千田透の時代を読む視点

ケアマネ試験の受験者数減少 将来必要なケアマネの確保を

厚生労働省の発表によれば、10月13日に実施された「第27回介護支援専門員実務研修受講試験」の受験者は5万3718人となり、5年ぶりの減少となった。ご承知のように、ケアマネ試験の受験者数は、2018年度にそれまでの13万人台から一気に6割以上減少し、その後も回復することなく、今では現場からケアマネ不足の声が聞こえる状況になっている。

 受験者数が減った一つの要因として、国は受験資格を厳格化した点を挙げている。それまでは、法定資格の保有者、相談援助業務の経験者に加え、「介護等の業務経験が5年または10年以上」など、「介護業務等従事者」も受験できていたが、18年度の試験から「介護業務等従事者」は受験資格から除外され、法定資格保有者と相談業務経験者に限定されることになった。

 ただ、過去の試験結果を見ると、合格者のうち「介護業務等従事者」の割合は全体のおよそ1割に過ぎない。そこの門戸を閉ざしたとして、これほど受験者数が減少する理由にはならない。そのため、なぜ受験者数がこれほど減少したままの状態になっているのか、国はきちんと検証し、説明していく必要があるだろう。

 個人的には、居宅介護支援が処遇改善加算の対象から外れていることで、ケアマネジャーの賃金が他の介護職に比べて、上げにくい状況にあることが影響しているのではないかと感じている。24年度の介護報酬改定では、居宅介護支援の基本報酬の逓減制を緩和し、ケアマネ一人当たりの担当件数を増やしていくことで、経営の安定や処遇の改善を図っていく道筋が示されているが、現場に戸惑いがあるのも事実だ。

 ICTやAIなどのテクノロジーが普及・発展してきている中で、将来的に必要となるケアマネジャーの数や担当件数、処遇改善、ケアマネジメントの質の確保など、正面を切った議論が不足しているように感じているのは筆者だけではないはずだ。
ケアマネジャーは、これまでも、これからも、介護保険制度の「扇の要」の存在であることに変りはない。団塊の世代が75歳以上となり、今後、益々要介護高齢者が増えていく中で、ケアマネジャーが足りなくて、現場が回らないことはあってはならない。

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