ニュース
エシカル郡山 訪看ステーションで子ども食堂

2020年に創業したエシカル郡山(星佳子代表)は、「希望を叶える」のコンセプトのもと、①訪問看護②子ども食堂③健康経営サービス――の3事業を行っている。現役世代から健康意識を高めフレイルになりにくい身体づくりを促し、要支援になっても社会参加で自立につなげるよう、長期的なアプローチで地域全体を支えている。
創業時より運営する「ちいきステーションtoivo」は、介護保険からの卒業を目標とする訪問看護ステーション。もともと地域包括支援センターで看護師として働いていた星代表が、要支援の高齢者とかかわる中で、訪問看護を通して自立を促すことを目指して立ち上げた。現在の利用者数は230人程度で、そのうち介護保険利用が9割。特に認知症の高齢者が多い。
手作り弁当100食が完売する子ども食堂
「こども食堂PENTA」では、毎月2回toivoの利用者やスタッフ、多世代のボランティアらが弁当を手作りし、大人300円・子ども無料で提供している。名前の由来のペンタゴン(五角形)は家の形をモチーフとしており、同じ屋根の下で地域・高齢者・親・子ども・学生がともに活動する場をイメージした。
「新型コロナウイルスの流行時は外出が制限され、元気な高齢者でも疎外感や孤独から認知機能の低下が加速していた。少しでも主体的に参加し地域とつながる場が必要だと感じた」と星代表。
現在の参加高齢者は約10人で、toivo利用者の自立支援の役割も持つ。「スペイン語を学びながらスペイン料理を作る」「旬に合わせて梅シロップづくりに挑戦」などイベント要素も取り入れ、積極的な参加を促している。1日100食を提供するが、15分で完売するほどの盛況ぶり。取り組みを知った人が家庭菜園で作った野菜を差し入れてくれるなど、材料費を抑え、フードロス削減にもつながっている。
なかでも反響を呼んだのは、20年に惜しまれつつも閉店した洋食店の店主・Aさんが監修・調理した弁当。店をたたみ生活が一変したAさんの機能低下を心配した娘の提案で、PENTAの活動に参加した。Aさんには軽度の認知症があるが、「45年もやってきた。身体が全部覚えている」と、レシピを見ずとも当時のメニューを再現。名物だったドレッシングを作って販売したときは、行列ができたそうだ。
星代表は「本人の過去の栄光や経験はどんどん活かすことの大切さを再確認した。地元の人も思い出の味を心から楽しみ、Aさん・娘さん・地域の人たちみんなの希望が叶えられた」と振り返る。
「新型コロナウイルスの流行時は外出が制限され、元気な高齢者でも疎外感や孤独から認知機能の低下が加速していた。少しでも主体的に参加し地域とつながる場が必要だと感じた」と星代表。
現在の参加高齢者は約10人で、toivo利用者の自立支援の役割も持つ。「スペイン語を学びながらスペイン料理を作る」「旬に合わせて梅シロップづくりに挑戦」などイベント要素も取り入れ、積極的な参加を促している。1日100食を提供するが、15分で完売するほどの盛況ぶり。取り組みを知った人が家庭菜園で作った野菜を差し入れてくれるなど、材料費を抑え、フードロス削減にもつながっている。
なかでも反響を呼んだのは、20年に惜しまれつつも閉店した洋食店の店主・Aさんが監修・調理した弁当。店をたたみ生活が一変したAさんの機能低下を心配した娘の提案で、PENTAの活動に参加した。Aさんには軽度の認知症があるが、「45年もやってきた。身体が全部覚えている」と、レシピを見ずとも当時のメニューを再現。名物だったドレッシングを作って販売したときは、行列ができたそうだ。
星代表は「本人の過去の栄光や経験はどんどん活かすことの大切さを再確認した。地元の人も思い出の味を心から楽しみ、Aさん・娘さん・地域の人たちみんなの希望が叶えられた」と振り返る。

100食の弁当を一つひとつ手作り。真剣な表情が浮かぶ
健康経営を作業療法士が支援
昨年4月には健康経営サービス「ReSTAR」を開始。現役世代の職業病改善を目的とし、痛みや不調の原因を、人・作業・環境の3点から作業療法士が分析し、指導やグループワークを通してリハビリを行う。現在はオフィスワーカーや農家など幅広い業種の6社で導入。エイジフレンドリー補助金の募集が始まった5月から問合せが増加しているという。
星代表は「今の働く世代は健康に対する認識が薄い」と指摘。まずは我が事にしてもらうため、グループワークで自分やチームの健康の悩みを洗い出し、作業療法士が適切なストレッチや環境づくりを提供する。就業時間内に作業環境を整えればプライベートの時間も充実し、仕事への意欲や生産性の向上にも。「少しでも長く高齢期を元気に過ごしてもらうために、現役世代のうちから健康に対する意識を高めることが大切」(星代表)。
星代表は「今の働く世代は健康に対する認識が薄い」と指摘。まずは我が事にしてもらうため、グループワークで自分やチームの健康の悩みを洗い出し、作業療法士が適切なストレッチや環境づくりを提供する。就業時間内に作業環境を整えればプライベートの時間も充実し、仕事への意欲や生産性の向上にも。「少しでも長く高齢期を元気に過ごしてもらうために、現役世代のうちから健康に対する意識を高めることが大切」(星代表)。
ステーション同士の交流で有事に備える
同社では、地域の訪問看護ステーションの職員同士の交流会も開催。年2回、PENTAの弁当を食べながら「訪問看護あるある」を語り合う場は大変好評とのことだ。目的の一つは、有事の際の連携体制構築に備えること。もし発災して自事業所が機能しなくなった場合でも、お互いのステーションの場所や職員の顔などを把握できていれば、利用者の安全な避難が確保できる。
「競合のステーション同士の仲が良いのは珍しいかもしれないが、地域全体をよくしていくには協力体制が必須」と星代表。未来を担う子どもたちが住み続けやすい地域の土壌を作るため、今後も展開を広げていきたいと述べた。
「競合のステーション同士の仲が良いのは珍しいかもしれないが、地域全体をよくしていくには協力体制が必須」と星代表。未来を担う子どもたちが住み続けやすい地域の土壌を作るため、今後も展開を広げていきたいと述べた。

星代表
(シルバー産業新聞2024年7月10日号)