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香川県の介護保険 人材確保に向けて外国人人材の活用を促進

2023年度の香川県の総人口はおよそ93万人であり、1999年の103万人をピークに年少・生産年齢人口を中心に減少が続く。65歳以上が29万人、高齢化率32.5%と全国平均を上回る。40年には総人口が80万人に減少する一方で、高齢者人口はほぼ横ばいで推移し高齢化率は37.3%まで増加する見込みだ。特に、85歳以上人口の占める割合が増加し、医療・介護ニーズへの体制整備の切迫が懸念されている。

県の高齢者福祉圏域は高松市西端を境に東部と西部圏域、そして小豆圏域を加えた3圏域に分かれる。およそ40万人が高松市、10万人が丸亀市に住んでおり、人口の都市部への集中が進む。食品製造や輸送用機械などの製造業、サービス業への従事者が多く、小豆島.直島など離島では瀬戸内国際芸術祭のようなアートを起点とした観光産業が盛んに行われている。40年にかけて高齢化は、さぬき市や東かがわ市といった東部圏域と、小豆島など離島を中心に急速に進む。これは、海運を含めて県内の交通アクセスがよく、進学や就職を契機に県外や高松市などの都市部に人口が移り住むことが原因とされる。
「首都圏や大阪、交通の便のよい岡山県への流出が多い。生産年齢人口の減少の一因となっている」と県長寿社会対策課主任の山下大輔さんは分析する。
「首都圏や大阪、交通の便のよい岡山県への流出が多い。生産年齢人口の減少の一因となっている」と県長寿社会対策課主任の山下大輔さんは分析する。
都市部は在宅、過疎地は施設
人口の集積する高松市などでは在宅サービスの提供件数が多い。「近年、有料老人ホームも急激に増えている。個々の利用者宅を訪問しているのか、施設を集中的に訪問しているのか見えづらい」と山下さんは話す。
一方で、中山間地域が多い東かがわ市やまんのう町といった人口の少ない地域では在宅サービスの利用が進んでおらず、特養や老健などの施設サービスが地域高齢者の生活を支えているが、介護給付費を押し上げる要因となっている側面もある。
介護事業所のない島では、ケアマネジャーや介護事業者が船で海を渡り利用者のケアを行う。それぞれの島が所属する自治体が、介護事業者や利用者に対して船賃などの助成を行っているが、島外のサービスを利用せざるを得ない離島があるのも実情である。
一方で、中山間地域が多い東かがわ市やまんのう町といった人口の少ない地域では在宅サービスの利用が進んでおらず、特養や老健などの施設サービスが地域高齢者の生活を支えているが、介護給付費を押し上げる要因となっている側面もある。
介護事業所のない島では、ケアマネジャーや介護事業者が船で海を渡り利用者のケアを行う。それぞれの島が所属する自治体が、介護事業者や利用者に対して船賃などの助成を行っているが、島外のサービスを利用せざるを得ない離島があるのも実情である。
外国人人材の就労を後押し
県の22年度の介護職員数はおよそ1万8千人。推計では26年度2600人、45年度には6600人の介護人材が不足する。生産年齢人口は減少する一方で、ICT・介護ロボットの活用や外国人人材は必須となる。
中でも県では外国人人材確保に力を入れる。昨年時点で介護施設において、インドネシア出身者を中心に在留資格者145人、特定技能373人が就労している。「もともと県では製造業等を中心に外国人が多く就労しているが、介護分野でも受入れを進めたい」(同課課長補佐の廣田章臣さん)。
今年度も受入れ促進策として、介護施設等に対して就労時の初期経費の一部を補助する。また外国人介護職員とのコミュニケーションを促進する取組みや、介護福祉士の資格取得に向けた学習支援、外国人介護職員の生活支援に必要な取組.孤立防止やホームシック等メンタルヘルスケア等に要する経費を助成する。
「助成金だけではなく、受け入れ実績のない施設のハードルを下げるための取組みを進める必要がある」(山下さん)。
中でも県では外国人人材確保に力を入れる。昨年時点で介護施設において、インドネシア出身者を中心に在留資格者145人、特定技能373人が就労している。「もともと県では製造業等を中心に外国人が多く就労しているが、介護分野でも受入れを進めたい」(同課課長補佐の廣田章臣さん)。
今年度も受入れ促進策として、介護施設等に対して就労時の初期経費の一部を補助する。また外国人介護職員とのコミュニケーションを促進する取組みや、介護福祉士の資格取得に向けた学習支援、外国人介護職員の生活支援に必要な取組.孤立防止やホームシック等メンタルヘルスケア等に要する経費を助成する。
「助成金だけではなく、受け入れ実績のない施設のハードルを下げるための取組みを進める必要がある」(山下さん)。
かがわ介護王座決定戦で技術を競う
また、これから介護業界を目指す若い人のイメージアップや、すでに介護に従事している人のモチベーションアップにつなげるため地域医療介護総合確保基金を活用し「かがわ介護王座決定戦」を実施している。今年で12回目。介護職員が日頃から培った介護技術で利用者へのよりよい介護を競い合う。
昨年の食事介助部門では、「80代で要介護度3」の設定の利用者を居室から食堂まで誘導し、食事介助を行うというシチュエーションで実施された。1チーム3人のチーム制であり食事、入浴、排泄の3部門の総合得点や各部門の最高得点などで表彰を目指す。「イベントをきっかけに、介護の仕事は楽しくやりがいがあることがたくさんの人に伝わって欲しい」(同課介護人材グループ)
昨年の食事介助部門では、「80代で要介護度3」の設定の利用者を居室から食堂まで誘導し、食事介助を行うというシチュエーションで実施された。1チーム3人のチーム制であり食事、入浴、排泄の3部門の総合得点や各部門の最高得点などで表彰を目指す。「イベントをきっかけに、介護の仕事は楽しくやりがいがあることがたくさんの人に伝わって欲しい」(同課介護人材グループ)
介護テクノロジーのさらなる定着を目指す
ICT・介護ロボット導入促進に向けた施策は、前回の第8期計画より盛り込まれた。厚労省によると今年1月時点でICT・介護ロボット等の導入状況は、全施設28.0%、施設系30.2%、通所系28.0%、訪問系30.1%と全国平均を下回る。
今年の予算は6000万円を予定しており、介護労働安定センター香川支部が運営する介護テクノロジー相談窓口と連携しながら更なる拡充をはかる。
「施設からは新規導入に加え、すでにある機器の有効活用を進めたいとの声も聞かれる」(山下さん)。
今年の予算は6000万円を予定しており、介護労働安定センター香川支部が運営する介護テクノロジー相談窓口と連携しながら更なる拡充をはかる。
「施設からは新規導入に加え、すでにある機器の有効活用を進めたいとの声も聞かれる」(山下さん)。
認知症予防のモデル事業実施
県の65歳以上推計人口と国の認知症有病率をもとに試算すると、45年には県の認知症高齢者は6万2千人になると推計される。県民に向けたアンケートで、認知症施策について特に関心が高かったのが▽家族の身体・精神的負担を減らす取組み▽治療法の開発▽介護施設の充実――であった。
これを踏まえ、認知症を正しく理解し、本人や家族に対してできる範囲で手助けする認知症サポーターを市町と協力して養成しているほか、認知症の人やその家族が安心して暮らすことができるように、本人の状態に応じて利用できるサービスや支援をまとめた認知症ケアパスが各市町により設定されている。
認知症予防についても力を入れており、昨年度より座学や運動、知的活動を組み合わせた「認知症予防プログラム」を作成し、今年1月にかけて実証モデル事業を実施した。今後、市町介護予防教室等への管理栄養士、理学療法士などの専門職の派遣を通じてプログラムの普及を図る予定。
これを踏まえ、認知症を正しく理解し、本人や家族に対してできる範囲で手助けする認知症サポーターを市町と協力して養成しているほか、認知症の人やその家族が安心して暮らすことができるように、本人の状態に応じて利用できるサービスや支援をまとめた認知症ケアパスが各市町により設定されている。
認知症予防についても力を入れており、昨年度より座学や運動、知的活動を組み合わせた「認知症予防プログラム」を作成し、今年1月にかけて実証モデル事業を実施した。今後、市町介護予防教室等への管理栄養士、理学療法士などの専門職の派遣を通じてプログラムの普及を図る予定。

(シルバー産業新聞2025年7月10日号)