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職場高齢化にこそ必要なICT ~キヤノンシステムアンドサポートの伴走支援~
阿部睦会は昭和23年(1948年)設立、75年以上の歴史をもつ。特別養護老人ホームは3拠点で運営し、64年開所の共楽荘特養ホームが最も古い。訪問介護や通所介護、配食などの在宅サービス、さらに自宅での入浴が困難な人向けに、送迎付きで施設の特殊浴槽を利用できる「施設入浴サービス」も独自に展開している。
2020年、人財育成などに関する10年間の中長期計画「むつみみらいプラン」を策定した。常務理事の阿部吉朗さんは「テーマは法人全体での業務の見える化・標準化・省力化」と強調。「事業の拡大よりも業務の質を高めるためにこれまでを振り返り、整理・分析する10年にしていきたいと考えています」と話す。そのための業務改善ツールとして、さらに経営や業務を見える化し、企業内コミュニケーションの円滑化をはかることができるソフトウエア(以下、グループウエア)や介護記録ソフト、見守り機器などを導入。介護現場からバックオフィスまで、業務全体のICT化を進めている。
一元管理にホワイトボードは不要
グループウエアについて阿部さんは、「施設内の部屋や設備、備品の利用予約を管理できるのが便利。一定以上のポジションの職員はスケジュールも共有されているので、時間調整がしやすくなりました」と説明。その結果、施設からホワイトボードがなくなった。
また、今年からは安全管理や虐待防止、感染対策など介護施設の法定研修にも活用する予定。これまでは拠点ごとに担当者を決めて実施していたが、これからは法人全体で統一された研修資料を用いて、職員はオンラインで研修が受講できる。「研修内容のバラツキを解消できるだけでなく、受講の時間や場所も選ばないため、重要な環境づくりです」(阿部さん)。各職員にIDを設定し、受講有無のチェックや受講後の効果測定も行える。
また、今年からは安全管理や虐待防止、感染対策など介護施設の法定研修にも活用する予定。これまでは拠点ごとに担当者を決めて実施していたが、これからは法人全体で統一された研修資料を用いて、職員はオンラインで研修が受講できる。「研修内容のバラツキを解消できるだけでなく、受講の時間や場所も選ばないため、重要な環境づくりです」(阿部さん)。各職員にIDを設定し、受講有無のチェックや受講後の効果測定も行える。
入居者に寄り添う時間が増える
介護記録ソフトは全拠点に導入。施設間やフロア間で異なっていた記録方法の統一化をはかるためだ。入力にはタブレット端末を使用。入力項目は、まずは毎日必ず記録するバイタル、排泄、食事、水分などから着手した。1~2カ月の移行期間の中で、入力項目の選択肢に各現場で用いていた旧項目も追加した。
介護スタッフの春日智恵さんは「タブレット端末への入力は病院付添いにも便利。入力した診療内容は施設に戻れば自動で記録・共有されます」と評価する。何より、入力場所を選ばないため、入居者と過ごす時間にも余裕が生まれた。「ちょっとした会話や手をつなぐ、隣に座るだけで、一人だと落ち着きがない人も穏やかになります」。
また、介護スタッフの小原由佳里さんは「入居者ごとのケース記録や特記情報を整理した日誌は全てデータのみで完結し、印刷・ファイリングがなくなりました」とペーパーレス化を評価。今後、加算算定も見据え生産性をより見出す業務体制にしたいと述べる。
介護スタッフの春日智恵さんは「タブレット端末への入力は病院付添いにも便利。入力した診療内容は施設に戻れば自動で記録・共有されます」と評価する。何より、入力場所を選ばないため、入居者と過ごす時間にも余裕が生まれた。「ちょっとした会話や手をつなぐ、隣に座るだけで、一人だと落ち着きがない人も穏やかになります」。
また、介護スタッフの小原由佳里さんは「入居者ごとのケース記録や特記情報を整理した日誌は全てデータのみで完結し、印刷・ファイリングがなくなりました」とペーパーレス化を評価。今後、加算算定も見据え生産性をより見出す業務体制にしたいと述べる。
見守り機器はベッド脚に敷くタイプを全床に標準装備し、入所時のモニタリングで必要だと判断した入居者のみ使用。ベッド上で体重が計測できるので、車いす体重計へ移動する手間もなくなった。
同法人は今年度、就業規則を改定。年間休日を1割増の120日とした。阿部さんは「省力化の成果の一つ。対人援助に時間を割くと同時に、職員の働きやすさにも還元していきたい」と述べる。
現在は介助方法のマニュアルを見直し中。「当法人職員の平均年齢は55歳。実は業務の標準化・省力化は働くシニア世代のためでもあります。ICTはまさにその一助になり得ます。引き続き業務の質を高められるよう取り組んでいきたい」と阿部さんは語った。
同法人は今年度、就業規則を改定。年間休日を1割増の120日とした。阿部さんは「省力化の成果の一つ。対人援助に時間を割くと同時に、職員の働きやすさにも還元していきたい」と述べる。
現在は介助方法のマニュアルを見直し中。「当法人職員の平均年齢は55歳。実は業務の標準化・省力化は働くシニア世代のためでもあります。ICTはまさにその一助になり得ます。引き続き業務の質を高められるよう取り組んでいきたい」と阿部さんは語った。
(シルバー産業新聞2024年9月10日号)