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訪問入浴介護の現状 6割以上の市町村で事業所なし

訪問入浴介護の現状 6割以上の市町村で事業所なし

 訪問入浴介護は専用車両と浴槽を使い、主に重度者の入浴を支援する在宅サービス。近年は人手不足や燃料費の高騰などにより事業所数は減少傾向で、訪問入浴介護事業所が存在しない市町村は1112カ所にのぼる。訪問入浴の現状と事業者の取組み事例を紹介する。

 介護給付費等実態統計の昨年6月審査分によると訪問入浴の事業所数は1555事業所(対前年同月3.2%減)、受給者は6.6万人(同1.5%減)、費用額は48.6億円(同1%減、全サービスの約0.5%)となっている。

 受給者数は12年をピークに減少傾向だったが、コロナ禍の20〜22年に限っては感染拡大によるデイサービスの休止などが影響し一時的に急増した。25年6月時点のオープンデータによると、訪問入浴事業所がゼロの自治体は1112カ所と全市町村の約63%。24年6月時点の1092カ所から20カ所増加した。基準該当サービスを位置付けている保険者は23年時点で28カ所にとどまっている。

 1事業所のみの自治体は334カ所。運営主体は営利企業が167カ所と最も多く、次いで社会福祉協議会113カ所、社会福祉法人38カ所と続く。全事業所における社協の割合が1割であることと比較すると、より高い割合であることがわかる。

 都道府県別の受給者数をみると、最も増加しているのは沖縄県、減少しているのは福井県だった。沖縄県介護支援専門員協会によると▽要介護認定者の増加による在宅療養のニーズ拡大▽訪問看護事業所の増加による在宅療養環境の充実▽シャワー文化のため浴槽がない家庭が多く、重度者の入浴介助が困難――などが背景にあるという。

看取り連携体制加算算定率は0.2%

 訪問入浴の利用者の平均要介護度は4.1で、約9割が要介護3以上。訪問入浴車の販売や入浴関連の調査を行うデベロが22年に実施した老健事業の調査では「直近1年間に看取り期の利用者にサービス提供をした事業所」は約59.5%で、看取り期の利用者数は年間平均19.3人であることが分かった。24年度介護報酬改定では看取り期の利用者への訪問入浴について、医師・訪問看護師等の多職種との連携体制などを評価する「看取り連携体制加算(64単位/回)が新設。しかし、同加算の算定回数は500回。総提供回数のわずか0.2%に留まっている。

 取材を行った大手事業者、社会福祉協議会でも「看取り期のサービス提供に必要な連携や体制整備は行っているが、事務負担と単位数が見合わない」と訴える。

全サービス平均をわずかに上回る収支差率

 介護事業経営概況調査によると、訪問入浴の収支差率(税引後)は24年度決算で4.5%(対前年+0.3%)。全サービスの平均収支差率4.4%をわずかに上回る。収入に対する人件費割合は64.1%、赤字事業所の割合は34.1%となっている。

 収益性の向上へ訪問ルートの効率化やテクノロジー活用など、各社工夫がみられる。

 昨年4月末時点でテクノロジーを導入している訪問入浴事業所は40%。主に▽移乗支援機器0.3%▽入浴支援機器1.7%▽見守り.コミュニケーション機器1.2%▽介護業務支援機器(介護記録ソフト等)35.0%▽その他1.6%――が活用されている。
「看取り連携体制加算」
 1回につき64単位(死亡日~死亡日前30日以内)

 【要件】①病院、診療所または訪問看護ステーション(以下「病院等」)と連携し、利用者の状態等に応じた対応ができる連絡体制を確保し、かつ必要に応じて病院等により訪問看護等が提供されるよう、訪問入浴介護を行う日時を病院等と調整②看取り期における対応方針を定め、利用開始時に利用者または家族等へその内容を説明し同意を得る③看取りに関する職員研修を行っている

 【利用者要件】医師が医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断した者であり、看取り期の対応方向に基づき利用者の状態または家族の求め等に応じ、介護職員、看護職員等から介護記録などを活用しサービスの説明を受け、同意している
(シルバー産業新聞2026年1月10日号)

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