連載《プリズム》

「住所地特例」

「住所地特例」

 住所地特例とは、転居前の住所地の保険者が給付費を支払う仕組み。所在地の介護保険財政の負担を防ぐことで、介護保険の施設を建てやすくしている。(プリズム2013年11月)

 住所地特例の対象には、介護保険法13条に規定があり、特養・老健・介護療養の介護保険3施設と「特定施設」がある。小規模特養などの地域密着型サービスは住所地特例の対象にならない。

 制度創設時は介護保険3施設だけだったが、2005年改正時に「特定施設」が加わり、見直しされてきた。現在、「特定施設」には、有料老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホーム、適合高専賃が含まれる。実は、この「特定施設」は、特定施設入居者生活介護でいう特定施設と同一ではない。

 介護保険の対象かどうかを問わず、「特定施設」の対象施設はすべて住所地特例の対象になる。たとえば、有料老人ホームには介護付きと住宅型があるが、ともに住宅地特例の対象だ。このうち、介護付き有料老人ホームは介護保険の対象。一方、住宅型は介護保険対象にならず、在宅と同様に外部の介護保険サービスを使う。この点は、急速に整備が進んでいるサービス付き高齢者向け住宅と変わらない。そこで15年改正の論議では、有料老人ホームに準じて、サービス付き高齢者向け住宅も住所地特例の対象に含める方向だ。

 住所地特例が適用される人は、通常、所在地の市町村に住民票があるが、保険料は転居前の市町村で支払っているので、所在地の地域密着型サービスや地域支援事業を利用できない。次期改正では、この点も見直して、住所地特例の適用者が所在地の地域支援事業が利用できるように改める方向だ。

 11年末で、住所地特例の適用者は11万人余り。介護のために住み替えが必要な状況がある限り、住所地特例はなくならない。

(シルバー産業新聞2013年11月10日号)

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