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特養入所「要介護3以上」案に例外規定 認知症、虐待など
厚生労働省は2013年10月30日、社会保障審議会介護保険部会を開催し、提案している特別養護老人ホームへの入所基準を要介護3以上に限定する方針について、やむを得ない事情が認められる場合は、要介護1・2でも例外的に入所を認める案を示した。
特養への入所基準を要介護3以上に限定する方針は、9月18日の同部会ですでに提案されていた。その際、特養や利用者団体から反対があったほか、自治体からも「やむを得ない事情がある場合については、要介護1・2の人の入所があってしかるべき」などの慎重論が出ていた。
それを受け、この日の部会で厚労省は「特養は在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化すべきであり、入所を要介護3以上に限定すべき」と基本的な方針は維持しつつ、「軽度の要介護者であっても、やむを得ない事情により、特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の関与のもと、施設ごとに設置している入所検討委員会を経て、特例的に特養への入所を認めることとしてはどうか」との考えを示した。
要介護1・2でも入所が必要と考えられる例外ケースとして厚労省が示した案は、①認知症高齢者であり、常時の適切な見守り・介護が必要であること②知的障がい・精神障がい等も伴って、地域での安定した生活を続けることが困難であること③家族によるサポートが期待できず、また、現に地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないこと④家族等による虐待が深刻であり、心身の安全・安心の確保が不可欠であること――の4点。
これに対し、出席した委員からは「今回の提案については評価したい」(桝田和平・全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員会委員長)、「要介護1・2でもやむを得ない事情があれば特例が認められるのは、大変ありがたい」(藤原忠彦・全国町村会長)など、厚労省案を支持する意見が多く出た一方で、「例外を認めるのは問題。
特にサービスの提供体制不足を理由に入所を認めてしまうと、地域のサービス提供体制が整わなくなってしまう」(久保田政一・日本経済団体連合会専務理事)などの反対意見や、「例外規定は評価できる反面、非常に曖昧な部分がある。ローカルルールができたり、地域格差が出てしまう」(結城康博・淑徳大学総合福祉学部教授)などの意見があった。
また、今回の見直しでは「現在の入所者への配慮を求めるべき」との意見が出ているため、既存の入所者については、現在の要介護1・2の人や、制度見直し後に、要介護度が1・2に改善した場合であっても、引き続き入所できる経過措置を設ける方針も示された。さらに新規入所者でも、要介護3以上で入所した後に、要介護1・2に改善した場合、例外規定に該当すれば、引き続き入所の継続を認める考えも説明された。一方で、今後、軽度の入所者に対する在宅復帰支援策についても施策的に一層充実させていく考えも示された。
また、地域包括ケアシステムの中で、特養を在宅生活を継続するためのサービスの拠点として活用することを検討していくことも提案され、出席した委員から異論は出なかった。
(シルバー産業新聞2013年11月10日号)
それを受け、この日の部会で厚労省は「特養は在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化すべきであり、入所を要介護3以上に限定すべき」と基本的な方針は維持しつつ、「軽度の要介護者であっても、やむを得ない事情により、特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の関与のもと、施設ごとに設置している入所検討委員会を経て、特例的に特養への入所を認めることとしてはどうか」との考えを示した。
要介護1・2でも入所が必要と考えられる例外ケースとして厚労省が示した案は、①認知症高齢者であり、常時の適切な見守り・介護が必要であること②知的障がい・精神障がい等も伴って、地域での安定した生活を続けることが困難であること③家族によるサポートが期待できず、また、現に地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないこと④家族等による虐待が深刻であり、心身の安全・安心の確保が不可欠であること――の4点。
これに対し、出席した委員からは「今回の提案については評価したい」(桝田和平・全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員会委員長)、「要介護1・2でもやむを得ない事情があれば特例が認められるのは、大変ありがたい」(藤原忠彦・全国町村会長)など、厚労省案を支持する意見が多く出た一方で、「例外を認めるのは問題。
特にサービスの提供体制不足を理由に入所を認めてしまうと、地域のサービス提供体制が整わなくなってしまう」(久保田政一・日本経済団体連合会専務理事)などの反対意見や、「例外規定は評価できる反面、非常に曖昧な部分がある。ローカルルールができたり、地域格差が出てしまう」(結城康博・淑徳大学総合福祉学部教授)などの意見があった。
また、今回の見直しでは「現在の入所者への配慮を求めるべき」との意見が出ているため、既存の入所者については、現在の要介護1・2の人や、制度見直し後に、要介護度が1・2に改善した場合であっても、引き続き入所できる経過措置を設ける方針も示された。さらに新規入所者でも、要介護3以上で入所した後に、要介護1・2に改善した場合、例外規定に該当すれば、引き続き入所の継続を認める考えも説明された。一方で、今後、軽度の入所者に対する在宅復帰支援策についても施策的に一層充実させていく考えも示された。
また、地域包括ケアシステムの中で、特養を在宅生活を継続するためのサービスの拠点として活用することを検討していくことも提案され、出席した委員から異論は出なかった。
(シルバー産業新聞2013年11月10日号)