだけでなく、事業所の質に直結するため、指定自体が危うくなる。資格管理の混乱は、事業経営に直結する重大なリスクである。
国は「研修は今後も継続する」と明言しており、研修を受講している介護支援専門員を配置するよう事業所に求める可能性は高い。つまり、資格更新制が廃止されたとしても、研修受講管理と資格管理を切り離して考えることはできない。むしろ更新制廃止により、新たな課題が噴出しているのが現状だ。
新制度では、「概ね5年のうちに所定の科目を受講する」方式が考えられ、講義はオンデマンド視聴など柔軟な受講形態が想定されている。これが実現すれば、従来のように長期間の一括受講を強いられる負担は大きく減るだろう。しかし、自分で受講時期を選べる自由が増える一方で、受講履歴を正確に把握する責任は確実に重くなる。資格は一生ものだが、個人管理だけに頼るのはリスクが高い。確実に受講状況を管理できる仕組みは不可欠である。
受講管理システムを導入するのであれば、介護支援専門員一人ひとりに生涯使用できるアカウントを付与することになる。現在、資格合格者数は81万人を超えており、これら全員が利用する大規模なシステムの構築と運用には相当なコストと労力が必要だ。いったい誰が費用を負担し、運用を管理するのか。
さらに、ケアマネジャーは生活環境や仕事の事情によって都道府県を移動することがある。しかし資格や研修の管理は都道府県単位で行われているため、地域をまたぐ場合の扱いも整備しなければならない。「引っ越したなら後は自己責任で管理してください」と言われて済ませられる話ではない。
現状、約半数の都道府県が受講管理システムを導入しているものの、全国共通を前提にした設計ではないためバラバラである。全国共通の基盤を整えるには、既存システムとの調整、未導入県での導入、職員の運用体制づくりなど、解決すべき課題が非常に多い。
また、オンデマンド受講には「ながら受講」の問題もある。動画を流しているだけで修了証を発行してよいのかという疑問は当然生じる。研修は専門職としての質を担保するために実施されており、これに対する対策が求められる。
さらに、新制度ではケアマネジャーとして従事していない期間の研修は免除される。しかし都道府県が個々の就職・退職状況をリアルタイムに把握することは不可能であり、仮に届出制にしても当事者の負担が増えたり、届出漏れからトラブルが生じたりする可能性がある。
今後、厚生労働省が事業所に対して「研修を受けているケアマネジャーの配置」を求めるのはほぼ確実だろう。分割受講が主流になれば、事業所管理者が正確な受講状況を把握することはさらに重要になる。情報の遅れや誤りは、そのまま経営リスクにつながる。
こうした背景から、あらゆる事態を想定した受講管理の仕組みとシステム構築が新制度の最低限の基盤となる。そのうえで、分割受講の対象科目の整理、全国共通教材の作成、都道府県の研修体系の再構築、講師の養成、受講者向け案内資料の作成など、多くの工程が残されている。早期施行を望む声は強いが、準備が不十分なまま進めれば全国的な混乱は避けられない。この点を関係者全体で共有し、理解と協力を得ながら慎重に制度づくりを進める必要がある。
実のところ、法定研修と資格管理には想像以上に大きく、かつ複雑な問題が横たわっている。国や都道府県が整理すべき事項は非常に多く、もし十分な準備期間を確保しないまま施行時期だけが先行すれば、必要な運用テストも行えず、混乱が生じることは容易に想像できる。
本来、資格は個人の財産であり、その管理は個人が責任を持つのが原則である。だが、介護事業所には運営基準に基づく人員配置基準が課されており、必要な資格を持つ専門職を適切に配置できなければ報酬に影響が出るだけでなく、事業所の質に直結するため、指定自体が危うくなる。資格管理の混乱は、事業経営に直結する重大なリスクである。
国は「研修は今後も継続する」と明言しており、研修を受講している介護支援専門員を配置するよう事業所に求める可能性は高い。つまり、資格更新制が廃止されたとしても、研修受講管理と資格管理を切り離して考えることはできない。むしろ更新制廃止により、新たな課題が噴出しているのが現状だ。
新制度では、「概ね5年のうちに所定の科目を受講する」方式が考えられ、講義はオンデマンド視聴など柔軟な受講形態が想定されている。これが実現すれば、従来のように長期間の一括受講を強いられる負担は大きく減るだろう。しかし、自分で受講時期を選べる自由が増える一方で、受講履歴を正確に把握する責任は確実に重くなる。資格は一生ものだが、個人管理だけに頼るのはリスクが高い。確実に受講状況を管理できる仕組みは不可欠である。
受講管理システムを導入するのであれば、介護支援専門員一人ひとりに生涯使用できるアカウントを付与することになる。現在、資格合格者数は81万人を超えており、これら全員が利用する大規模なシステムの構築と運用には相当なコストと労力が必要だ。いったい誰が費用を負担し、運用を管理するのか。
さらに、ケアマネジャーは生活環境や仕事の事情によって都道府県を移動することがある。しかし資格や研修の管理は都道府県単位で行われているため、地域をまたぐ場合の扱いも整備しなければならない。「引っ越したなら後は自己責任で管理してください」と言われて済ませられる話ではない。
現状、約半数の都道府県が受講管理システムを導入しているものの、全国共通を前提にした設計ではないためバラバラである。全国共通の基盤を整えるには、既存システムとの調整、未導入県での導入、職員の運用体制づくりなど、解決すべき課題が非常に多い。
また、オンデマンド受講には「ながら受講」の問題もある。動画を流しているだけで修了証を発行してよいのかという疑問は当然生じる。研修は専門職としての質を担保するために実施されており、これに対する対策が求められる。
さらに、新制度ではケアマネジャーとして従事していない期間の研修は免除される。しかし都道府県が個々の就職・退職状況をリアルタイムに把握することは不可能であり、仮に届出制にしても当事者の負担が増えたり、届出漏れからトラブルが生じたりする可能性がある。
今後、厚生労働省が事業所に対して「研修を受けているケアマネジャーの配置」を求めるのはほぼ確実だろう。分割受講が主流になれば、事業所管理者が正確な受講状況を把握することはさらに重要になる。情報の遅れや誤りは、そのまま経営リスクにつながる。
こうした背景から、あらゆる事態を想定した受講管理の仕組みとシステム構築が新制度の最低限の基盤となる。そのうえで、分割受講の対象科目の整理、全国共通教材の作成、都道府県の研修体系の再構築、講師の養成、受講者向け案内資料の作成など、多くの工程が残されている。早期施行を望む声は強いが、準備が不十分なまま進めれば全国的な混乱は避けられない。この点を関係者全体で共有し、理解と協力を得ながら慎重に制度づくりを進める必要がある。
(シルバー産業新聞2026年3月10日号)


