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フェニックスグループ 人財の多様性を組織づくりに活かす
フェニックスグループ(長縄敏毅理事長)はクリニックや老健などを運営する特定医療法人フェニックス、特養や通所介護、小規模多機能、障害福祉サービスなどを運営する社会福祉法人フェニックスなどで構成される。「人口減少時代・地域共生社会のダイバーシティ型人財育成・活用プロジェクト」と銘打ち、子育て期職員の職場環境改善、介護助手の活用などを実践。国・県の認定・表彰も数多く受けている。
同プロジェクトに乗り出したのは2000年代後半。07年に特養を新規開設したが、当時は戦後最長の景気拡大(いざなみ景気)が続いており、職員の採用に相当苦しめられた。
「その後人材確保ができたのは、皮肉にも08年のリーマンショックがあったから」と法人本部地域共生社会企画室の吉田理室長。今後、こういった変化やリスクに適応する生産性の高い組織づくりが求められると感じたそうだ。状況に応じて柔軟に体制・戦略を変えられる「近代サッカー型」組織をめざしていると表現する。
「その後人材確保ができたのは、皮肉にも08年のリーマンショックがあったから」と法人本部地域共生社会企画室の吉田理室長。今後、こういった変化やリスクに適応する生産性の高い組織づくりが求められると感じたそうだ。状況に応じて柔軟に体制・戦略を変えられる「近代サッカー型」組織をめざしていると表現する。
休日出勤で託児所割引
子育て支援はその一つ。リーマンショック後、子育て期の職員が働き続ける環境整備へ、託児所を設けた。1時間150円で利用。「新規採用の呼び込みにも効果があった」と吉田氏は話す。
ただ、その反面、職員シフトの全体が不均衡に。日勤帯9~16時は子育て期の職員を中心に手厚く配置できたが、早番・遅番・夜勤・休日は他の職員に負担が偏り、不満も噴出するようになってきた。
改善策として取り入れたのは、子育て職員に向けた、土日祝の出勤に対するポイント制度。まず月の所定労働時間で基本点を振り分け、そこに土曜出勤1回だと1点、日曜出勤2回以上だと7点といった具合にポイントが加算される。月の合計ポイントが高いほど託児所の利用料が減額されるしくみだ。
吉田氏は「もともと利用料が安いので経済的にはそう変わりませんが、働くモチベーションづくりの一つとしてトライしました」と説明。結果は、子育て職員の休日出勤は増え、他の職員が休みやすくなった。「チームが機能していく上で、気持ちの面での不公平感が解消されたことに、何より価値がありました。子育て職員に対する見方の変化や思いやりが伝わるようになってきました」
加えて、託児所の子どもは「社会で育てる」を理念に、高齢者ボランティアと過ごす時間を充実。子ども世代はしつけ教育やコミュニケーション力の向上、また高齢世代は地域貢献や社会での役割・生きがいの獲得が期待できる。「各世代が互いに欠けているものを補い合う。互助・互恵は人口減少社会での地域共生に欠かせません」(吉田氏)。
これらの取組みは13年に内閣総理大臣表彰(子どもと家族・若者応援団表彰)を受けることに。また、仕事と家庭の両立支援を評価する県独自制度「岐阜県ワーク・ライフバランス推進エクセレント企業」には12年から認定を受けている。
ただ、その反面、職員シフトの全体が不均衡に。日勤帯9~16時は子育て期の職員を中心に手厚く配置できたが、早番・遅番・夜勤・休日は他の職員に負担が偏り、不満も噴出するようになってきた。
改善策として取り入れたのは、子育て職員に向けた、土日祝の出勤に対するポイント制度。まず月の所定労働時間で基本点を振り分け、そこに土曜出勤1回だと1点、日曜出勤2回以上だと7点といった具合にポイントが加算される。月の合計ポイントが高いほど託児所の利用料が減額されるしくみだ。
吉田氏は「もともと利用料が安いので経済的にはそう変わりませんが、働くモチベーションづくりの一つとしてトライしました」と説明。結果は、子育て職員の休日出勤は増え、他の職員が休みやすくなった。「チームが機能していく上で、気持ちの面での不公平感が解消されたことに、何より価値がありました。子育て職員に対する見方の変化や思いやりが伝わるようになってきました」
加えて、託児所の子どもは「社会で育てる」を理念に、高齢者ボランティアと過ごす時間を充実。子ども世代はしつけ教育やコミュニケーション力の向上、また高齢世代は地域貢献や社会での役割・生きがいの獲得が期待できる。「各世代が互いに欠けているものを補い合う。互助・互恵は人口減少社会での地域共生に欠かせません」(吉田氏)。
これらの取組みは13年に内閣総理大臣表彰(子どもと家族・若者応援団表彰)を受けることに。また、仕事と家庭の両立支援を評価する県独自制度「岐阜県ワーク・ライフバランス推進エクセレント企業」には12年から認定を受けている。
定年は自分で決める
「ダイバーシティ型人財」の一戦力として、2018年からは介護助手の採用を開始。初年度の「お仕事相談会」には12人が参加し、7人が就労を希望、うち5人が就労に至った。現在も相談会・募集は施設ごとに継続している。
業務内容は▽一定程度の専門知識・技術・経験を要するAクラス(更衣見守り、食堂・トイレ誘導、入浴準備など)▽短期間の研修で習得可能な専門的知識・技術が必要となるBクラス(ポータブルトイレの洗浄・片付け、とろみ茶の用意、車いすの洗浄・空気入れなど)▽マニュアル化・パターン化しやすく専門的知識・技術を要しないCクラス(テーブル拭き、ベッドメイキング、おむつ・パッド類の補充)――に分類。全老健東憲太郎会長が運営する老健「いこいの森」をベースとしている。
就労者へのアンケートでは、地域貢献や学びの機会、社会とのつながりをモチベーションにしているとの回答が多数。吉田氏は「未経験でも介護の仕事が向いているかもしれない、と思っている人が、一歩踏み出すきっかけ作りになっています」と述べる。なかには、介護助手から介護福祉士になった人も。法人内で介護職員実務者研修講座や介護福祉士試験対策講座を設けるなどのサポートを行う。
さらに、同法人の継続雇用制度は、定年後も希望すれば70歳まで再雇用が可能。以降も基準を設け、年齢上限なく働き続けることができる。10月現在、最高齢は82歳の介護助手。81歳の介護職員は年下の利用者を介助するのも日常だという。
厚生労働省の「高年齢者活躍コンテスト」では昨年度、優秀賞を獲得した。
業務内容は▽一定程度の専門知識・技術・経験を要するAクラス(更衣見守り、食堂・トイレ誘導、入浴準備など)▽短期間の研修で習得可能な専門的知識・技術が必要となるBクラス(ポータブルトイレの洗浄・片付け、とろみ茶の用意、車いすの洗浄・空気入れなど)▽マニュアル化・パターン化しやすく専門的知識・技術を要しないCクラス(テーブル拭き、ベッドメイキング、おむつ・パッド類の補充)――に分類。全老健東憲太郎会長が運営する老健「いこいの森」をベースとしている。
就労者へのアンケートでは、地域貢献や学びの機会、社会とのつながりをモチベーションにしているとの回答が多数。吉田氏は「未経験でも介護の仕事が向いているかもしれない、と思っている人が、一歩踏み出すきっかけ作りになっています」と述べる。なかには、介護助手から介護福祉士になった人も。法人内で介護職員実務者研修講座や介護福祉士試験対策講座を設けるなどのサポートを行う。
さらに、同法人の継続雇用制度は、定年後も希望すれば70歳まで再雇用が可能。以降も基準を設け、年齢上限なく働き続けることができる。10月現在、最高齢は82歳の介護助手。81歳の介護職員は年下の利用者を介助するのも日常だという。
厚生労働省の「高年齢者活躍コンテスト」では昨年度、優秀賞を獲得した。
(シルバー産業新聞2024年11月10日号)