千田透の時代を読む視点

外国人介護人材の訪問介護 できるだけ早い時期に  実施を

 介護分野の人手不足の問題が深刻化している。厚生労働省の推計では、高齢化がピークを迎える2040年度には、介護人材が280万人必要になると試算しており、2019年度時点の211万人から、毎年3万3000人ずつのペースで増やしていく必要があるとしている。

 しかしながら、昨年発表された雇用動向調査では、介護分野に入職する人よりも、離職する人の方が上回る結果になっており、介護人材確保の先行きに不透明感が増している。

 こうした中、期待を集めているのが外国人介護人材の活用である。2024年度の介護報酬改定では、EPA介護福祉士候補者や技能実習生などの外国人介護職員について、これまでは就労開始から6カ月が経過しなければ、人員配置基準に算入できなかったところを、一定の要件を満たすことで、就労開始直後からカウントできるように見直しが行われる。

 また、3月22日に開かれた「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」では、EPA介護福祉士候補者や技能実習生、特定技能などの外国人介護職員に対し、人手不足がより深刻となっている訪問系サービスにも従事できるようにする案が示され、大筋で了承された。

 本連載でこれまでも述べてきたが、こうした論点については、外国人だから訪問系サービスに従事できる・できない、と判断するのではなく、サービス提供できるスキルがあるかどうかで判断すべきであり、根本的な考え方を改めていく必要がある。
 大事なのは、人材不足が深刻化していく中で、中長期的な視野に立って、わが国の介護をどうしたいのか、そのために外国人介護人材にどのように活躍してもらうのか、その根本となる考えを定めることなのである。

 その上で、例えばコミュニケーションに不安があるのであれば、ICTなどのテクノロジーを活用する方法などもあるし、一定期間は複数の人間で対応するなどの方法もある。
 また、ハラスメントの対策やキャリアアップの構築なども必要になるだろう。どうすれば、外国人介護人材が、日本の介護現場で活躍できるようになるのか、その方法について知恵を絞る方向に物事が進んでいくことが大事だ。

 そういう意味では、今回の見直しは、これまで述べてきたような方向に物事が進んでいく見直しになっており、大きく評価できる。
 今後は、できるだけ早く外国人介護人材が訪問介護などの業務に従事できるように、具体的な要件を早急に詰めていってもらいたい。

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