連載《プリズム》

介護の未来を担う人

介護の未来を担う人

 3月、出入国管理・難民認定法改正案が閣議決定し、外国人の日本在留資格として新たに介護職が追加された。(プリズム2015年5月)

 日本で介護福祉士の国家試験に合格した外国人は、介護の専門職として介護に従事できることになる。これまでは、EPA(経済連携協定)によって入国し介護福祉士の資格取得をした外国人でないと、専門職としては認められなかった。

 外国人技能実習制度の実習期間を最長3年間から5年間へ延長することも正式に決まった。受入れ企業の監視を強める監督機関「外国人技能実習機構」も創設される。製造業などの69業種に加えて、一定の日本語能力を条件に、介護分野も入る見込みだ。これらを盛り込んだ改正法案は今国会に上程される。

 政府は移民の大量受入を検討し始めた。2月の経済財政諮問会議の専門部会「選択する未来委員会」は、毎年20万人ずつ外国人を受け入れていけば、50年で計1000万人の外国人が日本に入るという。毎年20万人の外国人受入の背景には、ものや金だけではなく「人の交流」を推進するTPP(環太平洋パートナーシップ協定)締結の動向がある。同委員会は、30年に合計特殊出生率が2.07%に回復すると想定。外国人の受け入れと合わせて、日本の総人口は60年に1億989万人となり、ほぼ1億1000万人水準を維持できるとする。

 一方、社会保障審議会福祉部会の福祉人材確保専門委員会はようやく、過去2回、施行が延期された介護福祉士資格の取得方法の一元化を進める考えを示した。養成校ルートの国試受験義務化は2年後の17年度から5年間かけて漸進的に導入する。実務経験ルートは予定通り16年度に施行する。ただし、本来は次年度の受験になる4月採用者について、3年目に実務3年を満たす「見込み受験」を認める。

 15年の介護報酬改定では、介護職員処遇改善加算の上乗せとともに、兼務や専従要件などを見直す人員配置基準の緩和も図られた。次期18年改定では、サービスの統合などを通じても、この流れは加速するに違いない。日本人の介護は日本人が担うべきという想いや願いは、変わるのだろうか。

(シルバー産業新聞2015年5月10日号)

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