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「みなみちゃんち渋民」(岩手県盛岡市)訪問サービスの活用 「家に帰りたい」実現

岩手県盛岡市の最北に石川啄木の故郷で知られる渋民がある。4年前の2021年7月に、看護小規模多機能型居宅介護を展開する「みなみちゃんち渋民」(ゆーとぴあミナミ、南澤幸一社長)が開設された。地域で少ない訪問看護も併設し、看護師の存在が医療との連携によって利用者の安心を支えている。
同法人は2006年から遠く離れた埼玉県深谷市で介護事業を展開している。南澤社長の故郷である長野と同様な豊かな自然を求めて、21年に妻で専務の南澤幸子さんの故郷・渋民でも介護サービスを始めた。施設は、北に啄木が愛した岩手山を望む田園にある。近くに道の駅やホームセンターができて便利になったという。ケアプラン事業所のほか、深谷はグループホーム、看多機、訪問看護を、渋民は看多機と訪問看護を、離れた地域での2拠点展開を続けている。
「看多機は、小多機に訪問看護が付き、医療の安心感とともに、使いやすいサービスです」と管理者の石川幸子さん。先輩格の埼玉県深谷市の「みなみちゃんち」の管理者で看護師の小久保知英さんも、「看多機の良さは利用者の自宅に行けること。生活全体を知ることができます」と話す。
埼玉では、グループホームからスタートしたが、「家に帰りたい」という希望を叶えることが難しかったことや、看取りへの対応の必要性から看多機の展開につながったと、南澤専務は経緯を話す。
「看多機は、小多機に訪問看護が付き、医療の安心感とともに、使いやすいサービスです」と管理者の石川幸子さん。先輩格の埼玉県深谷市の「みなみちゃんち」の管理者で看護師の小久保知英さんも、「看多機の良さは利用者の自宅に行けること。生活全体を知ることができます」と話す。
埼玉では、グループホームからスタートしたが、「家に帰りたい」という希望を叶えることが難しかったことや、看取りへの対応の必要性から看多機の展開につながったと、南澤専務は経緯を話す。

アロマテラピーの力
アロマテラピーにも注力。看護師の大沢田真利奈さんは、病院勤務の時から認知症ケアとしてアロマテラピーに関心を持ち、実地できる介護事業所を探していた。においや味など、五感を刺激することで効果が得られるのではないかと南澤社長が共感し、大沢田さんの施術が実現した。
「アロマテラピーは、においとともに、コミュニケーションやマッサージが大事です」。落ち着いた雰囲気の中で、柑橘系の香に包まれながら、大沢田さんは利用者の手指をゆっくり伸ばすようにして触っていく。香りは好みによって変える。語りかけによって、気持ちが和らぎ委ねるような気持ちになっていく。意欲の向上や、飲んでいる薬も減らせる効果も期待できるのではないかと大沢田さんは話す。
食事に満足してもらおうと、米は新潟からコシヒカリを取り寄せ、果物も長野のリンゴやすいか、メロンを提供する。よい食材にこだわり、外国産のものは原則使わないという。一人ひとりしっかり栄養のある食事を提供している。ただし、「食費は赤字です」(南澤専務)。
看多機と訪問看護の併設によって、包括報酬と出来高制の違いや要支援者への対応などがあり、利用者の状況に応じてサービスの自由度が高まっている
ホールには南澤専務の甥で演歌歌手の福田こうへいさんの写真が飾られ、代表曲の「南部蝉しぐれ」が流れている。今後はコロナ禍で遠のいていた旅行も再開したいという。
「アロマテラピーは、においとともに、コミュニケーションやマッサージが大事です」。落ち着いた雰囲気の中で、柑橘系の香に包まれながら、大沢田さんは利用者の手指をゆっくり伸ばすようにして触っていく。香りは好みによって変える。語りかけによって、気持ちが和らぎ委ねるような気持ちになっていく。意欲の向上や、飲んでいる薬も減らせる効果も期待できるのではないかと大沢田さんは話す。
食事に満足してもらおうと、米は新潟からコシヒカリを取り寄せ、果物も長野のリンゴやすいか、メロンを提供する。よい食材にこだわり、外国産のものは原則使わないという。一人ひとりしっかり栄養のある食事を提供している。ただし、「食費は赤字です」(南澤専務)。
看多機と訪問看護の併設によって、包括報酬と出来高制の違いや要支援者への対応などがあり、利用者の状況に応じてサービスの自由度が高まっている
ホールには南澤専務の甥で演歌歌手の福田こうへいさんの写真が飾られ、代表曲の「南部蝉しぐれ」が流れている。今後はコロナ禍で遠のいていた旅行も再開したいという。


自慢の食事の準備中(中央)南澤専務
(シルバー産業新聞2025年8月10日号)