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社会福祉法人 蓬愛会 外国人職員への安全衛生教育徹底

社会福祉法人 蓬愛会 外国人職員への安全衛生教育徹底

 社会福祉法人蓬愛会(大山知子理事長)は、特別養護老人ホームやデイサービス等の介護施設、小規模保育園や介護福祉士養成校など栃木県内で13施設を運営する。人材の育成・定着に力を入れており、県が実施する「とちぎ介護人材育成認証制度」では、初年度の2018年より、人材育成やワークライフバランスの実現等すべての評価項目を満たした三つ星を獲得した。

 今年2月には、労働災害防止や職員の安全・健康増進の優れた取組みを表彰する「SAFEアワード」で最優秀のゴールド賞を受賞。外国人職員への安全衛生対策の「見える化」の取組みが評価された。

 同法人が運営する養成校の学生のうち、約半数は外国人。卒業生の多くが法人内の事業所・施設に就職する。
コロナ禍には、文化や国民性の違いによって感染症対策の意識に相違が発生。マスクの着用や手洗い、換気等を行わなければならない理由を一つひとつ説明する必要があった。

 その教訓のもと、外国人職員への安全衛生教育を徹底。母国語を使用したテキストや漫画形式の教材を活用し、安全衛生管理の基礎を教え込んだ。段差や滑りやすいフロアなど注意が必要な場所には、ピクトグラムを用いたポスターを掲示。業務中何度も目にするうちに、自然と安全衛生への習慣が身についていったという。

 また、法人内の全外国人職員を集めて定期的に勉強会を開催。現場でリーダーを務める看護師が講師となり、グループワークを中心に感染症・腰痛予防などの安全対策を学んでいる。

 大山理事長は「日本の介護を習得させるために、反復学習を大切にしている。外国人は日本のテーマパークや商業施設への憧れがあり、どうしても都市部の施設に人が集まるが、働きやすさに価値を見出してもらえるよう、安全対策等の職場環境の整備が求められる」と話す。

女性職員の職場復帰支援

 同法人は、96年に県で初めて現場出身の女性施設長が誕生するなど、女性の働きやすさにも注力。出産や育児などライフステージに変化があった職員が復帰しやすい職場づくりに取組む。

 ポイントは①産休や育休は取るべきという共通認識②気兼ねなく休暇がとれる環境③女性自身の自立への意志――にある」と大山理事長。能力ある女性職員が、私生活の変化を理由にキャリアアップを諦めることをなくしていきたいという。

 これまでには、3人の子どもを出産し、合わせて6年ほど産休・育休を取得した職員が復帰した例も数多い。法人の小規模保育園に子どもを預けられることも、安心して働ける要因の一つになっている。

 大山理事長は、今年1月の能登半島地震の際には全国老人福祉施設協議会の会長として現地を訪問、並行して職員の応援派遣、義援金、支援物資を届けるなどの活動を行った。「介護施設や職員は、高齢者や利用者だけでなく、地域の人々を支える中心にならなくてはいけないと実感した。法人内に限らず、外にも目を向けた経営をしていくことが必要不可欠だと考えている」と語った。
大山理事長

大山理事長

(シルバー産業新聞2024年9月10日号)

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