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これからの介護保険277 要介護認定の申請代行 認知症GH・看多機も可能に

これからの介護保険277 要介護認定の申請代行 認知症GH・看多機も可能に

 厚生労働省は6月30日の社会保障審議会介護保険部会で、要介護認定の申請代行をケアマネジャーが在籍する認知症グループホーム、看護小規模多機能などにも拡大することや、主治医意見書の事前入手・提出の明確化の方針を示した。

申請代行の拡大

 要介護認定の申請は、本人・家族が行うが、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、介護保険施設(特養、老健、介護医療院)、地域密着型特養に限り申請代行が認められている。今回これを、認知症GH、看多機、小規模多機能型居宅介護、特定施設入居者介護、地域密着型特定施設とケアマネジャー配置が指定基準に定められている介護保険サービス全般に拡げる(表)。

 国の24年度地方分権改革提案に基づき、要介護認定の更新申請について、申請書提出の代行ができる者に、認知症GH、小多機、看多機を加えるように見直しを求めていた。26年度の実施をめざして改定作業を進める。24年4月末時点での要介護認定者数は、計710万人(東日本大震災被災地域1市13町除く)。12~19年までほぼ500万件台で推移してきた要介護認定の申請件数は、20年の新型コロナウイルス感染症の発生で有効期間の延長特例により約400万件に低下し、23年度には547万人に戻している(17年度までは市町村からの国への要介護認定データ送信は努力義務)。24年度の申請件数は523万件で、そのうち代行件数は410万件(代行割合78.4%)だった。

 要介護認定は、利用者からの認定申請を受けて、認定調査と医師の意見書にもとづき、要介護度を判定し、介護給付、予防給付、総合事業が提供される。

 この日の部会で、東憲太郎委員(全老健)は、地域包括支援センターはすでに限界だとして、代行対象拡大に賛意を示した。山本則子委員(日本看護協会)も、「退院後に看多機等を利用する単身・老々世帯では申請代行は不可欠。認知症GH等とともに対象に追加すべき」とし、申請代行の対象拡大に異論はなかった。

主治医意見書の事前入手

 また同省は、「主治医意見の入手に時間を要し要介護認定作業が遅延する要因になっていることから、申請者が事前に取得し提出してもよい」とする通知を明確化する。

 主治医意見書の事前入手については、国の規制改革実施計画(24年6月21日閣議決定)で、「要介護認定申請者が申請前に主治医意見書を依頼して入手し、申請時の提出を検討する」として、26年度までに結論を得て、速やかに必要な措置を講ずるとしていた。

 主治医意見書取得の所要期間は平均2週間超(22年度下半期:平均17.8日)で、認定調査期間(同平均11.1日)より長く、認定作業が遅れる主要因と考えられるとしている。

 事前入手は法律上の規制はないが、介護保険法で市町村が主治医の意見を求める旨を規定するために、要介護認定の事務処理手続(老健局長通知)において、市町村による主治医意見書への意見記載を求め、回収する旨が記載されている。実際、23年度の調査においては、市町村が主治医に直接依頼する割合は92.3%に及び、申請者による主治医への依頼は7.5%に止まる。

26年度より電子提出も

 これらを踏まえて、意見書の事前入手が可能であることを明確化。申請者による意見書の事前入手もあくまでも一つの提出方法であり、今後、介護情報基盤の運用開始(26年4月順次スタート、28年4月全国運用を目標にする)に伴い、主治医意見書の電子的提出が可能になるとしている。

 井川誠一郎参考人(日慢協)は、「主治医意見書の遅延によって入院が長期化する実情があると指摘し、電子化を前提に主治医意見書の統一フォーマットを国主導で作成すべき」と訴えた。

(シルバー産業新聞2025年8月10日号)

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