連載《プリズム》

サバイバル化する介護保険

サバイバル化する介護保険

 15年の介護報酬改定率は▲2.27%。衝撃のマイナス改定である。(プリズム2015年2月)

 18年度までに市町村事業へ移行する介護予防通所介護についてみると、要支援1の本体報酬は2115単位から1647単位へと22%減少する。予防給付として存続する介護予防通所リハビリテーションについては、それを上回る引下げ幅。要支援1は2433単位から、25%減の1812単位となる。14年度介護経営実態調査に予防給付と介護給付サービスの収支差(税引き後)を見ると、通所介護は10.1%、通所リハは7.0%。これらの収支差を大幅にダウンさせれば、予防サービスの事業継続が困難になる。

 報酬アップになったのは、介護職員処遇改善加算、サービス提供体制加算、それに地域加算のうち1級地と2級地である。介護人材の確保につながるものばかりだ。予防サービス報酬の大幅引下げと合わせて考えれば、そのねらいを推察できる。介護職の給与を産業一般なみに引上げて、その限られた人材を中重度へシフトするのが国の意図だろう。

 訪問介護の介護職員処遇改善加算は、現行の4%から一挙に8.6%に引き上がった。各事業所のサービス実績の8.6%のお金が、介護人材の給与アップなどの処遇改善のために給付される。しかし、その財源こそは、マイナス改定になった介護報酬だ。先の経営実態調査によれば、訪問介護の収支差は7.4%。収入に占める給与費の割合は73.7%である。処遇改善加算の倍増によって月例賃金は上がっても、ボーナスなどによる調整があるかもしれない。介護職員の総収入がどの程度アップできるかは疑問だ。

 要支援者の予防給付が縮小すれば、後は市町村ががんばるしかない。市町村は、予防給付に代わる地域支援事業を整備しなければならない。国は昨秋、早くに「新総合事業」へ移行した市町村ほどそれにかけるお金を増やせる仕組みを導入した。しかし全国1579保険者の中で、今年4月からの市町村事業化を決めているのは114保険者にとどまる。市町村事業化が簡単でないことを表す結果だ。

 今改定には消費税10%化の延期が影響している。だが、財務省主導の介護報酬水準の抑制が働いたのも確かだ。「要支援難民」は出してはならない。介護保険サービスはサバイバル時代を迎えた。

(シルバー産業新聞2015年2月10日号)

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