連載《プリズム》

地域の受け皿

地域の受け皿

 いよいよ社会保障国民会議が「給付の重点化・効率化」の具体案に踏み込んだ。「議論の整理案」では、世界に冠たるフリーアクセス医療も見直される。(プリズム2013年5月)

 超高齢社会に合った「地域全体で、治し・支える医療」への転換を掲げ、ひとりの医師が総合的に高齢者をみる総合医制度の提示や、すべての診療所の在宅療養支援診療所化の原則なども提起された。看護師免許は登録制にして、潜在看護師を把握できる公的システムを確立すべきという。介護人材の確保には、これまで以上の処遇改善とキャリアパスの確立が重要と述べた。

 病院頼み、介護施設頼みからの脱却をうたう。「医療の機能分化のためには、しっかりした地域包括ケアを構築すべき」としたが、これは、在院日数の短縮に伴う医療ニーズを、在宅や地域で受け留める仕組みを作らなければならないということ。また「介護施設利用の適正化のためにもまちのインフラ作りの全体的な取組みが必要」というが、これも、特養利用者を中重度者に限るための、老健の在宅復帰を拡げるための地域の受け皿づくりを意味する。

 要支援者の保険外化にも言及された。要支援者が受ける予防給付は、受給者は98万人、費用額は月394億円。「軽度の高齢者は、見守り・配食等の生活支援が中心であり、要支援者の介護給付範囲を適正化すべき」として、「保険給付から地域包括ケア計画と一体となった事業に移行し、ボランティアやNPOなどを活用し柔軟・効率的に実施すべき」という。12年改正で創設された「介護予防日常生活支援総合事業」の展開を図るねらいだ。

 現行の総合事業は「市町村の選択により」実施するが、これが全保険者で義務化される可能性がある。現在の要支援者に対する予防給付は経過措置として残るのか。総合事業で介護予防の質は保てるのか。国は5月15日(水)まで国民会議への意見募集を行っている。

(シルバー産業新聞2013年5月10日号)

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