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これからの介護保険280 ケアマネ有料化は避けられないのか
10月27日、次期介護保険制度改正に向けた議論を行う介護保険部会が開かれ、年内に部会としての結論が求められている「2割負担の対象拡大」や「ケアマネジメントの有料化」など、制度の持続可能性の確保を巡る検討が本格的に動き出した。この日は、各項目の具体的な論点(検討の方向性)の提示はなく、現状と課題について厚生労働省の説明と委員からの意見が示され、国は今後、議論を深めていく考えを示した。ここでは、特に影響の大きい「ケアマネジメントに関する給付の在り方」を中心に、国の説明と委員の意見を整理する。
制度の「持続可能性の確保」に関する検討項目は、総論を含め9項目(表)。これまでの改正でも繰り返し課題として示されてきた内容で、今回新たな負担増策が加わったわけではない。
まず「総論」では、介護保険創設から25年が経過し、給付費は開始当初の約4倍の14兆円、保険料は約2倍に増加している現状が示された。今後も費用増が見込まれる中、制度の持続可能性を高める必要性が強調された。また、全世代型社会保障構築会議や「骨太の方針」では、子育て世代への支援と併せて、2040年頃を見据えた「人生100年時代にふさわしい、負担能力に応じた公平な負担」の検討が掲げられている。
大きな関心を集めている⑥「ケアマネジメント利用者負担の導入」について、厚労省は次のように説明した。
「ケアマネジメントは、利用者の心身状況や生活環境、希望等を把握し、多職種連携のもとケアプランを作成し、サービスの適切な提供につなげるもの。要介護者等が積極的に介護保険サービスを利用できるよう、利用者負担を求めていない」「広く普及しているが、今後は医療・介護連携や地域資源の活用など、ケアマネジャーにより一層の役割発揮を期待している」。
なお、前回改正の介護保険部会の意見書には、ケアプラン有料化について慎重論・賛成論の双方が併記されており、10期計画開始までに結論を得る方針が明記されている。
これに対し、小林広美委員(日本介護支援専門員協会副会長)は、居宅介護支援の10割給付について「保険・医療・福祉にまたがる指定居宅サービス等が、多様な提供主体により総合的・効率的に提供されるよう、保険給付に位置づけたものであり、その重要性は高い」と強調。その上で「ケアマネジャーは、自立支援に資するケアマネジメントの実践、家族の介護離職防止、ヤングケアラー支援、8050問題など世帯全体への支援、災害時の被災者支援、地域福祉の促進など、役割は年々拡大している」と述べ、有料化に反対の立場を示した。
江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、「2040年にかけて85歳以上人口は大きく増加し、介護費用も確実に増える。一方で、要介護認定者が増える中、介護保険3施設の稼働率は低下している」と現状認識を示し、「ケアマネジメントの自己負担導入は、財源が厳しいからという理由のみでは説得力を欠く。制度創設時の経緯を踏まえ丁寧に議論しなければ、国民に理解されない」と述べた。
一方、伊藤悦郎委員(健康保険組合連合会常務理事)は、「ケアマネジメントに関する給付は、定額負担から始めるなど段階的導入も検討すべき。2〜3割負担の見直しや軽度者への生活援助の給付の在り方と併せて議論を進める必要がある」と主張した。
また、議論の中では、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)らが「介護保険の持続性を担保するには、公費投入の在り方を議論しなければ、個別論では限界がある」と述べ、現在の公費50%・保険料50%の負担割合の見直しを提起した。
まず「総論」では、介護保険創設から25年が経過し、給付費は開始当初の約4倍の14兆円、保険料は約2倍に増加している現状が示された。今後も費用増が見込まれる中、制度の持続可能性を高める必要性が強調された。また、全世代型社会保障構築会議や「骨太の方針」では、子育て世代への支援と併せて、2040年頃を見据えた「人生100年時代にふさわしい、負担能力に応じた公平な負担」の検討が掲げられている。
大きな関心を集めている⑥「ケアマネジメント利用者負担の導入」について、厚労省は次のように説明した。
「ケアマネジメントは、利用者の心身状況や生活環境、希望等を把握し、多職種連携のもとケアプランを作成し、サービスの適切な提供につなげるもの。要介護者等が積極的に介護保険サービスを利用できるよう、利用者負担を求めていない」「広く普及しているが、今後は医療・介護連携や地域資源の活用など、ケアマネジャーにより一層の役割発揮を期待している」。
なお、前回改正の介護保険部会の意見書には、ケアプラン有料化について慎重論・賛成論の双方が併記されており、10期計画開始までに結論を得る方針が明記されている。
これに対し、小林広美委員(日本介護支援専門員協会副会長)は、居宅介護支援の10割給付について「保険・医療・福祉にまたがる指定居宅サービス等が、多様な提供主体により総合的・効率的に提供されるよう、保険給付に位置づけたものであり、その重要性は高い」と強調。その上で「ケアマネジャーは、自立支援に資するケアマネジメントの実践、家族の介護離職防止、ヤングケアラー支援、8050問題など世帯全体への支援、災害時の被災者支援、地域福祉の促進など、役割は年々拡大している」と述べ、有料化に反対の立場を示した。
江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、「2040年にかけて85歳以上人口は大きく増加し、介護費用も確実に増える。一方で、要介護認定者が増える中、介護保険3施設の稼働率は低下している」と現状認識を示し、「ケアマネジメントの自己負担導入は、財源が厳しいからという理由のみでは説得力を欠く。制度創設時の経緯を踏まえ丁寧に議論しなければ、国民に理解されない」と述べた。
一方、伊藤悦郎委員(健康保険組合連合会常務理事)は、「ケアマネジメントに関する給付は、定額負担から始めるなど段階的導入も検討すべき。2〜3割負担の見直しや軽度者への生活援助の給付の在り方と併せて議論を進める必要がある」と主張した。
また、議論の中では、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)らが「介護保険の持続性を担保するには、公費投入の在り方を議論しなければ、個別論では限界がある」と述べ、現在の公費50%・保険料50%の負担割合の見直しを提起した。
「寝たきり減少にインセンティブを」
橋本康子委員(日本慢性期医療協会会長)は別途、「寝たきりの患者を減らし、寝たきり期間を短縮することは極めて重要。しかし、現在の報酬体系は、リハビリや栄養改善で状態が良くなると収入が減り、インセンティブが働かない」と述べ、重度化するほど報酬が高くなる現行制度の改善を求めた。
(シルバー産業新聞2025年11月10日号)



