未来のケアマネジャー
未来のケアマネジャー83 次期介護保険制度改正に向けた4つの論点
次期介護保険制度改正に向けて、社会保障審議会介護保険部会で介護支援専門員の資格、業務、質をめぐる重要な検討が始まった(第127回・10月27日)。質の高いケアマネジメントの推進のために提示されたのは4つの論点だ。
4つの論点は、昨年度開催された「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」中間整理から展開された。「介護保険部会の論点(検討の方向性)」の内容は、あくまで論点提示である。つまり決定事項ではない。過去のスケジュールどおりに進むなら、11月頃まで議論を繰り返し、12月初旬から中旬頃に決定されるだろう。
【論点①ケアマネジャーの資格取得要件の見直し】は、対象者となる国家資格の範囲を拡大し、さらに経験年数は現行の5年から3年へ短縮する案である。拡大される国家資格の知識と経験としてケアマネジメントで必須となる「個別の、生活に根差した、在宅での相談援助」がどうであるか慎重な判断は必要だが、新たな職種が加わることでのメリットもある。
【論点②ケアマネジャーの業務の在り方の整理】を検討するにあたり、8月~9月にタイムスタディ調査を実施した。この調査は全国136人の介護支援専門員の協力を得て、1カ月間の全業務を10分ごとに記録してもらい、どの項目にどれだけの時間を要したかを調べるものである。3年に一度の制度改正に必要なデータを得るため定期的に実施される手間のかかる調査だが、全国を代表して協力してくれた介護支援専門員に深く感謝したい。
タイムスタディによれば、全業務のうち最も時間数が多かったのは、法定業務であるケアプラン作成業務(39.2時間、21.2%)である。これを踏まえ論点②では、ケアプラン作成等業務は、ケアプランデータ連携システム等のICTの活用による効率化を一層推進することとされている。
一方で、法定外業務のうち、負担が大きいとの声がある、いわゆるシャドウワークは1月あたり1.7時間で全業務の1%に過ぎなかった。負担という声の大きさと、実時間の乖離をどう考えるか。
例えば、シャドウワークは、予定外の出来事が、営業時間・曜日であるかにかかわらず発生し、もとのスケジュール変更を余儀なくされたり、プライベートの時間を費やしてでも対応する心理的負担感があり、単純に時間数だけでは表せないという見方もある。引き続き、これらは地域課題として実効性を伴う解決策を講じる取組を検討する方向となっている。
タイムスタディによれば、全業務のうち最も時間数が多かったのは、法定業務であるケアプラン作成業務(39.2時間、21.2%)である。これを踏まえ論点②では、ケアプラン作成等業務は、ケアプランデータ連携システム等のICTの活用による効率化を一層推進することとされている。
一方で、法定外業務のうち、負担が大きいとの声がある、いわゆるシャドウワークは1月あたり1.7時間で全業務の1%に過ぎなかった。負担という声の大きさと、実時間の乖離をどう考えるか。
例えば、シャドウワークは、予定外の出来事が、営業時間・曜日であるかにかかわらず発生し、もとのスケジュール変更を余儀なくされたり、プライベートの時間を費やしてでも対応する心理的負担感があり、単純に時間数だけでは表せないという見方もある。引き続き、これらは地域課題として実効性を伴う解決策を講じる取組を検討する方向となっている。
【論点③ケアマネジャーの更新制・法定研修の見直し】では、更新研修と資格の更新制の紐づけは廃止し、研修を受けないことで即時に資格が失効するわけではないこと、併せて、研修の必要性は専門職として変わらないため、今後は事業者と介護支援専門員それぞれに責任が課される方向で検討される。
【論点④主任ケアマネジャーの位置付けの明確化】は、主任介護支援専門員が活躍できる環境整備に関する検討である。介護支援専門員は法第7条に規定されている。主任介護支援専門員は地域のケアマネジメントの中核的な役割を果たしているが、地域包括支援センターの主任介護支援専門員を除けば、法令上の位置づけは不明確である。こうしたことも含めて議論が必要だろう。
繰り返しとなるが、4つの論点は、あくまでこれらは検・討・事・項・の提示であり、現時点で確定事項は何一つない。国の動向をみることに並行し、我がこととして、議論することも大切だ。地域によっては早速、主任介護支援専門員が集まって議論する場も設定され始めている。
(シルバー産業新聞2025年11月10日号)
(シルバー産業新聞2025年11月10日号)



