連載《プリズム》
プリズム(2025月6月10日号) 外国人介護人材の活用
4月から、技能実習や特定技能の外国人が、一定の要件のもとで、訪問系サービスにも従事ができるよう制度が見直された。これまで施設系サービスが中心だった外国人介護人材の活躍の場が、訪問系サービスへも拡大したことで、人手不足が深刻な介護現場にとっては大きな転機を迎えている。
新たに対象となったサービスは、▽訪問介護▽(介護予防)訪問入浴介護▽夜間対応型訪問介護▽定期巡回・随時対応型訪問介護看護▽総合事業の訪問型サービス。一定の要件として、事業者に①訪問介護等に関する知識・技能の研修実施②一定期間、同行訪問などOJTの実施③業務内容などの丁寧な説明と意向確認、キャリアアップ計画の策定④ハラスメント対策⑤現場で不測の事態が発生した場合などに対応するためのICT活用を含めた環境整備――の5つの事項の順守を求めている。
さらに、制度見直しの最終段階で、外国人に対して「介護職員初任者研修の修了」に加え、「介護事業所等での実務経験が1年以上」の要件を課したことにより、受け入れのハードルは一気に高まった。即戦力を期待していた単独事業所や小規模事業所からは「期待外れ」との声が上がっている。
訪問系サービスは、利用者の自宅に赴き、一対一のサービス提供を行うことから、高い日本語能力やコミュニケーション能力、日本文化への理解などが必要不可欠とされる。こうした特性を考えると、慎重な制度設計が必要なのは理解できる。ただ、現場ではヘルパーが確保できず、事業継続が困難な状況があることを踏まえると、実務経験の要件は、もっと検討の余地があったのではないか。
東京商工リサーチの調べでは、2024年度の訪問介護の倒産件数は年間86件で、過去最多となった。国には、制度によって質を担保する責任がある一方で、介護現場の実情を把握して支える役割もある。大局的な視点に立った、外国人介護人材活用の方策を検討してもらいたい。
(シルバー産業新聞2025年6月10日号)
新たに対象となったサービスは、▽訪問介護▽(介護予防)訪問入浴介護▽夜間対応型訪問介護▽定期巡回・随時対応型訪問介護看護▽総合事業の訪問型サービス。一定の要件として、事業者に①訪問介護等に関する知識・技能の研修実施②一定期間、同行訪問などOJTの実施③業務内容などの丁寧な説明と意向確認、キャリアアップ計画の策定④ハラスメント対策⑤現場で不測の事態が発生した場合などに対応するためのICT活用を含めた環境整備――の5つの事項の順守を求めている。
さらに、制度見直しの最終段階で、外国人に対して「介護職員初任者研修の修了」に加え、「介護事業所等での実務経験が1年以上」の要件を課したことにより、受け入れのハードルは一気に高まった。即戦力を期待していた単独事業所や小規模事業所からは「期待外れ」との声が上がっている。
訪問系サービスは、利用者の自宅に赴き、一対一のサービス提供を行うことから、高い日本語能力やコミュニケーション能力、日本文化への理解などが必要不可欠とされる。こうした特性を考えると、慎重な制度設計が必要なのは理解できる。ただ、現場ではヘルパーが確保できず、事業継続が困難な状況があることを踏まえると、実務経験の要件は、もっと検討の余地があったのではないか。
東京商工リサーチの調べでは、2024年度の訪問介護の倒産件数は年間86件で、過去最多となった。国には、制度によって質を担保する責任がある一方で、介護現場の実情を把握して支える役割もある。大局的な視点に立った、外国人介護人材活用の方策を検討してもらいたい。
(シルバー産業新聞2025年6月10日号)