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宮崎県の介護保険 事業所評価・外国人・生産性に新事業

宮崎県は昨年度、人材確保策の要として①働きやすい職場づくり②外国人介護人材の受入れ③生産性向上――の各施策について新事業をスタートした。①では職場環境等の指標で一定水準を満たした事業所を認証・公表する「みやざき働きやすい介護事業所認証制度」を創設。②では海外現地視察に加え、マッチング支援の委託事業を実施している。③では昨年11月、介護生産性向上総合相談センターの開設にこぎつけた。
【介護保険の状況】要介護認定率の上昇広がる職員需給差
同県の高齢化率は2023年度時点で33.7%。40年には38.5%に達する。高齢者人口は25年に35.5万人でピークを迎える見込み。その後緩やかに減少を続けるが、これに対し64歳以下が25年~40年の15年間で12.2万人(18.2%)減少すると推計されている。要介護認定率は23年で16.2%と全国平均よりは低め。しかし26年以降は後期高齢者割合に比例して上昇し、40年時点では2割を超える。
介護サービス利用者は23年の5.5万人(居宅3.7万人、施設0.9万人、地域密着0.8万人)から、40年は6.5万人(居宅4.2万人、施設1.1万人、地域密着1.1万人)と推移。地域密着の伸びが最も大きい。
介護職員数は22年度時点で2.2万人。介護が必要な人の数(需要)と職員数(供給)との差は26年2563人、40年7771人に広がると予測され、同県の第9期介護保険事業支援計画では「参入促進」「労働環境・処遇の改善」「資質の向上」の3つの視点から総合的な対策を講じるよう努めるとしている。
介護サービス利用者は23年の5.5万人(居宅3.7万人、施設0.9万人、地域密着0.8万人)から、40年は6.5万人(居宅4.2万人、施設1.1万人、地域密着1.1万人)と推移。地域密着の伸びが最も大きい。
介護職員数は22年度時点で2.2万人。介護が必要な人の数(需要)と職員数(供給)との差は26年2563人、40年7771人に広がると予測され、同県の第9期介護保険事業支援計画では「参入促進」「労働環境・処遇の改善」「資質の向上」の3つの視点から総合的な対策を講じるよう努めるとしている。

【働きやすい職場づくり】初年度44事業所が認証
「みやざき働きやすい介護事業所認証評価制度」は、これまで取り組んできた「宮崎県働きやすい介護職場づくり宣言事業」をさらに推進するため、昨年度新たに創設。第9期の3年間(24~26年度)で認証100事業所をめざす。初年度は2カ月の限られた期間だったが、20法人・44事業所が申請。認証済事業所は近く同県ウェブサイトで公表される。
福祉保健部長寿介護課副主幹の川野有里子氏は「どの事業所も人材が枯渇する中、少しでも優位に選ばれるアピールポイントとして関心を持っていただいたのでは」と説明。今年度は前期(6~9月頃)と後期(10月~翌年1月頃)の2回で募集を行う。
事業所は「自己点検シート」で自ら評価を行い、取組に該当する項目が60%以上であることが申請条件。その後、県が現地審査で申請内容の履行状況を確認し、認証を付与する。点検シートは5分野(新規採用者の育成体制/キャリアパスと人材育成/労働環境、処遇の改善/介護事業所の運営等/その他)、計54項目で構成。「結果的に、介護職員処遇改善加算の職場環境等要件と重複する項目も多い。当認証制度を入口に、加算取得につなげる事業所が増えることも期待できる」(川野氏)。
今後、認証事業所の一覧だけでなく、事業所個別の取組を紹介するなど、好事例の横展開もはかるとしている。
福祉保健部長寿介護課副主幹の川野有里子氏は「どの事業所も人材が枯渇する中、少しでも優位に選ばれるアピールポイントとして関心を持っていただいたのでは」と説明。今年度は前期(6~9月頃)と後期(10月~翌年1月頃)の2回で募集を行う。
事業所は「自己点検シート」で自ら評価を行い、取組に該当する項目が60%以上であることが申請条件。その後、県が現地審査で申請内容の履行状況を確認し、認証を付与する。点検シートは5分野(新規採用者の育成体制/キャリアパスと人材育成/労働環境、処遇の改善/介護事業所の運営等/その他)、計54項目で構成。「結果的に、介護職員処遇改善加算の職場環境等要件と重複する項目も多い。当認証制度を入口に、加算取得につなげる事業所が増えることも期待できる」(川野氏)。
今後、認証事業所の一覧だけでなく、事業所個別の取組を紹介するなど、好事例の横展開もはかるとしている。

認証事業所のロゴマーク。動物がくっついて暖をとり 、みんなで寄り添う温かい職場をイメージした。加えて、ハートが白からピンクになる過程を入れ、心が温まっていく様子を表現している
【外国人介護人材の受入れ】現地視察で宮崎をPR
昨年6月時点で、同県で働く外国人介護人材は537人。1年間で約230人増えている。同課介護人材・高齢化対策担当リーダーの神祐子氏は「福祉系学校も軒並み定員割れが続いている。若い人材だけに頼るのは限界。外国人は即戦力になり得る」と話す。
下支えとなっているのが、昨年度始めた「特定技能外国人材マッチング支援事業」と現地視察の2つ。マッチング支援は地域医療介護総合確保基金(介護分)を活用し、受入れ制度に関する説明会や面接前のガイダンス、雇用契約や入国支援まで、受入れ事業者への一貫したサポートを行う。実務は人材紹介企業へ委託している。
昨年度は全てミャンマーから、36人のマッチングに成功。受入れた11法人のうち9法人が初の外国人採用だった。神氏は「人材は必要だけど動き方が分からない、ノウハウがないといった事業所の掘り起こしになった」と説明。「同基金での取組は鹿児島、沖縄で既に実践されている。より近隣県との競合にもなる。待っていても外国人は宮崎をほとんど知らない。攻めの姿勢で事業を進めたい」と強調する。
その一つとして、昨年は県担当者と県内介護事業所がベトナムの送り出し機関3カ所を訪問。県のPRと共に、求職者のニーズ聞き取りなどを行った。「採用、入国が決まる前に、求職者と事業者が直接コンタクトをとる場を提供できたのが最大のメリット。仕事内容や待遇面は同行した介護事業所に説明していただいた」と神氏。このほか、生活面のフォローや勉強する環境も重視していることも分かったという。
下支えとなっているのが、昨年度始めた「特定技能外国人材マッチング支援事業」と現地視察の2つ。マッチング支援は地域医療介護総合確保基金(介護分)を活用し、受入れ制度に関する説明会や面接前のガイダンス、雇用契約や入国支援まで、受入れ事業者への一貫したサポートを行う。実務は人材紹介企業へ委託している。
昨年度は全てミャンマーから、36人のマッチングに成功。受入れた11法人のうち9法人が初の外国人採用だった。神氏は「人材は必要だけど動き方が分からない、ノウハウがないといった事業所の掘り起こしになった」と説明。「同基金での取組は鹿児島、沖縄で既に実践されている。より近隣県との競合にもなる。待っていても外国人は宮崎をほとんど知らない。攻めの姿勢で事業を進めたい」と強調する。
その一つとして、昨年は県担当者と県内介護事業所がベトナムの送り出し機関3カ所を訪問。県のPRと共に、求職者のニーズ聞き取りなどを行った。「採用、入国が決まる前に、求職者と事業者が直接コンタクトをとる場を提供できたのが最大のメリット。仕事内容や待遇面は同行した介護事業所に説明していただいた」と神氏。このほか、生活面のフォローや勉強する環境も重視していることも分かったという。
【生産性向上】相談センター、今年度本格稼働
全国的には遅れをとるも、昨年11月末に「みやざき介護生産性向上総合相談センター」が開設。介護労働安定センターの福祉用具展示場をリニューアルした。リフト、移乗支援機器を充実させた「ノーリフティングケアZONE」や、ベッド+見守り機器が比較できる介護DXコーナーなど、最新の介護テクノロジー機器が充実する。


介護生産性向上総合相談センター常設展示場。(上)移乗支援機器(下)ベッド+見守り機器
昨年度は稼働4カ月で相談40件、常設展示場に約100人が来場したほか、12月に宮崎市・都城市・延岡市で開催した出張展示・相談会には計80人が参加。「想定より来場者が多く、関心の高さがうかがえた」と同課副主幹の飯干竜也氏は話す。
同センターで注力したいのが、機器未導入事業所への伴走支援。飯干氏は「特に小規模事業所はコスト面での壁も高く、数多くある製品からの選定も簡単ではない。研修会等を通じて、同じ事業形態・規模での導入事例の共有をはかりたい」と述べる。25年度「介護テクノロジー導入支援事業」は当初予算で2億円を計上。同県調べでは、テクノロジー機器導入済の介護施設は約8割。第9期中に全施設での導入を目標としている。
(シルバー産業新聞2025年5月10日号)
同センターで注力したいのが、機器未導入事業所への伴走支援。飯干氏は「特に小規模事業所はコスト面での壁も高く、数多くある製品からの選定も簡単ではない。研修会等を通じて、同じ事業形態・規模での導入事例の共有をはかりたい」と述べる。25年度「介護テクノロジー導入支援事業」は当初予算で2億円を計上。同県調べでは、テクノロジー機器導入済の介護施設は約8割。第9期中に全施設での導入を目標としている。
(シルバー産業新聞2025年5月10日号)