千田透の時代を読む視点
高齢社会対策大綱、大きな ビジョンと具体策が必要だ。
政府の「高齢社会対策大綱」が6年ぶりに改定された。同大綱は、政府が推進する高齢社会対策の中長期にわたる基本的かつ総合的な指針で、概ね5年を目途に見直しが行われる。
新しい大綱では、冒頭部分で、「高齢者の体力的な若返りも指摘されている」「65歳以上の就業者等は増加し続けており、その意欲も高い状況にある」などとして、「年齢によって、『支える側』と『支えられる側』を画することは実態に合わないものとなっており、新たな高齢期像を志向すべき時代が到来しつつある」と明記している。
確かに、この20年間で日本人の平均寿命は、男女共に約3歳延伸している。また、医学的に見ても、様々な科学的根拠を基に、高齢者の体力的な若返りが指摘されているのは事実である。
ただ、平均寿命と健康寿命の間には依然として、男性で8・73年、女性で12・06年の差があり、この差を縮めるための具体策に乏しいのが、気がかりではある。ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子供の半数が、107歳より長く生きると推計されており、世界一の長寿社会を、どのように維持・発展させていくのか、国民がその将来像をイメージし、共有するための指針や具体策を指し示すことが大綱の役割であろう。
今回の大綱では、「年齢に関わりなく希望に応じて活躍し続けられる経済社会の構築」を基本的な考えに据え、高齢期の就業などを促進させていく考えになっている。もちろん、そのことも大事だが、少子高齢化により人口構造が大きく変化していく中で、国の経済を維持・発展させていくためには、若者や女性などに対する就労支援が不可欠であり、高齢者の就業促進を明記するだけでは、高齢社会の
対策としては不十分である。
世界一の高齢社会でありながらも、国力を高めていける経済政策を掲げ、その上で、地域のセーフティネット機能を高め、つながりや支え合いによる包摂的な社会を構築していく。そうした、大きなビジョンとそれを実現させるための具体策が必要なのである。
「人生100年時代」で、豊かな生活を送るためには、生涯にわたる健康づくりと介護予防の推進が重要である。そうした意味では、今回の大綱で「食育」の重要性を明記した点は大きく評価できる。具体的には「食や生活に関する基礎の習得にもつながる共食の機会の提供等を行う取組や、大人を対象に日々の消費行動をより安全なものへと転換する『大人の食育』等の取組を推進する」としている。
高齢者の一人暮らしが増加していく中、妻に先立たれた男性一人暮らしの高齢者の生活をどう支えていくかは、現実問題として大きな課題なっている。平均寿命以上に健康寿命を延ばしていくためには、こうした取組を地道に行っていくことが重要だ。
確かに、この20年間で日本人の平均寿命は、男女共に約3歳延伸している。また、医学的に見ても、様々な科学的根拠を基に、高齢者の体力的な若返りが指摘されているのは事実である。
ただ、平均寿命と健康寿命の間には依然として、男性で8・73年、女性で12・06年の差があり、この差を縮めるための具体策に乏しいのが、気がかりではある。ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子供の半数が、107歳より長く生きると推計されており、世界一の長寿社会を、どのように維持・発展させていくのか、国民がその将来像をイメージし、共有するための指針や具体策を指し示すことが大綱の役割であろう。
今回の大綱では、「年齢に関わりなく希望に応じて活躍し続けられる経済社会の構築」を基本的な考えに据え、高齢期の就業などを促進させていく考えになっている。もちろん、そのことも大事だが、少子高齢化により人口構造が大きく変化していく中で、国の経済を維持・発展させていくためには、若者や女性などに対する就労支援が不可欠であり、高齢者の就業促進を明記するだけでは、高齢社会の
対策としては不十分である。
世界一の高齢社会でありながらも、国力を高めていける経済政策を掲げ、その上で、地域のセーフティネット機能を高め、つながりや支え合いによる包摂的な社会を構築していく。そうした、大きなビジョンとそれを実現させるための具体策が必要なのである。
「人生100年時代」で、豊かな生活を送るためには、生涯にわたる健康づくりと介護予防の推進が重要である。そうした意味では、今回の大綱で「食育」の重要性を明記した点は大きく評価できる。具体的には「食や生活に関する基礎の習得にもつながる共食の機会の提供等を行う取組や、大人を対象に日々の消費行動をより安全なものへと転換する『大人の食育』等の取組を推進する」としている。
高齢者の一人暮らしが増加していく中、妻に先立たれた男性一人暮らしの高齢者の生活をどう支えていくかは、現実問題として大きな課題なっている。平均寿命以上に健康寿命を延ばしていくためには、こうした取組を地道に行っていくことが重要だ。