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ケアマネジャー 地域包括ケアの先導役に期待 15年度施行めざし制度見直し

 「ケアマネジャーの資質向上と今後のあり方検討会」が今年1月7日にまとめた「議論の中間的な整理」の諸項目が、15年介護保険制度改革に向けて具体的に動き出した。

 「ケアマネジャーの資質向上と今後のあり方検討会」が今年1月7日にまとめた「議論の中間的な整理」の諸項目が、15年介護保険制度改革に向けて具体的に動き出した。ポイントは①居宅介護支援の事業者指定を都道府県から市町村へ移管する②地域ケア会議の法制化をめざす③ケアマネ試験の受験資格を、従来の法定資格者以外では施設の生活相談員等に限るほか、試験の解答免除を廃止する④主任ケアマネによる現場での実務研修の実施、更新制の導入を行う――など。8月28日の介護保険部会において、「地域包括ケアシステムの構築」の一環として厚労省から提起された。今後、同部会において議論する。

 居宅介護支援事業所で8万人、地域包括支援センターや介護保険事業所などを合わせると13万5000人が働くケアマネジャー。画一的にならざるを得ない制度を個別ニーズに対応させるケアマネジメントの中核的存在だ。しかしアセスメント力の不足や訪問看護の活用が少ないなど、今後の地域包括ケアシステムの推進に向けて、そのあり方の見直しが検討されてきた。

 8月28日開催の介護保険部会で、厚労省は、先の「ケアマネジャーあり方検討会」の「議論の中間的な整理」で示された提言を実施に移す方向性を示した。

■居宅介護支援事業の指定権限 市町村へ移管

 保険者機能の強化の面から、居宅介護支援事業所の指定権限を都道府県から市町村に移すことを検討する。現在、居宅介護支援事業所に対する指導・監査は、都道府県だけでなく市町村にも権限があるが、改正後は、都道府県は指導だけを行い、市町村が指導・監査と、現在は都道府県が権限をもつ勧告、命令、指定の取消・効力停止についても行う。11月末までに介護保険部会で議論し、来年の通常国会に改正法案を提出する考え。ただ、施行時期は要検討としている。地域密着型サービスに移行させる方法だと、現在の利用者が市町村の境界線を跨いで利用できなくなるため、指定権限だけ移す方法で検討が進められる。
(図)ケアマネ事業所指定権限 都道府県から市町村へ

(図)ケアマネ事業所指定権限 都道府県から市町村へ

■地域ケア会議の法制化

 昨年6月時点で、1202保険者で実施されている地域ケア会議。「地域ケア個別会議」と「地域ケア推進会議」がある。介護保険法上に位置づけて、市町村に設置を義務づけ、15年度からの実施をめざす方向で議論する。地域ケア会議は、地域包括支援センター(ブランチ含めて全国に7072カ所)が開催し、サービス担当者会議との連携を図りながら、困難事例等の個別ケースの検討を行う。地域医師会などから、直接サービス提供にあたらない専門職種の参加も求め、ケアマネジメントの質の向上を図る。地域づくりや政策形成へもつなげるため、市町村は「地域ケア推進会議」を開催する。

■ケアマネ試験 法定資格者と施設相談員に限定

 介護支援専門員実務研修受講試験の見直しを行い、原則、法定資格保有者に受験要件を限定することや、試験における解答免除の廃止が提起された。対象となる法定資格者の範囲は変わらないが、5年の従事期間について、これまでの「法定資格に基づく業務に従事した期間」に、施設での相談援助業務や介護等に従事した期間も加える。受験要件の見直しは、今年度から省令改正の検討を始め、来年度以降、経過措置期間を設けて施行する考え。解答免除は14年度に実施要項を改正し、15年度の試験から適用する。

■主任ケアマネによる現場での実務研修実施

 主任ケアマネジャーについては、研修カリキュラムを見直すとともに、更新制を導入し、更新時研修を創設することが提案されている。また、ケアマネジャーの実務研修については、主任ケアマネジャーが指導・支援する仕組みも導入する考え。いずれも13年度から14年度にかけて省令等を改正し、15年度からの施行をめざしている。

■研修終了時にテスト 認知症、看護や福祉用具も必修に

 研修制度の見直しでは、▽研修修了時の修了評価の導入▽実務従事者基礎研修の必修化▽専門研修等のカリキュラムの見直し、「認知症」「リハビリテーション」「看護」「福祉用具」「医療との連携」などを包含▽研修実施のためのガイドラインの策定――が提言されていた。これらは13年度中に告示等を改正し、15年度から新カリキュラムに切り替わる予定。ガイドラインの策定・見直しについては今年度から継続的に取り組む。

■介護保険外サービスのみケアプランに報酬/レンタルのみケアプラン報酬見直し

 インフォーマルサービスなど、現状では介護報酬上の評価がつかず給付管理が発生しないケアプランにも報酬設定を検討する。一方、福祉用具貸与のみケアプランの報酬は、効率化を検討する。介護報酬に関わることから、介護保険部会で議論した後に、来年度に介護給付費分科会で審議した上で告示等の改正を行う。施行は15年度からを予定。 

■課題整理表・評価表は研修の場で

 中間整理でケアプラン様式とは別に、新たな「課題抽出シート」と「評価表」を導入することが提案されていたが、この日示されたスケジュールでは、13年度中に活用方法や事例集を提示した後、まずは研修の場での活用を始めることになった。
介護支援専門員の制度 見直しスケジュール

介護支援専門員の制度 見直しスケジュール

(シルバー産業新聞2013年9月10日号)

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