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利用者2割負担 対象拡大4案と配慮措置2案 提示

利用者2割負担 対象拡大4案と配慮措置2案 提示

 介護保険の2割負担者(一定以上所得)の対象を広げる4つの案と、負担の急拡大を抑えるための2つの配慮措置を国が示した。12月1日の介護保険部会で提示されたもので、現行の「年金収入等280万円・上位20%」から、上位25〜30%層へ広げる4つの所得ラインを提起。負担増を和らげるため、増加額を月7000円以内に抑える経過措置と、または預貯金が一定額未満の人は申請により1割にとどめる2案が示された。2・3割負担の現状も俯瞰する。

 2割負担者(一定以上所得)の対象拡大案と負担の急拡大を抑制する配慮措置案について、12月1日の介護保険部会で国が示した。対象拡大案は、現行の2割ライン(年金収入+その他所得280万円、上位20%)を、①単身世帯260万円(夫婦326万円)=上位25%から、②同250万円(316万円)、③同240万円(306万円)、④同230万円(296万円)=上位30%――上位25%〜30%まで拡大する4パターン。(表1)

 あわせてこれまで1割負担だった利用者の急激な負担増を和らげる仕組みとして2つの配慮措置が提起された。

(1)負担増の上限7000円案

 負担増加額に上限をかける。本来なら「1割⇒2割」で月最大2万2200円ほど負担が増える計算だが、これを当分の間、最大7000円までに抑える経過措置を設ける。利用状況や影響を見ながら上限額を見直すこともあるとする。

(2)預貯金等が一定未満は申請により1割負担
 
 新たに所得基準で2割負担になる人でも、預貯金等が一定額以下の人は、申請により1割とする案。一定額は、単身で300万円、500万円、700万円の3案、夫婦で1300万円、1500万円、1700万円の3案が示された。

 資産確認の方法は、基本は本人の自己申告+通帳コピー等の提出とする。必要に応じて保険者が金融機関に照会し、不正があった場合には返還+加算金という、補足給付に近い運用イメージとする。

 ただし、保険者事務の負担軽減のため、利用者負担割合の切替時期は現行の8月から10月に後ろ倒しする。預貯金の確認は2年ごとに1回とする。将来的にはマイナンバーによる口座紐付けの活用も検討する。

 2割負担者の対象拡大による財政試算(負担増の上限7000円案の場合)は、140〜360億円とされた。

 2割対象拡大は第10期介護保険事業計画(27年度)開始前までに結論を出すこととされ、金融資産の反映や、よりきめ細かい負担割合のあり方と合わせて検討するとされた。

2割・3割負担者の現状

2割負担33.5万人(認定者の4.7%)
3割負担30.4万人(認定者の4.2%)


 次期改定の2割負担の対象拡大の論議を受け、2・3割負担者の現状を把握する。

 年金の低下で2割負担が減少、地域差が大きく、2割負担は神奈川県6.8%〜青森県2.6%まで、2.6倍の差がある。

 2割負担割合の経時変化をみると、19年5.3%⇒22年5.0%⇒25年4.7%と年々低下。背景に年金の目減りにより、高齢者の年金収入の低下がある。3割負担はコロナ禍の影響か、22年は減少。

 この間、認定率は後期高齢者の増加に伴い、同18.4%⇒19.0%⇒20.0%と増加。平均で20%を超えた。2040年にかけて85歳以上人口が増大する。

表2 年齢層別の2・3割負担者数・率

2割負担 60代後半3.1%〜90代以上6.4%
3割負担 60代後半5.4%〜90代以上4.3%


 2割負担と3割負担の傾向が顕著にわかるのが、年齢層別の対象割合。2割負担は90歳以上6.4%から65〜69歳3.1%まで高齢層の割合が高い。一方、3割負担は現役が多い若年層が高く、65〜69歳5.4%が最も高い。
表3 (都道府県別にみる)認定者数と2・3割負担者

表3 (都道府県別にみる)認定者数と2・3割負担者

表3 都道府県別2・3割負担

表3 都道府県別2・3割負担

(シルバー産業新聞2025年12月10日号)

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