連載《プリズム》
プリズム(2026月3月10日号) 福祉用具の貸与原則
福祉用具の「貸与と販売の選択制」のあり方を考える際は、実際の例を思い浮かべると分かりやすい。例えば、足を骨折して入院した場合、多くの人が病院の車いすや歩行器、松葉づえなどを利用する。うまく歩けない間はこうした用具を利用するが、回復すれば当然のように返却する。つまり、こうした用具は「所有する物」ではなく、「一時的に利用する物」なのである。
福祉用具の本質は、その時々の心身の状況に合わせて、最適な用具を利用することに尽きる。高齢者の心身状況は日々変化するため、昨日まで適していた用具が今日には負担になることがある。そのため、介護保険制度では貸与を原則とし、福祉用具専門相談員が定期的に利用者宅を訪問し、使用状況を確認しながら、交換や調整を行う仕組みをとっている。言うなれば、用具を介して継続的に利用者の変化を見守り続けるシステムである。
介護保険では2024年度の改定から一部の福祉用具について貸与と販売を選べる選択制が導入された。購入を選択すれば、貸与とは違い、福祉用具専門相談員による点検やモニタリングのサイクルは失われる。心身状況に合わない用具や、点検の行き届かない用具を使い続けることは、思わぬ事故の原因となる。
先日、厚労省が公表した改定検証調査の結果では、選択制の対象拡大を求める声は「特になし」が最も多かった。制度に求められているのは、選択の自由を増やすことではなく、その時々の心身状態に合わせて、安心して福祉用具を借り替えられる納得感や信頼感なのであろう。
制度の見直しに向けた議論はこれから始まる。今回の調査結果を踏まえると、介護保険における福祉用具が、貸与原則とされてきた理由やその重みを、改めて見つめ直す必要があるはずだ。
介護保険では2024年度の改定から一部の福祉用具について貸与と販売を選べる選択制が導入された。購入を選択すれば、貸与とは違い、福祉用具専門相談員による点検やモニタリングのサイクルは失われる。心身状況に合わない用具や、点検の行き届かない用具を使い続けることは、思わぬ事故の原因となる。
先日、厚労省が公表した改定検証調査の結果では、選択制の対象拡大を求める声は「特になし」が最も多かった。制度に求められているのは、選択の自由を増やすことではなく、その時々の心身状態に合わせて、安心して福祉用具を借り替えられる納得感や信頼感なのであろう。
制度の見直しに向けた議論はこれから始まる。今回の調査結果を踏まえると、介護保険における福祉用具が、貸与原則とされてきた理由やその重みを、改めて見つめ直す必要があるはずだ。


