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居宅介護支援 集中減算廃止?見直し?

居宅介護支援 集中減算廃止?見直し?

 特定事業所集中減算の抜本的見直しも含めた、公正中立なケアマネジメントのあり方――。2018年度報酬改定に向け、7月19日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶應義塾大学名誉教授)で論点に挙げられた。委員からは現行の特定事業所集中減算のままを是とする意見はなく、「減算は残しつつ適用ルールの見直しを」「廃止して保険者のプランチェックで」などのほか、集合住宅減算の導入を求める意見も挙がった。

集中減算適用の事業所は7.6%

 介護保険法では、「ケアマネジャーは、常に利用者の立場に立ち、提供サービスが特定の種類や事業者に不当に偏らないよう、公正かつ確実にその業務を行わなければならない」(第69条)と定めている。ケアマネジメントの公正中立を担保するための仕組みの一つが「特定事業所集中減算」だ。ケアプランで、正当な理由(地域に事業所が少ない、利用者の希望によるなど)を持たず特定のサービス事業所への集中割合が80%を超える場合に報酬を減算(▲200単位)する仕組み。15年改定で全居宅サービスに対象を拡大し、適用割合も90%から引き下げた。16年4月実績で7.6%の事業所が減算を適用されている。減算になると特定事業所加算が受けられなくなり、事業収益が悪化する。
 16年、会計検査院は公正中立を確保するうえで、集中減算は有効な施策ではないと指摘。16年3月に同院が国会へ提出した報告書では、「一部の事業所では減算が適用されないように集中割合の調整を行うなど、公正中立を推進する合理的な施策といえず、むしろ弊害を生じさせる要因となっている」とまとめた。これを受け、同年5月の参議院決算委員会で、「ケアマネジメントの公正中立の確保に向け、現行施策の抜本的見直しも含め、そのあり方を十分に検討すべき」との決議がなされ、有効な施策の検討を厚労省に求めてきた。

 7月19日の介護給付費分科会では委員から、①適用ルールの細分化など集中減算の内容の見直し②集中減算の廃止、または見直しを行って保険者のプランチェックを強化――の案が多く寄せられた。一方で、「独立型」の事業所の推進を求める声もあがった(表)。保険者のケアプランチェックは、地域支援事業の介護給費等費用適正化事業に位置付けられている。任意事業で、13年度時点では全体の6割ほどが実施しているという。18年4月からは、居宅介護支援事業の指定権限が保険者である市町村に移管される。

サ高住移動時間「5分以内」45%

 さらに同分科会では、委員から集合住宅減算の導入を求める提案もあった。厚労省は有老ホームやサ高住などと併設している居宅介護支援事業所は、「併設なし」と比べて利用者宅までの平均移動時間が短いと説明(グラフ)。これに対して、日本医師会・鈴木邦彦委員、健康保険組合連合会・本多伸行委員が集合住宅減算の導入を求め、日本介護支援専門員協会・小原秀和委員は「アセスメントやプラン作成の業務は変わらない。移動時間が業務に占める割合からみても有効な手立てとはいえない」と反論した。
 訪問介護などでは、事業所と同一敷地または隣接敷地内に所在する建物(有老ホーム、サ高住、養護老人ホーム、軽費老人ホームに限る)の居住者へのサービス提供は10%の減算が適用される。同一、併設以外でも20人以上利用者が居住する場合も対象となっている。

 そのほか、居宅介護支援のテーマでは、▽管理者のあり方▽医療機関との連携強化▽末期の悪性腫瘍患者のケアマネジメント――も審議された。管理者のあり方では、人材育成を推進するため、主任ケアマネを管理者とすることについての議論がされたが、「現行の主任ケアマネのカリキュラムでは、人材育成に関わるのは3時間程度。期待される役割を果たせるのかどうかは検討が必要」(日本看護協会・齋藤訓子委員)などの意見が挙がった。小原委員は、「当面は専門研修Ⅱ修了者の管理者研修受講を要件としてはどうか」と提案した。専門研修Ⅱ(更新研修)の後に、主任居宅介護支援専門員研修が位置づけられている。

 医療機関との連携強化において、「入院時情報連携加算」は入院後7日以内の情報提供を要件としているが、「少なくとも入院後3日以内の情報提供が必要」(鈴木委員)との意見があった。

(シルバー産業新聞2017年8月10日号)

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