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氷見市災害ボランティアセンター 被災後の支援活動に3千人以上

氷見市災害ボランティアセンター 被災後の支援活動に3千人以上

 県北西部、能登半島の付け根に位置する氷見市(人口4.3万人、1.7万世帯)は昨年1月1日の能登半島地震で被災。死者は出なかったものの、住宅全壊229戸、半壊489戸で最大避難者数は約6千人にのぼった。沿岸部は液状化被害が大きく、断水は1.4万世帯。市全域で復旧したのは1月21日だった。同市社会福祉協議会は5日に「災害ボランティア・支え合いセンター」を開設。被災による生活の困りごとへボランティアを調整・派遣した。同協議会地域福祉・ボランティア推進課の澤田真実さん、背戸龍也さんに発災当時の活動を聞いた。

 氷見市は独居・老々世帯や障がい者、認知症の人、子育て中の親など支援が必要な人へ見守り・声かけを行う「ケアネット活動」が根付く。町内会長や民生委員、地域住民や老人クラブ員などがチームで支援。23年度実績で1987人・814チームが活動している。

 また、「福祉・防災マップ」は①一人で避難が困難な人、気象情報や避難情報の収集が困難な人など、発災時に支援が必要な人②地域の危険箇所――を住宅地図上で確認。平時から災害時の支援体制を考える。「いのちのバトン」は服薬情報や緊急連絡先などを書いたシートを筒にしまい冷蔵庫で保管。救急搬送時や災害時などの支援に使用する。

 「いずれの活動も、地域の中で支え合い、互助力を高めます。今回の被災地支援でも、このネットワークが活かされました」と澤田さんは話す。

ボランティアの派遣先を日々マッチング

 発災翌日の1月2日、市社協がまず行ったのが被害状況の確認と生活の聞き取り。ケアネット活動の連携から、支援が必要な人、被害が大きい地域などへ優先して訪問できたという。

 背戸さんは「主には、今後の生活への不安や困りごとの把握です。高齢者で多かったのは住まい。死ぬまで住み続けるのが当たり前だと思っていた場所に、住めなくなるかもしれない。近くに身寄りがあるのか、どの程度の生活再建を希望するかなどを聞き取りました」と述べる。

 3日に災害ボランティアセンターの開所が決定し、5日より稼働。平時から通常のボランティアセンターとして運営していた「氷見いきいき元気館」を拠点とした。高齢・障がい者はケアマネジャーや障害福祉担当がサービス継続などを調整。「在宅から施設へ移った人も何人かいました」と澤田さん。社協が運営する通所介護は建物が被災し、その後廃止となった。

 ボランティアへの支援依頼は電話または来所で受付。「災害救援ボランティア依頼受付票」に情報を整理し、その後、社協職員が現地調査を経て作業内容や必要人員を把握する。「センターの役割として、依頼時に家族の体調面の確認や、転居後の生活支援へのニーズも聞き取るよう努めました」(背戸さん)。

 ボランティア活動は3連休明けの9日に開始。約1カ月間は、ほぼ毎日の活動だった。登録の時点で、例えば大型トラックや重機の運転ができるなど、可能な作業内容はある程度把握するも「当日、何人集まるかまでは正確には分かりません。支援先の振分けは朝集まってからの調整でした」と背戸さんは話す。

 3月末時点で相談件数は500件。依頼内容で多いのは「災害ごみの搬出」166件、「灯篭の撤去」149件、「石垣・ブロックの撤去・解体」70件だった。独居または高齢者のみ世帯が38%。一方で、ケアネット活動の支援対象者、福祉・防災マップ&リスト登載者、いのちのバトン利用者における相談率はそれぞれ3%前後にとどまった。澤田さんは「支援者が気づき、主体的に動いているケースが多い。日頃の支え合い体制が地域完結として発揮されています」と述べる。

 11月20日時点でボランティア総数はのべ3250人。現在、活動頻度は週1~2日だが、12月からは全壊・半壊住宅の公費解体の申請が始まる。「解体を行う場合、家の中を空にしないといけません。家財の搬出など、再び依頼が増える可能性があります」(澤田さん)。

(シルバー産業新聞2025年1月10日号)

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