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生活援助中心型ケアプラン 届出必要に

生活援助中心型ケアプラン 届出必要に

 厚生労働省は11月22日、社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、居宅介護支援の報酬・基準について議論した。次期報酬改定では、利用回数の多い訪問介護の生活援助中心型のケアプランを市町村に届け出ることや、集中減算を訪問介護、通所介護、福祉用具に限定するなどの適正化策を打ち出す一方で、医療と介護の連携を進めていくために、入退院時の加算の見直しや末期がん患者のケアマネジメントプロセスを簡素化するなどの具体策が示された。

回数「全国平均+2標準偏差」以上が対象

 訪問介護の生活援助中心型の頻回利用については、財務省から月100回を超えて利用されているケースが存在していることなどが問題視され、「地域ケア会議等におけるケアプランの検証を要件とするなど、制度趣旨に沿った適切な利用の徹底を図るべき」との提案がなされていた。

 厚労省がこの日示したデータでは、生活援助中心型の利用回数が90以上の利用者に対し、具体的な利用状況を保険者が調査した結果、適切でないとされたのは48件中2件という結果で、多くが必要に応じて利用されているケースであることが明らかになった。ただ、不適切な事例も存在することから、生活援助中心型の回数が、要介護度別に「全国平均利用回数+2標準偏差」を超えるものについて、市町村にケアプランを届け出る案を示した。届けられたケアプランは、地域ケア会議の場で検証し、不適切な場合はサービス内容を是正する考えだ。

 示されたデータでは、生活援助中心型が「全国平均利用回数+2標準偏差」を超えるケアプランは、現時点(16年10月審査分)で4.8%(要介護1=5.5%、要介護2=5.2%、要介護3=6.1%、要介護4=5.8%、要介護5=4.3%)(図1)。来年4月に該当する範囲を示した上で、10月から施行する考え。こうした標準偏差の仕組みは、福祉用具貸与価格の上限設定(全国平均+1標準偏差)でも適用されており、今後、適正化を図る場合の手法として広がっていく可能性がありそうだ。

特定事業所集中減算 対象3サービスに戻る

 居宅介護支援の特定事業所集中減算については会計監査院から、ケアマネジメントの公正・中立を確保する観点から「必ずしも合理的で有効な施策であるとは考えられない」との指摘がなされていた。

 厚労省が示した見直し案では、①請求事業所数の少ないサービス②主治医の指示により利用する事業所が決まる医療系サービスについて、集中減算の対象サービスから外す考えが示された一方で、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与については、引き続き対象とする案が示された。80%以上を減算とするルールを維持しつつ、15年度改定前の姿に先祖返りさせる形だ。

 また、利用者との契約にあたって、▽複数の事業所の紹介を求めることが可能であること▽当該事業所をケアプランに位置付けた理由を求めることが可能であること――を説明事項として明確化するとともに、説明を行っていない場合は、運営基準減算を適用する考えも示された。

入院時情報連携加算、「3日以内」を評価

 適正化策を打ち出した一方で、地域包括ケアを進めていく観点からは、入退院時の連携の強化や末期がん患者のケアマネジメントプロセスの簡素化を図る。具体的には、居宅介護支援の入院時情報連携加算と退院・退所加算の見直しや、末期がん患者に対して、サービス担当者会議の開催を不要とする。

 入院時情報連携加算では、現行の「入院後7日以内」の情報提供に加えて、「入院後3日以内」の情報提供を新たに評価する考えを提示。併せて、情報提供の方法について、現行では実際に医療機関を訪問した場合と、そうでない場合とで評価が分けられているが、見直し後は、「医療機関を訪問又は訪問以外の方法で利用者の情報を提供」と、ファックスなどで情報提供した場合でも同等に評価し、連携を図りやすくしていく考えだ(図2)。その際、効果的な連携が図れるよう、医療機関が求める利用者情報の様式例を国が示す案も示された。

 一方、退院・退所加算では、医療機関などが開く退院時の多職種カンファレンスに参加した場合をより手厚く評価するなどの案を提示。退院時にケアマネジャーが多職種からしっかりと情報を収集することを高く評価していく考えだ(図3)。

 末期がん患者のケアプランについては、短期間での変更が求められるため、「日常生活上の障害が1カ月以内に現れる」と主治医が判断した場合に、①利用者の状態変化をケアマネジャーが確認②状態変化・ケアプラン変更について、主治医等とサービス担当者の了解を得る③ケアプラン変更について、利用者・家族の了解を得る――のプロセスを踏んだ場合、サービス担当者会議の開催を不要とする考えが示された。状態が急変する末期がん患者を在宅で看取っていく流れをさらに推進していく方向だ。

居宅の管理者要件に主任ケアマネジャー

 質の高いケアマネジメントを推進していく観点からは、居宅介護支援事業所の管理者の要件を主任ケアマネジャーとする案も提示。その場合は、一定の経過措置期間を設ける考えを示した。併せて、特定事業所加算について、他法人が運営する居宅介護支援事業所を支援する事業所を評価する考えも示された。

 見直しに向けた議論は、今月中に取りまとめられる予定。


(シルバー産業新聞2017年12月10日号)

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