連載《プリズム》

ネット選挙・解禁

ネット選挙・解禁

 7月21日の参議院選挙は初のネット選挙。選挙期間中の選挙活動を、インターネットを使って展開できるようになった。(プリズム2013年7月)

 ネットによる投票ができるわけではないが、出馬した人も有権者も自由にネットで意見が言えるので、若者の投票率が上がればよいと期待する報道も多かった。政治はけっして他人事ではない。若者よ、みんなで政治の話をしよう。

 社会保障制度は、サービスを受ける人だけの問題ではなく、制度を支えるためのお金を出す人の問題でもある。現行の制度は世代間扶養の考えに基づき、社会をつくってきた高齢者を若い世代が支えている。誰しも社会サービスが必要になるときが来るという意味では、両者に本質的な葛藤はないといえるのだが、これからの日本は少子高齢化の人口減少社会。すでに国家予算の半分は、税収入の裏打ちのない国債でまかなっている。財政均衡を取ろうとすれば、大増税にならざるを得ない。

 憲法9条を改正しようとする議論がある。憲法9条は、戦勝国に押しつけられたもので、自衛権さえ奪われているというのが改正の理由だ。しかし、いま第9条のもとで自衛隊を有する日本において、あえて憲法改正を行って自衛権をうたう必要があるのだろうか。湾岸戦争のときも、イラクのときも憲法9条は自衛隊が一線を超えることを阻止した。戦争になれば、戦場に駆り出されるのは若者だ。自民党の草案では、表現の自由は、公益及び公の秩序を害することを目的とした場合は、認めないとした。これでは、戦争に反対したくても、その声すら上げられない。本来、政府をしばるはずの憲法が、国民の自由をしばってしまう。

 円高是正のアベノミクスは効果があった。株価も上昇した。その前で人々は、発するべき声を失ったかのように見える。停滞した日本経済の現状に何とか希望を見いだしたいという思いからかも知れない。少子高齢化による人口減少という社会のファンダメンタルの大転換が起きている日本。やがて、この大転換は世界の潮流になる。これにどう対処するか、はじめから答えが用意されているわけではない。選挙にあたり、あるべき日本の姿を考えようとすることで、この社会は変わる。あなたが投票しなくとも、投票結果はあなたの生活に関わる。

(シルバー産業新聞2013年7月10日号)

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