特養・特定施設 看取り加算を充実

特養・特定施設 看取り加算を充実

 10月29日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会では、施設サービスの介護老人福祉施設(特養)と特定施設入居者生活介護について、見直しの議論が行われた。

基本報酬は引下げを検討

 特養の見直し論点に掲げられたのは、①看取り加算の充実②職員による柔軟な地域貢献活動の実施③サテライト型特養の本体施設化④日常生活継続支援加算の見直し⑤在宅・入所相互利用加算の見直し⑥障害生活支援員加算の見直し⑦基準費用額の見直し⑧多床室の室料負担⑨基本報酬の見直し――の9点。

 このうち、①看取り加算の充実では、あらたな要件として「入所者の日々の変化を記録により、多職種で共有することによって連携を図り、看取り期早期からの入所者及びその家族等の意向を尊重しながら、看取り介護を実施」、「施設における看取り介護の体制構築・強化をPDCAサイクルにより推進」の2点を追加することで、死亡日30日前~4日前までの報酬を引き上げる案を提示した。

 ④日常生活継続支援加算の見直しでは、現行では加算の要件に「介護福祉士の手厚い配置」と「重度の入所者の受入れ」を同時に評価しているが、同じく介護福祉士の手厚い配置を評価するサービス提供体制強化加算と要件が重複していることから、見直しを行う考え。その際、処遇改善加算の見直しも併せて検討する必要があるとした。

 ⑨基本報酬の見直しについては、各方面から内部留保の適正化が指摘されていることや、直近の介護事業経営実態調査による収支差率が8.7%と高い水準が維持されている点を踏まえ、基本報酬を見直すことが論点に据えられた。

 一方、特定施設入居者生活介護では、①サービス提供体制強化加算の創設②認知症専門ケア加算の創設③看取り加算の充実④基本報酬の見直し⑤ショートステイの要件緩和⑥法定代理受領の同意書の廃止⑦外部サービス利用型のあり方――の7点が見直しの論点として提示された。

 その中で、①サービス提供体制強化加算の創設では、今後、特養の利用者が原則、要介護3以上に限定されることを踏まえ、特定施設には軽度者の入居の増加が見込まれることから、軽度者が重度化した場合でも、引き続き特定施設においてサービスを提供し続けられるよう、サービス提供体制強化加算を創設する考え。

 サービス提供体制加算の創設により、重度化への対応を行う一方で、④基本報酬の見直しの論点では、要支援2の人員配置基準(3対1)を、要支援1の基準(10対1)に揃え、報酬を引き下げる考えも示している。

 また、⑤ショートステイの要件緩和では、現行要件の「開設後3年経過」「入居率80%以上」の2つの要件が、制度利用の阻害要因になっているとして、「入居率80%」は撤廃、「開設後3年経過」は、グループホームに倣って「居宅サービス等の運営について3年以上の経験を有すること」に見直す案を提示した。

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