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26年6月診療報酬改定 賃上げ・物価高騰対策に重点

26年6月診療報酬改定 賃上げ・物価高騰対策に重点

 厚生労働省の中央社会保険医療協議会は2月13日、2026年度診療報酬改定内容を取りまとめ、上野賢一郎厚労相に答申した。薬価等を除く本体報酬の改定率は30年ぶりの3%超となる3.09%。医療職を含む幅広い職員の賃上げ、全医療機関を対象とした物価対応料の新設などに充てる。介護連携関連、訪問看護を中心にポイントを整理する。改定率は本体報酬+3.09%、薬価等▲0.87%。本体報酬は一部27年6月施行につき、26年度.27年度の2年度平均とする。26年度分は+2.41%で国費2348億円程度にあたる。

 本体報酬の内訳は①賃上げ分+1.70%②物価対応分+0.76%③食費.光熱水費分+0.09%④経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分+0.44%⑤在宅医療.訪問看護等の適正化▲0.15%⑥その他+0.25%――(表)。①の賃上げは26.27年度でそれぞれ3.2%(看護補助者、事務職員は5.7%)のベースアップ実現を支援する。
具体的には、24年改定で新設の「ベースアップ評価料」を拡充。25年度補正予算「医療機関等における賃上げ・物価上昇に対する支援事業」(医療・介護政策パッケージ内)を引き継ぐ。

 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の場合、初診料の上乗せ点数を現行6点(1点=10円)から17点に引上げ。27年6月からは上乗せ点数が2倍の34点となる。加えて、賃上げの対象は「主として医療に従事する職員(医師・歯科医師除く。以下同)」から「当該医療機関に勤務する職員」へ拡大する。

 また、物件費高騰への対応では初・再診料、入院料を引上げ。急性期一般入院料(Ⅰ)だと1日あたり1688点から1874点へ11%増となる。ここへさらに、今後の物価上昇を見据えた「物価対応料」も新設。外来・在宅の初診・再診時は2点、27年6月からは2倍の4点を、基本診療料等と併せて算定することができる。

 例えば外来初診料(現行291点)の場合、賃上げの取組みを行い、かつ物価対応料を算定すると6月時点で310点に引上げ。利用者負担(3割)は63円程度増加する計算となる。

医療・介護連携 高齢者・要介護者の入退院支援を促進

 入院医療では、高齢者や要介護者など退院後の地域生活の継続が困難な患者に対し、入院早期から病院内の専門チーム(入退院支援部門)が連携し退院計画を策定、円滑な在宅復帰や転院を支援する「入退院支援加算」が設けられている。医療機関の届出数は年々微増だが、急性期〜療養のいずれでも届出を行っていない医療機関より平均在院日数が短いとのデータが示されている。

 今改定ではこれを促進する観点から、算定対象となる「退院困難な患者」を拡大。現行「要介護・要支援の疑いがあるが未申請の人」は対象の一つだが、これに「既認定者で区分変更に該当する疑いがある人」も含める。また、身寄りのない高齢者など、患者の意思決定支援や退院後の生活に向けた調整を行うにあたって家族・親族との連絡が困難な人も対象とする。

 報酬は退院先がより多様な地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟について、700点(退院時1回まで。以下同)を1000点に引上げ。急性期(700点)、療養(1300点)は据置きとした。

入退院支援担当とケアマネ連携に上位加算

 「介護支援等連携指導料」(400点・入院中2回まで)は、入院中に医師、医師の指示を受けた看護師、社会福祉士等がケアマネジャーや相談支援専門員と共同し、介護、障害福祉サービス等の説明・指導を行った場合に算定。今改定では指導料(Ⅱ)(500点)を新設し評価を拡充する。

 現行(改定後は同指導料(Ⅰ))との違いは▽入退院支援加算Ⅰを届出▽医療機関側は入退院支援、地域連携業務を担う部門の担当者が行う▽連携側は「平時から連携体制を構築しているケアマネジャーまたは相談支援専門員」――など。入退院支援加算は入退院支援・地域連携業務の十分な経験を有する看護師または社会福祉士が専従配置であり、これが「部門の担当者」になると想定される。

訪問看護 過剰な提供を是正

 訪問看護に関しては、ホスピス型ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの入居者に対する過剰なサービス提供が指摘されており、その対策が盛り込まれた。

 運営基準では①適正な手続きの確保②健康保険事業の健全な運営の確保③特定の主治医、事業者等への誘導の禁止④経済上の利益の提供による誘引の禁止――を新たに義務づけ。③は特定の医師、介護サービス事業所へ誘導することの対償として、医師等から金品その他財産上の利益を収受してはならないことを明記した。

 記録の整備もこれまで「諸記録」とされていた部分を「記録・指示・計画・報告書」と具体化。実際の開始・終了時刻を残し、計画に対し短時間の訪問となった場合も適切に請求を行う。

 また、サ高住などへの訪問看護は同一建物の利用者数、1月の訪問日数に応じてきめ細かい報酬体系へ見直し。同一日に提供する利用者数「3人以上」の区分を「3〜9人」「10〜19人」「20〜49人」「50人以上」に細分化する。さらに10人以上の各区分では、1月の提供日数を「20日目以下」「21日目以上」で区分。例えば「50人以上・21日目以上」は現行の3280円から2510円へ大幅な減額となる。

 提供時間も厳格化。30分以上を「適切な時間の訪問看護」と定め、提供時間が20分を下回る場合は加算も含め算定不可とする。緊急時を除き、前回提供した終了時間から2時間未満に20〜30分未満の訪問看護を行う場合は、それぞれの所要時間を合算し1回とする運用ルールも追加した。

重度者への短時間・頻回訪問に包括報酬

 訪問看護ステーションがサ高住等へ併設・隣接し、24時間体制での計画的または随時対応による頻回の訪問看護を行う場合の報酬「包括型訪問看護療養費」を新設。特掲診療料に掲げる疾患等の重度者が主な対象で、▽日中・夜間(午後6時〜午前8時)にそれぞれ1回以上提供▽1日1回以上、准看護師を除く看護職員が訪問――などを要件とする。

 1日単位の包括報酬で、1日複数回の訪問を行った合算の時間で報酬を区分。合算時間が60分以上の場合は1日3回以上の訪問が必要となる。

オンライン診療の補助を新設

 オンライン診療の際に、看護職員が患者宅で診療補助を行う場合(DtoPwithN)の評価を明確化。医療機関の看護職員が訪問看護(在宅患者訪問看護・指導料)の提供中に実施する場合も訪問看護との併算定を可能だとした。訪問看護の実施時間は十分に確保すること。訪問看護(介護保険含む)と別に診療補助を実施する場合の「訪問看護遠隔診療補助」(1回265点、月1回まで)も新設する。

ポリファーマシー対策 残薬確認を必須に

 在宅におけるポリファーマシー・残薬対策を推進する。在宅(施設)患者へ総合的な医学管理を行う在宅時医学総合管理料(施設入居時等医学総合管理料)について、残薬確認と適切な服薬管理を要件に位置づけ。高血圧や糖尿病などの慢性疾患を複数有する患者へのかかりつけ医機能を評価する地域包括診療料(加算)も同様とする。
訪問看護でも服薬・残薬の確認も含めて利用状況等の把握を行う必要があることを明確化。服薬状況は主治医、薬局への情報提供が望ましいとした。

 さらに、訪問診療医と訪問薬剤師(介護保険の居宅療養管理指導含む)が在宅を同行訪問した場合、医師側は「訪問診療薬剤師同時指導料」(300点、6月に1回まで)、薬剤師側は「訪問薬剤管理医師同時指導料」(150点、同)を新たに算定できることとした。
(シルバー産業新聞2026年3月10日号)

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