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6月施行 医療系4サービス 重度者対応を促進 予防は減算拡大

6月施行 医療系4サービス 重度者対応を促進 予防は減算拡大

 訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーションの4サービスの24年介護報酬改定が6月1日に施行された。基本報酬はいずれも微増。通所リハビリは大規模型Ⅰ・Ⅱを統合し、さらにリハビリ専門職の手厚い配置等を要件に、より報酬が高い通常規模型の算定も可能とした。一方、予防サービスの長期利用はより大きい減算を設けた。各サービスの給付動向、厚生労働省発出Q&Aを踏まえた改定のポイントをまとめた。

受給者・費用額1.4倍

 地域包括ケアシステムの推進において、医療ニーズへの対応は在宅療養の限界点を高める重点テーマの一つ。とりわけ、地域ごとに医療機能の分化・連携をはかる地域医療構想では病床削減・早期退院の受け皿として在宅医療・介護サービスを位置づけている。報酬上でも、入退院時の情報連携等に係る各種加算が医療機関・介護事業所双方に設けられてきた。

 介護保険サービスの給付推移を見ると、受給者数は18~24年の6年間で12.4%の増加。その中で、医療職が提供する訪問看護、訪問リハビリ、居宅療養管理指導と、12年に創設された定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)は平均を大きく上回る伸びを見せている(表)。

 訪問看護は6年間で受給者1.5倍。費用額も356.2億円と、伸びが鈍化している通所リハビリに迫る勢いだ。ただ、実態として理学療法士等による訪問(いわゆる訪看リハ)の算定の伸びが大きい。国は医療依存度が高い利用者、重度者への対応を「訪問看護の本来の役割」とし、理学療法士等の訪問に対する適正化を行ってきた。

 また、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士が居宅を訪問し療養上の管理・指導を行う居宅療養管理指導も受給者1.6倍、費用額1.8倍の成長。薬剤師の算定が最も多い。

訪問看護

リハ職訪問半数超で減算

 医療・介護・障害のトリプル改定が行われた今年度。システムベンダーの更新対応等を理由に、診療報酬が6月施行で早々に固まる中、介護報酬は4月・6月で意見が二分した。結果、医療系サービスの訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーションが6月、他サービスが4月施行となった。

 介護報酬全体の改定率は+1.59%。基本報酬を見ると、訪問看護30分未満(訪問看護ステーションの場合)で470単位→471単位、訪問リハビリテーション307単位→308単位といずれも微増にとどまり、収入への影響はほぼ無いと考えられる。

 理学療法士等による訪問看護は今改定でも適正化。理学療法士等の訪問回数が看護職員の訪問回数を超える場合、または緊急時訪問看護加算・特別管理加算・看護体制強化加算のいずれも算定していない場合、介護・予防ともに1回8単位の減算を新たに課す。

 訪問回数は前年度の実績。定期巡回・随時対応型訪問介護看護(連携型)による訪問も含める。理学療法士等が1日に連続して2回の訪問看護を行った場合は1回として数える。介護・予防を一体的に運営している場合は、訪問回数も合算する。

 さらに、予防訪問看護は利用開始月から12カ月を超えると1回5単位の減算を設けているが、上記の8単位減算を適用している場合は15単位の減算。8単位減算とあわせて計23単位の減算となる。

 厚生労働省の調べによると、訪問看護ステーションにおける看護職員の割合は年々少しずつ下がり続け、21年で7割を切っている。理学療法士等による訪問看護の算定単位数の割合は、介護サービスで全体の32.7%、予防サービスで47.1%を占める。

訪問リハ

LIFEで長期利用減算を免除

 予防訪問リハビリは307単位→298単位と2.9%減。これまで同一単位だった介護・予防の基本報酬に一定の差を設けた。また、予防訪問リハビリを12カ月超行った場合、1回あたりの減算が5単位から30単位に。基本報酬約1割カットの大減算となる。

 ただし、3カ月に1回以上リハビリ会議を開催し、必要に応じてリハビリ計画書の見直しとLIFEへの提出を行っている場合は、減算の対象とならない。

 例えば6月1日時点で減算を受けないためには、リハビリ会議を4~6月の間に1回以上実施し、かつLIFEへの登録が8月1日以降に可能となるため、7月10日までに評価を行い、遡り入力対象期間内にデータ提出を行う必要がある。

通所リハ

条件付き同一報酬

 通所リハビリは大規模型Ⅰ・Ⅱを「大規模型」に統合。要介護3で利用時間が4時間未満利用の場合、旧大規模型Ⅰは630単位→623単位と1.1%減だが、旧大規模型Ⅱは616単位→623単位で1.1%増となる。

 さらに今回、大規模型でも①リハビリテーションマネジメント加算を算定する利用者の割合が80%以上②利用者10人に対し、専ら通所リハビリの提供にあたる理学療法士等を1人以上配置――を満たす場合、通常規模型の基本報酬を算定することが可能となった。その場合、要介護3で3~4時間未満の通常規模型は643単位で、旧大規模型Ⅰからは2.1%増、旧大規模型Ⅱからは4.4%増となり、いずれも報酬減を免れる。

 ②は具体的に、通所リハビリ計画に位置付けたひと月の総利用時間(各利用時間×利用人数の合計)を理学療法士等の総勤務時間の合計で除した数が10以下の場合に該当。勤務時間の算出については、事業所外の業務でも、例えば退院前カンファレンスなど通所リハビリに係る業務であれば含めることができる。

 これまで改定議論のたびに、スケールメリットを加味した規模別報酬は「経営努力と逆行する」「大規模ではリハビリ職が充実し、質の高いサービスを提供しているところもある」など異を唱える声が多かった。今回、個別リハビリの計画・実施等の取組を質担保の条件に、同一報酬を一部実現した形となる。既に①・②を満たす事業所を除けば、リハマネ加算の算定増も含めた収入増がリハビリ職の人的コストに見合うかが、判断基準の一つになりそうだ。

居宅療養管理指導

医療重度者へ訪問回数引上げ

 介護・予防で報酬が同じ居宅療養管理指導の基本報酬は一律1単位増。医療依存度が高い利用者に対し、訪問回数の上限引上げがなされた。

 薬剤師は、末期の悪性腫瘍や中心静脈栄養の利用者に加え、心不全や呼吸不全の苦痛に対し麻薬を使用する利用者にも週2回・月8回の訪問が可能に。また、オンライン服薬指導は22年度の医薬品医療機器等法改正を踏まえ、初回からの算定を解禁した。訪問診療以外で交付された処方箋も対象となり、回数は月1回から4回に引き上げる。

 歯科衛生士等は、口腔衛生管理の頻度が高いがん末期の利用者への訪問上限を月4回から6回へ。管理栄養士の場合も、終末期の急性増悪等により一時的に頻回の栄養管理を行う必要を医師が認めた場合、基準の月2回に加え、30日間で2回を限度に算定を認める。ただし同月に2回の指示を出すことはできない。
(シルバー産業新聞2024年6月10日号)

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