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一定以上所得者、特養多床室の室料負担へ

一定以上所得者、特養多床室の室料負担へ

10月29日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会で、厚労省は一定以上所得者に対して、特養の多床室の室料負担を求める案を示した。在宅で暮らす人との負担の均衡を図るのが目的。同時に昨今の光熱水費の高騰を踏まえ、多床室の基準費用額を引き上げる考えも示した。

光熱水費上昇で基準費用額も見直し

 在宅で暮らす人との負担の均衡を図るのが目的。同時に昨今の光熱水費の高騰を踏まえ、多床室の基準費用額を引き上げる考えも示した。

 05年に行われた介護保険法改正により、施設における居住費・食費は全額自己負担となったが、多床室については、居住環境の違いや低所得者を支える観点から、室料負担が見送られてきた経緯がある。

 この日の審議会で厚労省は▽「利用者負担第1~3段階」については、補足給付により利用者負担を増加させない▽多床室のプライバシーに配慮した居住環境改善に向けた取組を進める▽多床室の基本サービス費は、従来型個室を参考に設定――を要件に、多床室にも室料負担を求める見直し案を提示した。

 厚労省の資料では、特養入所者52万人のうち、室料負担となる「利用者負担第4段階」の人の割合は18%程度。8割近くが「第1~3段階」にあるものの、来年度から特養への入所制限や補足給付の見直しを予定している中で、さらなる負担増に利用者からの反発も予想される。

 委員の全国介護老人福祉施設協議会村上勝彦副会長からも「給付抑制、自己負担ありきではなく、低所得者の方々への十分な配慮が図られるべきで、多床室料を利用者に転嫁することは反対」と意見が述べられた。

 また、この日は電気代の値上げなどにより、光熱水費の負担が増していることから、多床室における基準費用額の見直しを行う考えも提示。

 厚労省が示した資料では、基準費用額設定時の家計調査(03年10月)の水光熱費は9,490円だったのに対し、直近の調査(13年10月)では、1万1,215円に上昇。この差額をもとに、見直し額の検討を行う考え。

 なお、ユニット型個室の居住費(光熱水費+室料)は、04年時の介護事業経営概況調査の6万7,794円をもとに、「6万円」に設定しているが、直近の14年介護事業経営実態調査結果でも6万4,642円となっていたことから、見直しは行わない方針だ。

 多床室における基準費用額の見直しについては、老健や介護療養病床も同様に行う案を示している。

(シルバー産業新聞2014年11月10日号)




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